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苺ジャムと僕  作者: おもひろいひと
4/4

落ち込み回避!

僕の今は


山崎さんとの日々で

成り立っていたんだと


改めてわかった



・・そう僕には・・・





なんか最近は全然

仕事に力が入らない



「はぁ」


ずっと


こんな状態だった


《こら!そこそこっ!!何!怠けておる~働け~》


何て、だれかに・・

叱られる事もない


ああ~僕にとって

生きることって


何なんだろうな?


「はぁ」


『大丈夫?あなた』

「ん?あ!すみま──」


目の前には


一度、苺ジャムを

買ってくれた


女性客がいた


『どうしたの?何か悩み』


「はい、何かもう力が入らないんです・・・」


『恋?失恋?それとも他になにかあるの?』


「高校の時の先輩に、縁を切られたみたいで」


『なあに?それだけ?バカね~まだ若いんだから!一々落ち込まないのっ!しょうがないわね?私ができることはジャムを買うことくらいだけど?頂くわ。店にある"苺ジャムを全部"貰うわ!在庫もよっ!ほらほら~早くしなさいよっふふふ』


「ぇえ!!?それ本当ですかっ!ぁ、はい!今すぐ在庫分もお持ちしますっ」


僕は一気に

落ち込みから


いつもの元気が戻った


『もしもし、私よ?今ね!落ち込んでた琢磨くんが可哀想だから~私ね?紗季さきの好きだって言ったあの"苺ジャムを"全部!買うところなのよ?ふふふ』


「お母さん?それ本当!?やったー♪紗季嬉しいーお母さん大好きー♪♪♪」


『車で運ぶから心配しないで大丈夫だから、じゃあ切るわねっふふ』


と、スマホを

鞄にしまった


「あ、あのー!お待たせしましたっ全てお持ちできました。数なんですが?全部で000瓶ありますっ」


※凄い数だった


『まあ!そんなに?娘も喜ぶわよー何かワクワクしちゃう私♪ふふ』


女性客は全て

購入してくれた


「じゃあ、お車まで台車で運びますねっ!いや僕初めてですよ、こんなに苺ジャムを売り切ったのは~嬉しいです!本当にどうも有り難うございますっ」


僕は


深々と頭を下げた


頭を上げた時には

いつもの笑顔だった


『忙しいのに、ごめんなさいね~』


女性客は


笑顔で僕を

車まで案内した 


「これで全部です!」

『ありがとーじゃあね』


手を振って

お別れした


僕は


急いでお店に戻った


「あ、もしもし!在庫の注文お願いします」


『お待ちください』


暫くすると


担当者に

代わった


『お疲れさん!一影君かな?在庫ってなんの?』


「いつもお世話になってます。一影です!あの、苺ジャムなんですけどっ」


『ん?苺ジャムは先月在庫注文受けて、そっちには運んだけど?まさか・・・』


「はい!その"まさか"です。さっき全部!売り切りましたっ」


僕の


スマホを握る手が

ブルブル震えていた


『スゴいじゃないかっ!社長が聞いたら泣いて喜ぶぞ。翌朝には届くようにするよ。よく頑張ったな!ありがとうなっ俺も嬉しいよ』


在庫担当の


★矢崎さん・・・


社長の信頼が厚い人

(聞いた話だと)


電話でしか僕は

話したことがない


でも、


凄く気さくな

人だなと思う


スマホを


ポケットにしまうと


僕は


苺ジャムが

空になった棚を


眺めながら

椅子に座った 


一分、六十分、と

お店の掛け時計を


みていた


その日は


あっという間に

終わってしまった


昼から夕方が

どっと込みはじめ


夜には緩やかに

時間が過ぎていた


こんな日も有りかと

僕は家路を急いだよ


「ふぅ、今日も無事に終わった~苺ジャムもあんなに沢山買って貰えたしっなんかこんな僕もいいかな」


僕は


ふとポケットから

スマホを取り出して


液晶を光らせた


「今日は光らないかな」


なんて、


もう、先輩からは

連絡は来ないよな


「ん、lineだ」


『琢磨?元気か!山崎だけど・・・ずっと連絡しなくてごめんな。俺な、妻の夏美とあの後に沢山!話し合ったんだよ、でなっ離婚はせずに別居したんだよ。琢磨を巻き込んだことホンとに悪いと思ってる!ごめん!許してくれるか?今まで通り仲良くしてくれるか?俺、琢磨なしじゃ生きててもつまらないんだよなっアホみたいだけど、琢磨が大好きなんだ俺は!許して欲しい・・・ごめんっ』


「謝らないで下さい!俺は別に、巻き込まれたなんてっ思ってないですよ?ずっと俺の中でモヤモヤしてましたけど、先輩を責めるつもりもないです。むしろ!俺も先輩と連絡が取りたかったですっアホですけど(笑)会いたいです、先輩に・・・」


僕は嬉しかった

男泣きしていた


『琢磨はやっぱり優しいよな。泣けてきたっ泣かせてくれ・・はぁ、俺は小さいよな?夏美が琢磨を大好きだって聞いてから、ずっと変になってたんだよ。でもな、琢磨ならって、今だって思うのにな・・夏美を愛してるから・・・情けないよな俺はほんとに・・・はぁ』


琢磨ごめんな。


夏美を俺は

手離したくない


離婚したら夏美は

琢磨に行っちゃうよ


あんなにムキに

なるんだもんな


参っちゃうよな


でも、


琢磨だし・・

琢磨なら・・・


やめろっ俺!


自分に


素直になれ!!


ダメだ!


夏美は渡さない


琢磨は夏美に

お似合いだよ


はぁ


なにを俺はずっと

ぐるぐるぐるぐる


考えてるんだよっ!


琢磨を嫌いには

なれないのにな


はぁ


『琢磨!ありがとう。じゃあ会おうかっ、ゆっくり話したいなー、でも琢磨仕事だよな?俺もだけど』


「はい!会いましょう。俺は朝まででも平気ですよ?ただ、先輩が・・朝早いから大変かなって」


『ん?平気だ!琢磨となら何日だって俺は徹夜できるぞっ!あはははは』


「先輩・・・いつもの山崎さんに戻りましたねっ!それでなくちゃですよ」


俺は


《嬉しかった》


豪快に笑う先輩が

昔から大好きだから


『ん?そうか!戻ったな俺あはははは、じゃあ焼き鳥を食べながら喋るか!朝までやってるしな。駅前の居酒屋にしよう』


「はい」


俺は急いだっ


たたたたた────


はぁはぁ・・


駅までは


ダッシュでも

20分は掛かった


バスなんて待つより

僕は早く先輩に・・


"先輩に早く

会いたいっ"


恋する乙女か僕は


違う。


でも、近いかもなー


はぁはぁ


先輩!


いま行きますっ!


夢なら覚めるなっ


たたたたた───

たたたたた───


「・・はぁ、着いた~~でも、これくらい何でもないっだって先輩に会えるんだからっ」


居酒屋がある

ビルの前にいた


『琢磨!ここだっ』

「え、先輩?・・」


僕は


声がした方へ

体を向けたよ


「山崎さん!」

『よっ!へへ』


笑顔で


山崎さんが

近づいてくる


「早いですねっ!」

『まぁ、だってよ』

「ん、何ですか?」


僕も


山崎さんも

同じだった


《早く会いたかった》


だから


走って走って

走りきったんだ


(笑)


『お!旨そうなタレの匂いがしてきたな。俺、夜まだなんだよな~腹減ってきたよ、早く上がろうぜっ』


「はい!俺も夜はまだです、お腹空きました。あーなんでこんなにタレの匂いって美味しそうなんですかね」


『ん?それは焼き鳥が旨いからだ』


真顔で言った


そして


『って真顔で言ってみた。あははははは』


「山崎さん・・・」


僕は


泣きそうだっ


『ふ、ふふっ」

『あはははは』


こうしてまた

山崎さんと


笑い合えるんだもん


"幸せです!"


二人は


居酒屋に入った


「うわっ混んでるっ」

『だな。席あるか?』


そこに店員がきた


★席空いてますよ。二名様ですか? 


「あ、はい」

『よかったな』


★ご注文はお決まりですか?


『とりあえず、生と枝豆と暖かいミルクかな』


★かしこまりました。


店員が下がる


すぐに


★生と枝豆に暖かいミルクです。


『あ、じゃあ~焼き鳥貰おうかな。レバー、鶏、鶏皮、椎茸、獅子唐をレバー以外塩でねっ』


★かしこまりました。


店員が下がる


「山崎さん?俺がミルク飲むのなんで───」


知ってるんですか?

と、聞こうとしたら


『あれだ!俺は、琢磨をずっと見てきたからなっ琢磨を見ればすぐに分かるんだよな』


「そうなんですね。凄いなー」


ミルクなんて


山崎さんの前で

飲んだことなかった


『今日は冷えるからな』


「ああ、それでっ」


でも、ミルクって


(笑)


『寒いときはな?ミルクを飲めば体が、ポカポカになるんだよっ』


「はい。そうですね」

『うん。あはははは』


山崎さんがまた

豪快に笑ってる


そこへ


★ご注文の品は以上で?


焼き鳥がズラリと並ぶ


「はい、ありがとう」

『とりあえずこれで』


店員が下がる


『お疲れ~遅くなったけど、食いながら飲もうなっ今日は来てくれて、ありがとう。かんぱい』


「いえ、こちらこそですよ。ありがとうございます、先輩!かんぱい」


グラスとグラスが

当たる音がしたとき


急に僕の心に

雲がかかった


「山崎さん?聞いてもいいですか」


『ん?なんだ』


「はい。夏美さんと別居って俺が理由なんですかっ」


『そうだ。夏美な?琢磨の熱狂的ファンの一人と会ったんだって。それで琢磨の魅力の虜になってな・・・今はもう妻じゃなくなってるよ』


「え、俺のファンと・・・それは大変だな。なんか俺山崎さんに避けられても可笑しくないですね」


『うん。でもな?琢磨は被害者だから俺は別に避ける理由はないんだよなって、色々考えたんだよ。夏美の気が済むまで、待つつもりだ。いまはバカになってるからな。琢磨には悪いがそんな分けだ』


「はい。俺は別になにも気にしてないですよ?ただ、山崎さんとギクシャクが嫌なだけですよ。そんな理由で・・・」


『夏美を頼むよ!俺には手が追えなくてなもう』


「頼むってなんですか」


『うん、多分店に顔だすと思うからな・・・』


山崎さんが


★可哀想になった


だって、こんなに

肩が下がってるんだもん


『はぁ、なんで琢磨なんだよな』


「すみません」

『いいんだっ』

「すみません」

『俺が悪いんだ』

「何でですか?」


山崎さんはいった


「俺が構ってばっかいたからな、甘やかし過ぎたんだよ。何でも夏美が欲しいもの行きたい場所やりたいことはみんな!いいよっていってきたから、相手はそれが当たり前になるんだな。それがかえってダメなんだよなーアメとムチを使い分けなかった俺の責任なんだよ』


「山崎さん俺にも優しすぎるから」


『それはそうだっ俺は琢磨が──ん?スマホが鳴ってるか!?』


山崎さんの

スマホが鳴った


『はい!』

「私、夏美」

『どうした?』

「うん、・・」

『寂しいのか?』

「違う、けど・・」

『そっか、あはは』

「誰と居るの?」

『知り合いだけど』

「あ!女でしょっ」

『違いますけど?』

「じゃあ私も行く」

『は?何をいきなり』

「怪しい~離婚ねっ」

『バカか!琢磨とだ』

「ぇ!琢磨くんとっ」

『だからだ、バカか』

「何処?行くからっ」

『駅前の三階居酒屋』

「わかった!行くね」


スマホが切れた


「夏美さんですか?」

『うん。今来るって』

「そうですか。え!」


『ごめん。離婚は困るからな』


「離婚って言ったんですか!?」


『うん』

「はぁ」


『ダメだな、俺がこんなんだから・・夏美をあんな姿に変貌させちゃってよ』


「・・・・・」


なにも言えない


僕に先輩の気持ちが

理解できるわけない


婚約者にすら

捨てられた身だ


しばらくは無言で

小さく飲み食いし


それから


「あ~ミルクで体ポカポカですよ」


『俺も飲もうかな』


そこえ店員がきて


★ご注文ですか?


『暖かいミルクをあと、刺身五点盛りを』


★かしこまりました


店員が下がる


すぐに


★暖かいミルクとお刺身五点盛りです。


店員が下がる

と、そのとき


たたたた───


『ん、夏美!』

「琢磨くん♪」


そこには


夏美さんがいた


「ぁ、どうも」

「もう!バシッ」

「痛いですよー」

「会えて嬉しい♪」

『夏美?何か飲むか』

「あー飲みたいっ!」


★ご注文ですか?


『暖かいミルクを二つに、夏美?何か食べるか?どうせ何も食べてないんだろ!ほらっ』


「じゃあ~お雑炊セットをそれと~唐揚げ下さい」


★かしこまりました。


店員が下がる


『やっぱりな、たくっちゃんと何でもいいから食べろよな!こんなに痩せてるんだから』


「ベッ、ふん。私のことは気にしないでっ」


『気にするよっ!たくっ女ってなんでこうも口が達者なんだよっ』


珍しく


山崎さんは

カッカしていた


「な、なによ・・そんなに怒らなくたって・・・いいじゃないよ」


夏美さんを見ると

泣きそうだった


「はいはい、これでおしまい!今日は楽しく飲んで食べるんですからねーもうっ」


僕は


二人の会話に

割って入った


『そうだぞっ!夏美!今日はな琢磨とあれ以来なんだっ酒が不味くなるじゃないか!邪魔するなら帰れよ』

あぁ、


夏美ごめんっ"


これくらい男なら

いや、夫ならさっ


妻に言わないと

ダメじゃないか


俺は!!!!!


夏美を


《愛してるんだぞっ》


夏美を甘やかし過ぎた

罰が当たったんだから


俺が変わらなきゃな


はぁ


『何でさっきも今も、私を虐めるのよ、酷いよ・・脩平は私に、こんなキツくないよ?いつもなら』


※脩平

しゅうへい


夏美さんが今にも

泣き出しそうだっ


『ん?そうか~俺は普段もこうだけどな。嫌なら帰れっ飲んでるときに女は邪魔だよな琢磨?』


「えっ、そ、それは~」


そうだ!


先輩はきっと


わざとキツく

言ってるんだ


じゃあ俺だって


一二の三だ───っ!


えいっっ


「そうですよー女って可愛い顔してても~強情だし我が儘だしほんと!酒が不味くなるよなー」


言っちゃったよ僕が

こんなことだれかに


言ったことないのに


ついでだから


ほいっっ


「夏美さん?山崎さん、本当は今日!女の子来る予定だったんですよ?夏美さんが来るからって断ったんですよ。ああ~俺も一緒に飲みたかったのにな~最悪だほんと」


ヤバぃ・・・?かもな

夏美さんにこんなこと


でも、僕だって


好かれてるのは

うれしいけど


強烈なファンには

困るんですよ・・


山崎さんだけは

笑っててくれなきゃ


困る。


うん、そうだっ!


これくらい

言わなきゃ


ふん、だっ


『琢磨!あはははは』

「二人して私を・・」

「俺もやけ酒だっ!」

『お!じゃあ飲むか』


★ご注文ですか?


「生二つと、夏美さんは何か飲みますか?」


「私も生飲むもん・・」


夏美さんが涙目で

口をぶっとした


『ぉお!夏美が酒かっ珍しいこともあるんだな、あはははは』


おい、マジかよっ


夏美は酒なんかよ

飲んだとこなんて


みたことないぞっ


俺、どうすれば

いいんだよ~


「私だって飲めるわよ」


「生三つで!それと唐揚げに(夏美さん美味しそうに食べてたから)焼き鳥はレバー、椎茸、鶏、アスパラべーコン、鶏皮をレバー以外タレで下さい。あと!たこわさに大根サラダを」


★かしこまりました。


店員が下がる


『ここ?旨いよな~レバーはやっぱ!タレだよな。いい仕事してるよ!朝まで何本食べれるかな~あはははは』


「はい、俺もレバー大好きです!」


「あ、ダメなんだよ!レバーって栄養価が高いから、牛豚鶏によって一日の量がちゃんと決まってるから、食べ過ぎちゃうと体が可笑しくなって、ある病気になるんだからっ」


夏美さんは


料理好きだって

聞いたことがある


なんかいいなぁー


"こういう感じ"


奥さんなんだなって


僕にもあったのかな


彼女(婚約者)に

捨てられなければ


こんな会話がさっ


「へ~詳しいんですね!レバーって、そんなに栄養価が高いんだっ知らなかったなー」


『夏美の料理は旨いからな!顔いい!性格いい!料理最高!だめなとこないなっ』


あ、つい本音が。


あちゃーマズぃ・・

甘やかすとまた・・


「ぇ、それ本当?脩平?」


★注文の品はこれで?


『あ、うん。ありがとう』


「食べましょう!美味しそうだなー頂きます。う~ん最高~はうはう、あっつ!あちち、はうもぐはうもぐゴックン・・レバーほんとっ!タレがやばいですねっ(ウマッ)」


「どれ~私も食べてみよっと、、ん?モグモグ・・あ~ほんとだねっ!美味しい。ここやばいかも(笑)」


『じゃ俺も・・・ガブッ、ぉおーやばい、な。旨すぎるだろ!旨味の宝石箱や~あはははははは』


「こんなに美味しいと、妻だって、胃袋(妻は旦那に美味しい料理で家に帰りたくなるようにする)を掴めないわよねっ」


ん?


まただ・・・


奥さんになってる。


夏美さん、、

もしかして


「夏美さんは、先輩に料理を作るとき、一番になにを考えますか」


僕は


・・なんとなく

聞いてみたくなった


「そうだな~うん~、大好きな物を作ってるかな」


「あ!俺の・・・元婚約者と同じですね。言ってたな、女はね?惚れてるといつだって相手に喜んでほしいから甘やかすって」


「え。・・・そうなのね」


あれ、なんかいま

夏美さんが照れた


気のせいかな・・


いや、でも

きっとそうだ!


『俺が帰ると、夏美の料理がでてきて、それを俺が食べるのが・・・ずっと当たり前だって!思ってきたけど、違うんだなっ俺などんなに旨い焼き鳥を食べて帰っても・・・あはは、可笑しいけどよ?夏美の料理が食べたくなるんだよな。いまだって、それは変わってないな』


先輩は、真剣な顔で

何処を見るわけでもなく


そう言っていた


「わたしだって・・・琢磨くんは大好きなのに!脩平に料理が作りたくなるのっだからっ私!脩平に電話したんだからねっ」


やっぱり、だ・・・


夏美さん、


先輩をちゃんと

大好きなんだなっ


寂しくなったのかな


先輩と離れて知った

今なんだろうな・・


いいな、なんか


こういう会話僕も

したかったかも


「いいで────うっ」


僕は急に


言葉が・・・

詰まってしまった


『琢磨・・・』

「琢磨くん!」


そう、僕は

泣いていた


はじめてだった

いや、違うかな


あの日、先輩の前で


(僕が死のうと決めた日)


泣いた以来に涙なんて

流した記憶はなかった


「すみません!何でだろうな、おかしいな、あは、どうした俺・・・なんか壊れてきたみたいで。うぅ"」


琢磨は琢磨はね、


ずっと


無理をしていたことにも

気づかなかったんだよ。


婚約者に


★婚約白紙を

突きつけられた日


琢磨は


あの日を思いだし

あの日に自殺さえ


していれば・・・


僕は二度も


死ぬことはないとさえ

思っていたんだよ


「俺、生きてて、ほんとに、いいんですかね」


『やめろよっ!琢磨は今のまんまでいいじゃないかっ、また死ぬとか考えてるんじゃ・・・ないだろな?』


「分かりません。こんな気持ちになるなんて俺も、まさか誰かにこんな姿みられるなんて、だから、わかりません」


「琢磨くん、なんかあったのね」


『琢磨、もしかして?俺たちみて元婚約者のこと思い出したのか!』


「はい。そうみたいです」


「辛い気持ちはだれかに話して、スッキリしないと辛いでしょ」


『そうだぞ?ん?俺で良ければ聞くぞっ、任せろ!あはは』


「大丈夫です。俺これで帰ります!仲良く二人で今日は家に帰って下さいねっ」


僕は席を立ち

振り返らずに


店を出た


「琢磨くん!」

『夏美、いいよ』

「だって~」

『琢磨だから』

「うん」


『琢磨、死んだりしないよ。大丈夫だっ』


琢磨はきっと


大丈夫だと俺は

そう、信じてる


「どうする?」

『帰るかっ?』

「うんっ」


夏美は喜んだ


琢磨のお陰で

夏美と元通り


なのに


琢磨は一人で

苦しんでるよ


はぁ


俺と夏美は

手を繋いで


二人の家に帰った


俺は一人歩いてた


「よかった、先輩に夏美さん戻れるね。俺なにやってるんだよっあんなとこで泣くなんて、ダサいよな」


スマホを見ると

光っていた


「ん」


誰だろう・・・


『久しぶり。愛里だけど、いきなりご免なさい。あのね、私と会ってほしいの!ダメ?』


僕は


一瞬ふっと心臓が

止まった気がした


「いいけど」


素早い動きで

液晶をタッチ


『じゃあまた連絡するね、お休みなさい』


「おやすみ」


一体、なにを

会って話すんだろう。


結局僕は


この日は


眠れないまま

仕事に行ったよ



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