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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
序章、見習い冒険者マーク
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契約魔法



「マーク君、そろそろ帰ってきてくれないか」


 マークが声に反応した。


「大丈夫か?」

「あ、すみません、はい大丈夫です」


「ふむ、始めるが、君は契約を知っているかい?」

「契約ですか?奴隷とかのですか?」


「まあ、それもあるんだったな」


 マークは青ざめてしまっていた。


「だが俺のは守秘義務契約のことだ」

「守秘義務?」


「そうだ、分かり易く言えば秘密を守る為に交わす契約の事だ。 この手の契約は罰則はないが、契約内容に入る事柄を、他人に話せなくする魔法が掛かるんだ」


「だが契約主が許可すれば、話す事はできる、そういう契約魔法だ」

「はい、判りました」


「よし、じゃあ契約前にもう一度確認するが、どうする?」

「お願いします」


「判った、じゃあ始めるぞ」


 仁が契約書に内容をいくつか書き足していく。


「これでいいかな、じゃあ内容は読み上げるから、理解した上で納得したら契約開始するからな」


 仁は内容を語り始める。


 マークは真剣な顔つきで聞き、合意の確認後、契約は成された。



「よし、これで契約は終わったが、俺はこの契約は余り好きじゃないんだ」

「え?何故ですか?」


「んー、まあいいか、フェアじゃないからだ」

「フェア? なんですかそれ?」


「うーん、フェア……、そうかこの世界じゃ無い概念だったな」


 仁は思い付いた言葉を口にする。


「あ、正々堂々は判るか?」

「はい、分かります」


「この契約魔法は相手を縛ってからじゃないと意味が無いからだよ」

「あ、なるほど」

「そういう契約だからだな」


 なんだかんだと時間が過ぎ、時計を見ると、針は正午を指していた。


「ふむ、もう昼時だし食事の後でやって貰う話しをしようか」

「はい」


 仁はマークを連れて食堂に向かった。



 ◇ ◆ ◇



「ヒトシさん、これはなんですか?」

「うん、タマゴサラダだな」

「ヒトシさん、これは?」

「あぁ、コーンポタージュだ」

「こ、これはお肉?」

「そうだ、ハンバーグステーキだ」

「あ、お米だ!」

「ふっ、それは魚〇産コシ〇カリだ!」(ドヤ顔)


「え? えっと、すみません……」


「すまん、判らなかったな……」

(お、俺のボケを…… シクシク)


 ハンバーグステーキセットは好評でした。


「ごちそうさまでした、お腹いっぱいです」

「そうか、良かった。 満足したか?」

「はい、ありがとうございます」

「ん、お粗末さまでした」

「おそ……?」


「まあ、気にすんな……、ハハハ」



 アリアが食後のお茶を出してくれたので、そのまま話しをしだした。



「マークは、どう思っている俺達を」

「えっと、主人とメイド?……」

「まあ、なんだ見た目だけならな。 この前も言ったが、説明すると帰れないってやつのほうだ」


「あ、はい……、分かりません」

「そうだよな普通は……、今回は話せるから話すが、俺は今年で10236歳になる」


「えっ!? 10236さい?」

「おう! 10236歳だ!」



 マークがいつもの旅に出たので待つことにした。



「おかえりマーク」

「た、ただいま……」


「アリア、マークにお茶を」

「はい、マスター」


 アリアがマークの前に紅茶を置いた。


「あ、ありがとうございます」

「さて続きだが、もう何となく判っただろう」


「はい、神様ですよね」


 ブッホッ!仁は盛大に吹いた。


 前を見るとマークがずぶ濡れだった。


「す、すまん、だが大間違いだ!」


 アリアはいそいそとマークの世話をし、新たな紅茶を入れ直した。


「まあ、神様に送られてこの世界きたしな、そう思われるのも無きにしもあらずだな」


 その言葉を聴いた途端、マークがハンパないキラキラした瞳で俺を見て、その後ろでアリアが親指立てていい笑顔をしていた。


「さて、あーその、俺はダンジョンマスターだ」

「ダンジョンマスターですか? えっと……?」


「コホン、えっとダンジョンマスターとはダンジョンのマスター。 ようするにダンジョンを支配し、色々と仕事をするダンジョンの主だ」


 あってるよなアリアよ、とアイコンタクトする仁。

 それに対して一度首を傾げて頷くアリアが苦笑いをした。


 どうやら少し違ったらしい……


「まあなんだ、マークは俺のボケを、もとい仕事をサポートしてほしいんだ」


「サポートですか?」

「そうだ、そして可能であれば強くなって欲しい」


 マークは目を輝かせ立ち上がり、敬礼をした。


「はい、頑張ります!!」


 マークが犬のよう見えた……、幻覚か?



「さてと、ダンジョンの準備はどうだ、アリアよ」

「はい、あと3日程で再起動できます、マスター」


「えっ! ま、まさかこのダンジョンですか?」

「そうだ、だから余り人が居て欲しくなかったんだ」


「な、なるほど、そうだったんだ……」


「まあ、そういう事だ」

「なあマーク、ダンジョンは再起動するがどう思う」


 仁は悲しげに聞いた。


「はい、良いと思います……」


 マークは悲しげな仁を見て疑問に思った。


「そうか、そうだよな……、でも再起動すれば人は集まり死ぬ奴も居るんだ……」


 マークは困惑し、アリアを見た。


「マスターはずっと見てきたので、お疲れなのです」


 マークは理解し、俯いた。


「10236年、まあ1万年は誰も居なかったし、実際は200年位だが、アリアが居なければ俺は折れていただろうな」


 アリアよ、ありがとうと思っていたら、アリアの顔が真っ赤だった。

 ま、まさか…… 見なかった事にしようと思う仁だった。




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