【4】異世界のはじめは命の危機
少しずつ上手に描けるようになっていたら嬉しいです!
やっと異世界!前置き長すぎましたね!
「ようこそ僕の世界へ。歓迎するよ・・・と言いたいところだけど、とりあえず逃げて」
包まれている光から解放されて一番目の前に現れたのは、とてつもなく高い天井と王冠をかぶったデブなおじさんが座っていて、
その周りにはいかにも異世界というような兵士たちが抜剣して立っている様子だった。・・・抜剣して。
「薫!逃げるよ!うおっ!体が動く!すげー!軽いよ!」
「湊!治ったんだね、よかった。って危ない危ない!剣当たったら死んじゃうって!」
新発見だが、薫は動体視力が人並み以上のようだ。目の前にきた剣を見事よけきった。
「「「「に、逃すな!必ず捕まえろ!」」」」
王らしい人の側近にいる人が口々に叫ぶ。驚異の避け術に動揺しているようだ。
「フラピー!?これはどういう」
「ごめんね、運が悪かったみたい」
「湊追いつかれる!やばいよ!」
「一か八かやってみるね!死んだらごめん!」
「うん!・・・え?ぅええええーーー!?死ぬな!湊!」
薫は捨て台詞を叫びながら前を飛んでいるフラピーに続いて大きな扉を開けて全力で走って行く。湊は立ち止まり、殿を務める。
「おい!こいつらどこから出てきたんだ!?」
「おい、貴様!何者だ!」
「お尋ね者だ!」
ちょっと冗談行ってみたら、空気が死んだ。
「ふ、ふざけてるのか!!??」
リーダーらしき人が叫ぶ。しかし、すべったままで、心が痛い。
「よし」と息んでから一番前にいた兵士を払い腰で床に転ばせて剣を奪ってそのまま再び逃走を始めた。
相手の兵士たちは見知らぬ体術に困惑してるようだからその隙に猛ダッシュで駆け抜ける。
相手は人を殺せる武器を持っているが、こちらは素手一本。
しかも約二ヶ月も運動らしい運動をしていない病み上がり。
この戦力の差は致命的だが、どうやらまだ新兵らしい。これなら逃げ切れる。そう思った瞬間、強い風とともに目の前に急に剣が現れた。ビビってちびりそう。
「おい、お前。なぜ魔法を使わない。新兵だからって舐めてんのか?だが、残念だったな。俺は新兵ではない」
焦げ茶色の肌で緑の瞳の男が剣を喉にピタリとつけて威圧してくる。
「ま、待って。人に物を尋ねるときは自分から名乗るのが礼儀だと思うよ。それに、勝手に殺したら僕から情報聞き出せないでしょ?ね、ね、捕らえろって言ってたよあのリーダーみたいな人!」
情報なんて持ってないけどね、と思いながらその場しのぎの言い訳を並べる。
相手は少し考えて、ムッとした顔になったと思ったら剣を僕のクビに当てたままだが名乗り始める。
「俺の名はアーバンだ。アーバン・エトワール・ティーベス。深緑の猫の使い手だ。」
「う、うん。僕は蔵護 湊。白の猫の使い手だよ、この剣危ないからしまってくれないかな?」
「何!?お前白の猫の!・・・ちょっとこっちにこい。」
白の猫ってやっぱりマズイのかな。でもこのイケメン話わかる人だし、剣しまってくれてるし、大丈夫な気がしてきた。
「お前、ミナトといったか。お前が白の猫に選ばれたのか?」
「う、うん。一応。フラピーは白猫だけど・・・」
「・・・・・・・・・」
沈黙が流れる。
「あ、あの…」
「……け…」
「はい?」
「やっと見つけた!」
そう言うとこしからさやごと剣を抜き、自分の前において跪いた。・・・何この人
「ミナト様。私アーバンをどうぞ仲間に加えていただけないでしょうか?」
「うん、全く話が見えないんだけど、とりあえずさ、仲間と合流したいんだけど出口教えてくれない?」
「はい!でしたらグハァ!」
「はい!?」
立ち上がったと思ったら急に横っ飛びで視界から外れる。一瞬、白の布が見えた気がしなくもない。
「大丈夫!?湊!」
どうやら飛び膝蹴りをしたようだ。スカートが足首まであるとはいえ、ジャンプはするなよ。相変わらずアグレッシブだな。
「湊ー、その人深緑の猫の人じゃない?ティーベス家の神童じゃない?」
「わからない。でもなんか僕が白の猫の人って教えたら仲間にしてって言われちゃって、その時に薫の飛び膝蹴りが炸裂して、今伸びちゃってる。」
目をぐるぐる回しながら木箱を倒した上で寝ているアーバンを指差しながら説明をする。
「いってて・・・は!ミナト殿!」
「あ、起きましたか。ここですよー」
あの後、伸びてるティーベスを回収して、今は木陰で休んで目覚めるのを待っていた。
ここで分かったことだが、若干の違いはあるが、中世のヨーロッパのような世界だった。そして今はここにいる理由を大雑把に話した。
「じゃあ、つまり助けられた白猫がフラピーで、そのとき負傷した傷を直すために今この世界に来たと言うわけですね」
だいたいは理解してくれているみたいなので、十分だろう。
「チッチッチ、アーバン君。この二人の仲はそんな簡単に語れるものでは無いんだよ」
そう言いながら当事者でも無いフラピーが自慢げに話す。自分でも忘れていたような記憶まで共有しているようで、フラピーの話を聞いていると懐かしい気分になれた。
「なんて、いい話なんでしょう!それと同時にとても悲しい・・・少し目頭が熱くなりました。」
目元を抑える色黒イケメン細マッチョ。なかなかも珍しい光景だ。
「そんなことはもういいから!とりあえずここがどこなのかと僕は何をすればいいのか教えてくれない!?フラピー!」
「そうですね。まだこの世界のことについてもあんんまり話せていないしね〜」
さっきまで楽しそうに話していたティーベスの顔が少し暗くなる。
「昨日、この世界は戦争が始まろうとしていると言ったよね?でもあれ、もうあと少しで始まりそうなんだよね、各国開戦準備に入ってるみたい。
しかも大陸戦争は猫を使って攻撃するスタイルが基本なんだ。
でも事は結構深刻で、この国ティノール王国も破壊工作で多くの兵士が死んだみたい。
だからさっき新兵があんなに集まっていたんだよ」
「それだけではありません。過去の大戦で銀の猫と紅の猫、その他六色の猫は行方不明。
青の猫、赤の猫は敵方に寝返り、群青の猫を代々継承していた一族が皆殺しにされ、大きな戦力不足。
いま戦うことが出来る猫は俺、緑の猫と黄色の猫だけです。そして今、黄色の猫の継承者は老人となり、戦場に出られるかどうか…」
来たばかりでいまいち実感わかないけど、大変そうだ。
でも、こんなにもの戦力のほとんどを失って、勝ち目もないような戦いをするのか。
そもそもこの戦いはどこの国同士の戦いなのか全く理解できない。
「ここまで言えばなんとなく察して頂けるかもしれませんが、お願いがあります。ぜひ私と一緒にこの国のために」
「お断します」
「フラピー?話は最後まで聞いたほうがいいよ。」
「私もそう思う。フラピーよくないよ、謝ったら?」
「僕は君たちだけにそれは言われたくない!・・・でも、話はやっぱり受けさせる事はできない」
「なんで?僕って強いんじゃないの?」
自分を指差しながら首をかしげる。
「確かに上位ランクの白猫である僕が付いているんだから当然強いんだけど君には経験がない。
元々の個体値でランク付けされるけど、猫の実力は経験によって変わってきて、血縁はそれを受け継ぐことができる。
いまの敵には相当な手練れがいると見て良いと思うよ。群青がやられるなんて。」
「「了解、自分語りのフラピー」」
「変な名前つけないで!と言うか君たちが聞いて来たんじゃん!」
わざとらしくごほんと咳払いをしてから話を戻す。
「えっと、だからいくら上位ランクでも魔法が使えないのなら周りの歩兵にすら負ける。おまけに周りの猫たちの力は継承されて強大なものになっているから、行っても無駄に死ぬだけ。それもアリを潰すぐらい簡単に。」
確かに、言ってることは正しい。魔法だってどうやったら使えるのか全くもって検討もつかない。
「そうだよ湊、何事もまずは基本が大事なんだよ!まずは学校だね!」
「さすが話が早くて助かるよ。ということでティーベス君、アーバン家の力を使って魔法学校に入れるようにしてくれないか?
ちょうど明日からでしょう?いやー、僕たちはつくづく運がいい」
「は、はい・・・」
苦笑いで口を引きつりながらも、承諾してくれた。
「湊、君に一つ言っておくことがある。」
「ん?どうしたの?」
「この国を救いたいという気持ちは伝わって来たからわかったけど、今回のことでちゃんと学んでね。事情を知らないで首を突っ込むのはまずいことが出てくるからね。」
「?う、うん。努力するよ」
何が言いたいのかわからないが、後々すぐにわかるようになる。
「あと、君すごいポテンシャルを秘めてるからさ、実技でガンガン飛び級してってね。
座学はちょうど薫さんの超得意分野だから安心して。君達は二人一組だから」
「う、うん」
またまた意味がわからなかったが、これもまたすぐにわかる。
「よし、じゃあとりあえず、一晩寝床を探そう!言い忘れてたけどこれから冬に向かってくけど半袖じゃ寒いよ?」
「「・・・・・・」」
季節の服をタンスから持って来たので半袖しかない。と、ティーベスが手をあげて申し出る。
「そ、それならうちの屋敷へどうぞ!一晩泊まって言ってください。」
非常に気が引けるが、野宿は嫌なのでお言葉に甘えることにした。
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夕食を終え、湊の部屋に集まることとなった。そして今は一足先に来ていた薫と話している。
どうやらフラピーは緑の猫に用があるようで、体の中にはいない。
「・・・ごめんね、湊。私のわがままでこんなことになって」
「い、いいよ。そんなことより、ほら。この部屋広いんだしもう少し離れて座っても大丈夫じゃないのかな?」
ダブルベットに机があり、ベランダには晩酌用の小さなテーブルと椅子が二つ置いてある。
そして今は薫とベットの上で肩がひっつきそうになりながら並んで座っている。
「そんなことってひどい!私結構罪悪感があるんですけど!ねえ聞いてる!?」
そういって体を湊の方にさらに引き寄せる。風呂上がりで髪からはシャンプーの匂いがする。
若干赤くなっている頬と濡れた髪といつもと違うパジャマ姿で胸が強調されて湊は顔を必死にそらしながら耐えていた。
「わ、分かった。少し落ち着こうか。ちゃんと座って」
「あれ?もしかして私のパジャマ姿に見とれてる?・・・・・うひひ」
うひひ?
「湊・・・私ちょっと寒いな。ねえ、私を温めて・・・?」
ベットの端から少し中央に移動して女の子座りになって、口に片手を当てながらモジモジして、いきなり前のボタンを外しながら肩を少し出してピンクの空気を出し始めた。
その姿はとても色っぽくて思わず見惚れてしまった。
長い時間、沈黙の中で見つめ合っていると扉の方から声がした。
「失礼する。まずこの国のことなんですが・・・おっと、これは失礼。お邪魔でしたか?」
予定より早く来たティーベスが見つめ合う二人の空気を壊すように書類を手に入って来た。
「い、いやいや大丈夫!ね?薫」
「・・・ふん!」
「ちょっとそこはうんって言ってよ!」
「知らない!」
ティーベスが来てから一瞬で服を着てそっぽを向いて怒ってしまった。
「ははは、済まない事をしたね。では話を始めましょうか」
その後、気になっていたこの国の仕組みと国王の情報、年以外の的の様子、今他国からどのような攻撃を受けているのか、戦力はどうなっているのか、
緑の猫の主人でないと知らないようなことまで知っていた。
彼の話を聞いて国王に対する湊と薫の第一印象は『賢いクズ』それ以上でも以下でもなかった。
貴族は潤い、平民はひたすら金を失う。
でも、金を失ってもそれを上回る収入がただの平民にですらある。
端的に言ってしまえばそんな感じだった。国内には鉱山などがあり、
土地柄もよく貴族が率先して自分たちの土地を守ろうと潤った金を防衛に当ていたので結果的に国を守ることにつながっていた。
領民は貴族に多くの金を取られるが、貴族はそれ相応の対価を「守る」という形で支払っている。
収入も安定していて安全性も保証されている。あえて土地を離れる理由にならない。
それに加えて貯金もできて安全に生活ができるという噂が一人歩きして大陸からの移民が絶えない。
GDPが平均よりはるかに高い分、物価は周辺国の五倍近くあるのでどの家庭も少し離れた国に買い出しに行く為、ほとんど飲食店はほとんどない。
こんなカラクリでどの国民もある程度の金を持っている。大体の人が満足することができていて、
金が無い人たちが生活に困らない程度の金を取っているだけなので『賢い』ということになる。
それの加えて学費は周りの国度同じぐらいで、金持ち面した学生がほとんどだ。
しかしその生活に絶えれるほどの生活力がある人ばかりでないので、国が住む人を選んでいるということからクズ以上でも以下でもない。
そしてもっと生活の基本として通貨は不安定な金や銀で、言葉は日本語が通じるようだった。
楔文字の進化版のような字をしているのに難なく読めることから転移中にフラピーがなんとかしてくれたのかもしれない。
ここまでは前置きで本題はここからだ。猫。魔法。日本には無かったことがいちばんの難点だった。
「さて、この国のだいたいの基礎情報はこれくらいかな。
次に問題なのは、猫の情報をほとんど知らないということだ。何も知らないであの白猫に選ばれるなんてすごいな。」
「そんなに猫ってすごいの?」
「それはもう!昔も貴重だったが、最近ではもっと丁寧に扱われている。過去の大陸間戦争を知っているかい?」
「あぁ、はい。猫がたくさん死んだっていう」
「そう。でもあれは本当は猫は死んでなくて生き延びていた。
死んだのは主人とその家系なだけでほとんどは生きていた。生きていた猫は全て白猫に攻撃された猫たちだったんです。」
「と言うと?」
「城壁外で話したように、銀と紅の猫を含む計六色の猫が行方不明になっている。
なぜ、行方不明という曖昧な表記になっているかと言うと、死亡が確認されていない、が行きているかもわからない、からだ。」
「薫、助けて、意味がわからない」
隣に座る薫の顔を見ると真剣に考え込んでいた。
「つまり、白猫に殺されたと思っていた猫たちは実はどこかで生きているかも知れない、と言う事じゃないかな?」
「そう言う事。でも黒猫の相手をした猫はみんな死んでた。これは間違いない」
アーバンは深刻な表情でそう言った。
「あの、一ついいですか?」
「ん?ああ、どうぞ」
薫が手を挙げて質問をする。
「昼間も今も銀の猫と紅の猫だけ特別視しているような気がするんですけど、なんでですか?」
「そういえばそうだね」
薫の指摘に湊も同意して質問する。アーバンは驚いた顔をする。
「そんなことも知らないでいたんですか?この世界の常識ですのに」
「「ごめんなさい!フラピーが説明してくれなくて」」
この異世界に別の世界から来たと言うことは伏せている。だから余計に常識を知らないと言うことは驚くべきことなのだろう。
「そうか・・・簡単に言うと、銀の猫は全ての猫の中で二番目に生まれ、その力も想像を絶するものであり、能力も計り知れないと言うことだ」
二人はふむふむと頷く。
「紅の猫は金・銀・白・黒の四色の猫に次いで能力の高い三色の猫の一匹だ。」
【全てを照らす猫、静の紅】
【全てを飲み込む猫、知の群青】
【全てを隠す猫、豪傑の深緑】
この三色が三本柱のようだ。
そして今目の前にいるアーバンがいまの深緑の猫の使い人みたいだ。
「そういえば、フラピー全然こないね、薫見てない?」
「知らないよ?アーバンは?」
「そういえば見てないな・・・アンシーも見てないな」
「何その可愛い名前!誰のこと!?」
薫が身を乗り出して聞く。
「あ、あぁ、アントシアン。深緑の猫、略してアンシーだ。先代がつけた名前なんだ。俺は結構いいと思うけど、アンシーが怒るんだ。」
「当たり前だ。そんな可愛らしい名前で豪傑の名が泣くぞ」
突然低い声が聞こえてきた。振り返ると、そこには
深緑と一目見ればわかる猫がいた。
「「こ、濃ゆいね」」
「なんだそのリアクションは!」
想像していた緑は鮮やかだったが、予想以上に『深い』緑で、変なことを口走る。
「お、アンシー、随分遅かったじゃないか」
「ふん、白のやつに捕まってたもんでな」
「フラピーのこと見たのか?どこにいる?」
「ここにいるよ、ミナト」
そう言ってフラピーは扉から入って来た。やっぱり猫はどの子も飛んでるのね。
「よーし、やっと揃ったからこれからのことを決めよう。薫よろしく」
「・・・えっ!?私!?急に振らないでよ湊・・・」
わざとらしく咳払いをして立ち上がる。
「えー、じゃあまずはレベル上げと仲間集めから始めましょう!」
次回「エクシアと二人」(CV:松岡禎丞さん風)
SAOのアニメみたいなのをイメージしました。みなさんが好きな声優は誰ですか?僕は高橋李依さんです!
リエリー神!!!




