【7】聞いてないよ!
こんにちは。今回は早めです。でき次第出していくのでばらつきはあると思います!よろしくお願いします。
休憩から2時間が経ち、そろそろ日も傾き始め、喉の渇きも限界が近づいてきている。腹も減ってきた。
ぎゅるるるるる
隣から腹の虫の音が聞こえてくる。
「/////////////いやゃゃ!!!」
一瞬で耳まで赤くして顔をおおってしゃがみこむ。
「あ、あー、えっと、お腹空くよね?」
何言ってんだ俺は!!!聞こえたよ?って言ってるようなもんじゃん!え!?なんて言えばいいの!?
俺も頭を抱えしゃがみこむ。すると、背中でゴソゴソと動き始めた。
「お腹空いたー!!!死んじゃう!!」
薫がついに目を覚ました。よし!ナイスタイミングだ!
「や、やっと目覚ました!薫!降りろ!重い!」
さっきのことをなしにしようと必死でかき消そうとする。
「あ!ひっど!私重くないし!ちゃんと毎日チェックしてるんだから!謝ってよ!」
背中で暴れられると歩き疲れた足には結構くる。
「おい!暴れるな!転ぶ!」
「謝ってよ!私に思いって言ったこと謝ってよ!私は軽いの!だって毎日運動してるもん!ハーゲンダッツ我慢して運動してるもん!」
半泣きで言いながら揺らしてくる。そんなに気にしてたのか、
「悪かったって!重くないよ!だから暴れるなよ!そして降りて!五時間ぐらいずっと森の中背負いながら歩いてんだからんな!」
謝ると、ならよしという感じで降りてストレッチを始めた。
「…あれ?ここどこ?」
ちょっとズレてるんだよなー!だから!
「ワイバーンに捕まって、落ちて、気絶してた薫を背負って街目指して歩いてるの!ここは森の中です!」
「あはは、そっかそっか、そうだったね。…ところでこの子は?」
お前が一緒に助けろと言った子だよ!
「あ、私エクシアって言います。ミナトさんに助けて貰って、今一緒に街に向かってます」
「あー、隣にいた子だ!私薫、よろしくねー」
こういう所でコミュ力が出るよな、
「あ、はい。よろしくお願いします 」
握手を交わして、そろそろ行こうかと声をかけようとすると、木からガサゴソと音がして、何かがでてきた。
三人がその方向を見ると、犬と狼の中間ぐらいの目を赤くした牙むき出しの何かがいた。
「ま、魔獣!」
エクシアが叫ぶと、魔獣は俺たち三人に向かって威嚇してきた。
「に、逃げろ!」
俺の声に合わせて、三人は走り始めた。
でも、四足歩行の、まして狼みたいなのに勝てるはずもなく、すぐに追いつかれ、しゃがみこむことで飛びつかれずに、頭上を越えられ、前に立ち塞がれた。
「どうする?どうすればいいの?何か武器になるものはないの?」
周りをキョロキョロ探している。
「とりあえず木の棒投げよ!ていゃ!」
そこら辺に落ちている木を投げまくる。と、当然怒らせてしまう。
グラァゥァァァゥ!!
「やばいやばい怒っちゃってるよ!」
「ど、どうしましょう!」
どうせ死ぬならできることやって死にたい!
そう思って、体が勝手に動く。
「湊!」「ミナトさん!」
二人の前に出て、かばうようにする。
「エクシア!とりあえず魔法唱えて!そこら辺に落ちてる木を拾って!服の切れはしとかでいいから巻いて付けて!松明みたいに!早く!」
「は、はい!【集え 炎よ 私の前に具現せよ ファイア】!」
服を破き、気に火をつける。そして、それを受け取って、魔獣の前に出す。
「おらー!!来るならこいやー!エクシア!どんどん付けてって!」
2つ目を受け取って手に持ってるのを投げる。繰り返して4回目、
「次ー!」
「ミナトさん!もう服が!これ以上は無理です!」
チラリと後ろを見ると、エクシアが必死に服を下に引っ張って伸ばしている。
「あ、あぁ、ごめん!」
慌てて前を向くと、魔獣は余裕をかまして、放尿による消火活動をしていた。
舐めやがって!
「どうする!?湊!」
どうするもこうするも!一か八かしかないでしょ!
今にも魔獣が飛びかかってきそうだ。
「【アクア】!」
「・・・・・・・・」
何も起こらない。くっそ!もう無理だ!
「グォゥ!」
飛びかかってきて、もう死を覚悟した。
「【ウォーター】!!」
すると水が前に現れた。クソッタレ!アクアかウォーターの違いじゃねーかよ!
なんだ!どーすりゃいんだよ!
「【ウォータースラッシュ】!」
咄嗟に叫ぶ。すると、イメージ通りに横に薄く伸びた水が勢いよく魔獣に当たるーと思いきや、ギリギリで回避される。
「くっそ!」
でも感触は良かった。
「ミナトさん!イメージです!魔法はイメージだと聞いたことがあります!」
「分かった!【ウォータースラッシュ】!!」
さっきよりイメージを強く放つと、さっきよりも鋭い刃ができた。一直線に魔獣に向かって飛んでいく。
それもとてつもなく早く。
今度は避けきれなかったのか、首を跳ねて水は消えた。
「・・・・・・・倒したの?」
1人で呆然としていると、
「「「・・・・・・助かった〜〜」」」
倒したことの喜びよりも命の安全の安堵の方が大きかった。その場でヘタってしまった。
一刻も早く街をめざしたいが、腰が抜けて歩けない。
すると、またゴソゴソと言い始めた。
またか!と覚悟すると、今度は大きめの影が複数現れた。
「おい!君たち!大丈夫か!?こんな夜遅くに!」
冒険者らしき集団だった。
「こ、これは、ワイルドウルフではないか!?これは君がやったのか?」
リーダーのような男に尋ねられる。
「あ、はい。俺がやりました。」
「まさか、そんな、武器はどこだ?」
驚いた顔で見てくる。
「あ、いや、魔法で・・・」
「魔法で!?ワイルドウルフは詠唱時間を与えない速さで攻撃してくるはずだ。Bランク以上ならまだしもこんな素人が?・・・とにかく、街に行こう。夜の森は危険だ!」
そう言うと、その集団は魔獣の頭と毛皮を剥ぎとり、それらを持って街へと向かった。
次回も早めに行きます。




