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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
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剣神マルス

ここからマルスサイドとなります。





 ジェフリーが、エルトランド王国の国王となり、仁達はカルロスとサリア、マリエルらを連れてカーラの町へと帰る事となった。



 なぜカルロス達を連れて帰るかは、カーラの町の統治に関して新たな代官を立てねば為らないからである。


 カルロスとサリアは今後カーラの町の領主、カルロス・カーラントとして赴任し統治を任されるのだが、前領主のジェフリーの領主館にいるセバスチャンに用があった。



「お帰りなさいませ、カルロス様」


 領主館の玄関先に馬車を止め、降りた所でセバスチャンの出迎えを受けた。


「うむ、セバスには少し話がある。 このまま執務室に行こうか」

「承知しました」


 カルロスはサリア、セバスチャンを引き連れ執務室へと向かった。



 ◇ ◆ ◇



「済まないな、忙しい時に」

「いいえ、これも私の仕事の内ですので、構いません。 ジェフリー様の父カルロス様であれば、私の主人といっても過言ではありませんので」


「そうか、ならば話が早い。 そちにここの代官を任せたいのだ」

「………… それはジェフリー様もお認めですか?」


 カルロスの突然の命に、セバスチャンは確認を取った。


「そうだ。 もう気付いていようが、儂も若返りもう王城に居られなくなるのでな、今後はマリエルの家名を継ぎ、このカーラの領主となる。 それまでの間、お前セバスチャンを代官とし、赴任までの期間ここを儂に代わって、統治して欲しいのだ」


 セバスチャンは考え、今までの出来事を踏まえ覚悟を決める。


「なるほど、不肖の身である私にどれ程の力が在るかは分かりませんが、お引受しようと思います。 これもカルロス様ならび、ジェフリー様に仕えられた恩もあります。 粉骨砕身、勤めあげさせて頂きます」


「うむ、宜しく頼むぞ。 そうだ、セバス。 そちも知っていようが、この町の酒場の女将、マリーなのだが」

「はい、マリエル様の事ですね」


 カルロスは、昔より目端の利く家令として重用してきたセバスチャンならと思って聞いたが、的中したようだった。


「ほう、やはり知って居ったか」

「はい、最初にお会いして尋ねた折に、事情をお聞きしました。 その後内密にと云われ、ジェフリー様には申し訳なかったのですが、マリエル様のお命を優先させて頂きました」


「そうか、それで良い。 そのお前の忠義のお陰で、我々はマリエルとも再会出来たのだ。 ありがとう。 これは王となったジェフリーに代わって礼を云おう。 本当にありがとう」


「はっ、そのお気持ちに感謝し、今後も励みとさせて頂きます」


 セバスチャンは踵を合わせ、直立からの九十度の答礼で返すのであった。



 ◇ ◆ ◇



 マリエルは自分の全財産、酒場へと来ていた。


「ごめんなさいね。 急にこんな事になって」

「いいえ、マリーさんにはお世話に成りましたし、この店にも愛着も在るので、頑張ろうと思います」


 マリエルは従業員を集め、酒場の権利をマスターに譲渡することにした。


「そう? ありがとう。 では、このお店はあなた達に任せるわね。 私は王都に行くけど、ここの事は忘れないわ。 今までありがとう。 今後も頼むわね」


「「「はい」」」


 マリエルは酒場を改めて見回し、想いでを振り返り、そのすべてへ別れを告げる。


「それじゃあ、さようなら。 皆も体に気をつけて、頑張ってね」

「はい、マリーさんもお達者で」


 マリエルは酒場を後にして、仁の馬車へと乗り込んだ。



 ◇ ◆ ◇



 マリエルを回収した後、仁達は店へと戻る。


「ただいまー」

「お帰りなさい。 あれ? カルロス様は?」


「うん、アイテムボックスを取りに戻っただけだよ。 うっかりミスってやつだ」

「そっか、アリアさまのこと言えないね」


 ニシシとサチコはからかうように笑う。


「そうだな。 そういえばマルスは居るか?」

「ん? 彼なら工房で仕事をしているけど」


 マリエルはマルスと聞いて、剣神の名前を思いだした。


「えっと、マルスさんって『剣神』様ですか?」

「ええ、そうですよ。 この機会に、カルロス様達に会わせようかと思いまして」


「呼んで来ますか?」

「いや、アイテムボックスを回収しないといけないし、俺がいくよ」


 仁はサチコの申し出を断り、店の奥にある工房へと入っていった。



 ◆ ◇ ◆



「お疲れさん」

「ん? お、お疲れさま。 久しぶりだな、王都はもう良いのか?」


「ああ、新しい王様はいい人だぞ」

「そうか、なら住み易くなるな」


「それで用が在るんだが、いいか?」

「ん、俺にか? 何かあるのか」


「今、領主館にカルロス様が来ていてな、未来の領主様に面通しを為とこうと思ってな」

「そうか、いいぞ。 俺も前の王様には会って見たかったしな」


「ん? そうなのか? まあいいか、なら少し身綺麗にしようか」

「ああ、そうだな頼む」


 仁は鍛冶仕事で汗だくの体と衣服を生活魔法『クリーン』で綺麗にする。


 マルスの着替えを為ている間に、アイテムボックスの回収を済ませ、仁はマルスと店舗側へと戻る。



 ◆ ◇ ◆



「お待たせしました」

「あ、こんにちは、貴方がマルス様ですか、私はマリエルといいます。 よろしくお願いしますね」


「ん? えーっと、マリーさんでは?」


 マリエルはマルスに初対面の挨拶をしたが、マルスは酒場を何度も利用していたので困惑してしまった。


「あら、うちのお客様だったのね。 やだわぁ」

「はは、そういうば何度か会ってましたね」

「んー、仁殿。 マリエル様というと、王様の……」


 マルスにちょいちょい話しては居たので、その問いに答えた。


「ああ、現()()様の()()だよ。 そして、この町をつくった方でもある。 しっかり敬えよな」


「そうか、そうだな。 改めてよろしく頼みます。 剣神のマルス。 以後、この国で働かせて貰うつもりなので、よろしく」


「と、まあ口は悪いが、中々に真面目な人物なので、よろしくお願いします」

「はい、こちらこそ、よろしくお願いいたします。 ジェフリーや人々の為にも、ご活躍を期待しております」

「はっ、剣の指導であれば、俺に任せて下さい」


 胸に手をあて礼をとるマルスは、マリエルに対し王への協力を約束する。


「ありがとう。 これでひとつ安心出来るわね」

「ええ、彼なら優秀な剣士を多く育てるでしょう。 では、そろそろカルロス様のもとへ参りましょう」


「「はい」」



 こうして、人間たちの国に新たな伝説が加わったのである。




何時も来て下さり、ありがとうございます。

ブックマークも増えて来ました。

マルスサイドは戦闘面の表現があり、加減も難しいのでイマイチかも知れません。

苦手ですが、頑張って書こうと思いますので、よろしくお願いします。



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