魔導師長?
あれから、4日間馬車に乗せられ隣街に行き、大きい宮殿のような所で裁判? のようなものが行われた。それも、色々あったが一応終わり現在、僕は牢獄の中にいる。
ああ全く、なんて世界だここは。僕の無実の訴えを無視し、挙げ句の果てにはありもしない事実を言われ僕は無期懲役。流石に泣きそうだ。
現在、小汚い蜘蛛の巣が張っていて、カビのような匂いのする地下牢で、ルームシェアの小汚い髭のおっさんに睨まれてるところだ。せめて、ルームシェアの人がおっさんじゃなくて二次元みたいな女の子だったらな〜。なんて、考えてるとルームシェアのおっさんが僕に近づいてきて、
「ここに来るやつなんざ久し振りに見るが、その歳で兄ちゃん何やらかしたんだ?」
僕はムッとしながら彼に答えてやった。
「僕は何もやってない。お金…じゃなくて街のために悪人を倒したら、勝手な勘違いでここへ連れてこられた」
そう言うと、彼は何やら不思議そうな顔しながら僕に言ってきた。
「無実? おかしいな? ここは罪に関しちゃかなり厳しくてよ。普通は無実のやつなんざここへは来ねぇぞ? 嘘発見器も使うし嘘じゃねぇなら即解放なんだが」
(嘘発見器? そんな物使ってなかったぞ?)
「そうなのか」
それからこのおっさんと二人で会話していると、ドン! と地上につながるドアが開き、金髪で少し茶色も混じった髪の男が僕の方へと寄ってきた。
男の顔立ちはかなり美形で目は水色。身長も高く、どこか安心するような優しい顔立ちをしていた。
「やぁ! 君がシンジくん?」
「うん。そうだけど? あんたは?」
すると、さっきまで喋ってたおっさんは焦る表情で僕に小声で話してきた。
「馬鹿! この方はこの国の魔法関連のトップオブトップの魔導師長様だ! 失礼な態度をとるな!」
魔導師長? おっさんも焦ってるから結構すご人なのかな?
「はっはっは! 別にそんなに畏らなくいいよ。僕のことは、気軽にロッちゃんとでも呼んでくれたまえ!
ちなみにロッちゃんて言うのは僕の本名のロスト・ウィンをちゃん付けにしたものだよ!」
なんだこの軽いチャラ男みたないやつは? 本当に偉いのかな?
「そうそう! 実は君に朗報を持ってきたんだ。」
「え?! わたくしにですか?」
「残念! 君じゃないよ」
「そんな!」
どうやらおっさんじゃなくて僕らしい。ラッキーだな。でも、朗報ってどんなだろう。罪が少し軽くなるのか?
「で、朗報ってなんですか?」
「君、無罪だからここでていいよ!」
おお! 軽くどころか無罪。当たり前なのだが、結構嬉しいな。
「その代わりに、今から僕についてに来てもらうよ〜」
「え? 何故ですか?」
「ここじゃ出来ない積もる話もあるからね。ま、すぐに終わるからついてきてよ」
何か裏があるような気がするが、無実になるんだしそれくらいいいだろう。
「わかりました。ついていきましょう」
「話がわかる人で助かるよ〜! じゃ、行こっか!」
「あ、あのー! わたくしも無実になんてなりませんですかね?」
おっさんもチャンスに便乗する気らしい。
「んー? 助ける余地もないゴミを救うほど僕はお人好しじゃないんだよ。罪を犯した豚は、そこで一生をすごすがいい。孤独に永遠にね」ニコッ
どうやらおっさんの期待通りにはいかなかったらしい。
しかし、笑顔とんでもないこというな。ま、確かにおっさんの罪状は知らないけど、虫のいい話ではあるがな。
「そ、そんな」
絶望するおっさんに背を向け、僕は魔導師長と共に地上へと続く階段を登っていった。