熱い思い
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仁達は、領主館にいるカルロスの下へとやってきた。
「カルロス様、お待たせしました」
「仁殿か、ん? そちらの御仁は?」
仁は、後ろに控えていたマルスをカルロスに紹介する。
「こちらはマルス、剣神のマルス殿です」
「おお! この方が『剣神のマルス』殿か。 儂はカルロス、この先ここの領主となる予定じゃ。 よろしく頼む」
「はっ、この剣神のマルス、この剣かけて王国を護ると誓います」
マルスは剣を前にして、カルロスに誓う。
「うむ、ジェフリーや国民の為に、その力を貸して欲しい。 儂も、出来る限りの支援を約束しよう。 宜しく頼むぞ」
◇ ◆ ◇
マルスの紹介後、アイテムボックスを何処に設置するかで、食糧、武器、宝物とそれぞれの倉庫に設置する事となった。
「これで設置は完了しました」
「うむ、すまんな。 これで物資の保管、量と質は保たれるな。 後は王城にだが、そのアイテムボックスはいくつ確保出来るのだ?」
「そうですね。 置ける場所が在れば幾らでも作れます。 ですが、保管庫に4~5個置けば、こと足りますね。 物資管理以外ですと、アイテムボックスの数だけ輸送も出来ますけど、マジックバッグで代用出来ます」
「ほう、マジックバッグという物はどんなものなのだ?」
仁は身に着けているアイテムポーチを外して、カルロスに説明をする。
「これはポーション入れに使っている物ですが、こんな感じで幾らでも入ります」
ポーチの中のポーションを出しては、テーブルの上へと並べていく。
「こういった感じに使い易いサイズの入れ物、袋やバックパックなど形状を問わず作れます」
「ほう、便利じゃのう」
「後で解毒薬や解呪、治療薬の入ったポーチでも作りますか」
「おお、それは是非欲しいのう」
「承知しました。 後で作り、お渡ししますね」
「うむ、宜しく頼む」
◇ ◆ ◇
「とりあえず5つ在れば大丈夫ですかね」
「そうですね。 お願い致します」
執務室に戻った仁達は、領主館用のポーション入りポーチを作っていた。
「んー、回復薬を100本、解毒、解呪を10本、解熱、頭痛、腹痛、外傷の治療薬を20本ずつあれば当面は大丈夫ですよね」
「はい、十分です。 ありがとうございます」
それぞれのポーチにポーションを詰めて、セバスチャンに渡した。
「ポーションとは色々と在るのじゃな」
「そうですね。 治癒魔法が無いとき、MPの節約など色々な使い方で使い分け為ています」
「なるほど、節約ですか……」
「ええ、この町では薬師の方は見掛けますが、錬金術師の方は居ませんので、錬金術の指導書を複製して、後日持って来ますね」
「はい、よろしくお願い致します」
セバスチャンは錬金術に興味を示し、指導書と聞いて微笑んでいる。
「そろそろ、王都に戻りますか」
「そうじゃな、戻るとしよう」
「「はい」」
カーラの町でする事もなくなり、カルロス達を連れて王都に戻ることにする。
「それじゃ、俺は店に戻るとしよう。 カルロス様、仁殿との用向きが終わり次第、王都へと向かいますので、ジェフリー陛下にお伝え下さい」
「うむ、分かった。 その様に伝えよう。 そちも仁殿と同様、剣神としての活躍に期待している。 無事役目を果たし、王都への帰還を待って居るぞ」
「はっ、必ず使命を果たし、王都へと参りましょう」
こうして、マルスは改めて白のダンジョン攻略の戦いに赴くこととなった。
◇ ◆ ◇
「ふう、ただいま」
「お帰りなさい。 どうしたの暗い顔して?」
領主館より戻ってきたマルスの顔は、微妙に寂しげな表情をしていた。
「ん、ちょっと気疲れしてな」
「へぇ、天下の剣神さまも、王家の方々には緊張するのね」
「まあな。 カルロス様は、俺の子供の頃の憧れだったからな」
「えっ? そうなの?」
遙か遠くを見詰めた目つきで、語りだす。
「ああ、あの方は王族でなければ、俺の師匠の後を継ぎ『剣聖』の称号を受け継いだはずだ」
「マジで? そんな方だったのね……」
「子供の頃に師匠に連れられて、王城での稽古は俺の良い想い出でもある。 若返ったお姿は、あの頃のままであった。 許されるなら、あの頃のように剣を交え、共に腕を磨くのも一興だな」
マルスは下を向き、腰に差した剣に手をあて呟いたのだった。
◇ ◆ ◇
翌日、仁達は王城より戻ってきた。
「んー、やっと終わったな」
「「お疲れさまです」」
やっと解放為れたと、仁は腕を上へと伸ばしてコリをほぐす仕草をする。
「結構、予定と違う展開でしたよね」
「そうだな。 もっとこっそりと行こうと思ったが、予定より早く終わったから、結果オーライだな」
「すみません、私が色々とうっかりしてしまい、申し訳ありません」
アリアは申し訳ないと、シュンと項垂れてしまう。
「あー、それでしたら構いませんよ。 アリア様の持ち味ですし、悪気もないですしね」
「えっ…… あ、あの、ありがとうございます。 私はてっきり怒ってらっしゃるとばかり……」
アリアは目尻に涙を溜めて、ハンカチで拭いている。
「すみません、私も強く言い過ぎたと思いまして、許して下さい」
「は、はい。 私は、仁さまと一緒に居られるなら、何も要りません」
仁は、アリアの予想外の返答に真っ赤になってしまう。
「ごちそうさま」
「なっ!? マルス! 何時からそこに……」
「ずっと居たわよ。 お父さんったら、アリア様に夢中だったのね。 ニヒヒ」
「帰って早々お熱いこって。 ああ、ダンジョンは明日で良いから、ごゆっくり~」
サチコに痛いところを指摘され、マルスには退路断たれた上に、仁に捨てゼリフを残し去っていった。
「うぐっ……」
「………… あ、そうだわ、お昼の支度をしないといけないわ。 お店はよろしくね」
仁は何も言い返せず、アリアは真っ赤な顔でごまかして、店の奥へと消えていった。
気付けば100話超えてました。
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