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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
序章、見習い冒険者マーク
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動き出す人々



 カシムの町の東、1㎞程のところに、小さな村がある。



 そこは東の村と言われる、住民50人程の名も無い村で、マークは両親と4人の兄弟姉妹と暮らしていた。



 村は村長が田畑を管理し、住民がそこで働いていた。


 父マイクは農夫で、母ミアは村長宅で下働きをして、マーク達5人の子供たちを育ててきた。



 兄ジークは父と同様農夫に、姉ミリアは家事をして家を支え、マークが冒険者として働く事で、金銭的な問題はなくなった。


 因みに弟リク(11)妹リサ(8)達はお手伝いが出来る様になったのは最近である。


 数年前はかなりギリギリの生活であったが、マークが冒険者ギルドで働き始めてから、変わり始めた。


 両親はマークが冒険者になるのを反対していたが、村出身のアレク達が雇うことで、渋々認めたのである。


 これが切欠なのか、冒険者になる子供たちが増え、村全体の生活が変わりだした。



 マークの事件から10日が経ち、ようやく村も落ち着き日常を取り戻したが、今カシムの町は逆に沸きに沸いていた。



 マークのもたらした、1本の剣『ミスリルの剣』が原因である。


 マークから提供されたそのミスリルの剣は、ダンジョンから回収されるものでしか、入手できなかったからだ。



 現在のカシムの町で、ミスリルの剣を他の方法で手に入れようとすれば、ドワーフ達が居る国まで行かねばならない。


 なにせ作れる職人はドワーフ達と居る上に、ドワーフはミスリルが採掘出来る鉱山がある危険地帯に居るからだ。


 カシムの町は、冒険者ギルドと職人ギルド、商人ギルドが連携して、ダンジョンの調査とドワーフ達への交渉を王国に打診して、色々と準備中で忙しいのだ。


 もしダンジョンが復活し、ミスリルが産出されれば、もっと忙しくなるし、人も大勢やって来るだろうと人々は胸に期待を抱き、吉報を待っていた。



 ◇ ◆ ◇



 そんな大人達を後目に、マークはある場所に向かっていた。


 その場所は、ダンジョンだった。


 なぜなら、仁との約束があったからである。


 マークは仁と約束をしていた。


 無事町に帰り、事件のことを口外せずに済んだら、10日後にまたダンジョンに来て欲しいと。



 ダンジョンに到着し、辺りを見回すが何もなかった。


 しばらく待つが何も起きないので、ダンジョン内に入ったのだが見馴れない扉があった。


 ダンジョンから帰還した時も思ったが、やはりヒトシは特別存在なのだろう、しかし何故ダンジョンに居るのかが判らなかった。


 マークは扉に近づきノックをし、中へと入った。



 ◇ ◆ ◇



「やあ、10日ぶりだねマーク君」


「こんにちは、ヒトシさん」

「こんにちは、どうかな町のほうは?」


「はい、何とか誤魔化せたと思います」

「そうか、それは良かった。 で、あれは役にたったかな?」


「はい、でも剣は王様に献上になるらしいです」

「そうか、うん順調そうだな」


「でも、ちょっと心配なこともあるんだ」


 仁はマークを見つめている。


「……? なんでしょう?」

「君自身だよ、君の今後ことさ」


「どうしてですか?事件のことですか?」

「まあ、それもあるけど実はやって欲しい事があるんだ」


「えっと……な、なんでしょう?」


 マークは微妙な顔した。


「実は俺の相方になって欲しいんだが、ひとつ確認したい事があるんだ」

「確認ですか?」


「君が信頼できそうな人で良かったと思っている」

「あ、ありがとうございます」


「だけど、この先の君を見てみたいが、それには覚悟が必要なんだよ」

「覚悟ですか? 判りました聞かせて下さい」


「ふむ、それで良いのかい? もう一度聞くけど、覚悟はあるかい?」


 マークは一息吸って答えた。


「はい、お願いします」

「判った、ありがとう」


 仁が右手を差し出し、マークと握手をすると

 アリアを呼び出し、契約書を持ってくるようにと指示をする。


 仁は立ち上がり、今までに無かった扉が現れ、その扉を開けて中へと入っていく。



 ◇ ◆ ◇



 そこは見たことも無いものが溢れた部屋だった。


 マークは町で色々と大きな建物は見たが、部屋の中までは見た事はない。


 だが貴族や王様が居る部屋が、どういうものかは聞かされていた。


 金や銀に様々な調度品や装飾に彩られていると、大人達は言っていたがその部屋は違った。


 華美な装飾はないが重厚感に溢れ、壁は刺繍のように模様があり、天井はかなり上にあり絵画のようなものが見える。


 そして、見たことの無い素材で造られたカウンターやテーブルに椅子、そのどれもに精巧な彫刻が施されていた。


 カウンターの奥には見たことの無いお酒の瓶が並び、色が無い透き通ったグラスやキラキラと輝くグラスまでもあった。


 テーブルは低めのもので椅子は見たことの無い革が張ってあって座ると体が沈んだ。


 驚き慌てて立ち上がろうとしたが余計に体が沈む、それを見ていた仁は大笑いしてマークは苦笑いをした。


「大丈夫か?」

「はい、びっくりしただけなので」


「そうか、なんか飲むか?」

「はい、喉がカラカラなので水をいただければ……」


「ん? 水で良いのか? 酒でもいいんだぞ?」

「いえ、お酒はまだ飲んだ事が無いので……」


「そうか、そうだな見た感じ子供だしな」


 マークは苦笑いをした。


 だが、水の入った透き通ったグラスを渡され思わず息を飲んだ。


「どうした? 喉が渇いているんじゃなかったか?」

「いえ、こんなに透き通ったグラスは見たことが無いので……」


「そうか、遠慮せず飲んでいいからな。 ただのグラスだし幾らでもあるし、1セット持っていくか?」

「いえいえ、水だけで十分です」


 マークは冷や汗をかいた。


「アリアこっちだ」


 マークは仁が向いてる方向に自分も向いた。


 アリアがこちらに来たが、その後には見たことも無いほど本が詰めらた本棚が並んでいた。


 それが何処まで続いているか、先が霞んで見えない程であった。


「ん? またか……」


 マークの時は止まっていた。




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