売上の秘密
僕、一影 琢磨は
いちかげ たくま
日々精進して
ジャム販売を
楽しんでいた
そんな中・・・
ふと見上げると!!?
「ぇえ━━━━"っ」
ある事実を
知ることとなる。
「いらっしゃい」
『苺ジャムあるかしら』
客が真剣な顔で言った
「なにかお探しで?」
『う~ん、娘がねーここのが美味しいからって言うのよね』
棚には沢山の
★苺ジャムが
ズラり並んでいる
「僕のおすすめは、やっぱり、これかな?苺の果肉がゴロゴロ入ってて、甘酸っぱいのが癖になりますね」
客は迷ってはいたが
じゃあと、それを
購入した
「ありがとうございました」
『ありがとう、また来るわね』
「やった、売れたよ。このジャム高いし、中々手が出ないからなー果肉ゴロゴロタイプだから値段は張るけど、ほんとに美味しいよなこれ」
と、男は呟いた
『あの~』
「はいっ」
『私にも、それを下さい』
「へ」
『うふ』
「ああ~これね」
『はいっ』
可愛い子だった
僕が生きてる中でも
とびきりのNo.1だ!
『私、いまの聞いてましたよ・・だから気になってしまいました』
「ん?今のって」
『一人言で・・』
「ああ!あれね」
男は急に
恥ずかしくなった
『いいと思います。その本心でまた、お客さんが増えるなら』
と、うふっと
笑っていた
「か、かわいい」
『ぇ』
「うん、君が可愛いなって言ったんだよ」
『・・・』
「はい!苺ジャムね」
『・・・私、可愛くなんかないです・・・』
「え」
客は
慌てたように
店を出ていった
「あ、待って・・・っ!俺、悪いこと言っちゃったかな、まいったなー」
『この女泣かせ!あはは』
「あ、山崎さん!見られてたんですね、今の・・はい、なんかあのお客さんを不快にさせちゃったみたいで」
『ん?不快には、なってないんじゃないかなー』
「え、何でですか?」
『だってさ?可愛いって言ってなかったっけさっき』
「はい、言いましたけど」
『じゃあ尚更?女の"天の邪鬼が"邪魔したんじゃん?女ってさ、ああ見えて、奥が深いからさ』
「うん、そうなんですよねーああなんか俺もう可愛いなんて思っても~言わないことにします」
『まあ、色々むずかしく考えないことだね』
「で、今日は?何しにこちらに来られたんですか」
『いやね、妻が苺ジャムが食べたいって煩くてさ(汗)ここのじゃなきゃヤダっていうんだよ』
「苺ジャムでも、色々ありますよ?果肉入りやなしも、値段も安いのもあれば中々手がでない物までも・・なにか具体的に聞いていますか?」
『待って、電話してみるからさ』
と、待つこと数秒・・
「はい、代わりました」
『すみませーん、私妻の夏美っていいます!私ね貴方に選んでほしくて、旦那に行ってもらえばきっと電話が来るんじゃないかと思って。よかったわーごめんなさい』
と、僕は事情を聞いて
電話を切ってさっそく
『なんて?』
苺ジャムを手にとり
「これで」
と、手渡した。
『え、こんなに高いのを!?』
「きっと奥さん、気に入りますよ」
『うん。じゃあこれを』
「ありがとうございます」
山崎さんは
ジャムの入った
箱入り袋を手に持ち
店をでた
「ふぅ、なんでこんなに苺ジャムばかり売れるんだろう・・」
ふと
あるポスターを見た
そこには
「あ。俺が笑ってるよ。苺ジャムをスプーンですくって食べてるし。あんなのいつから貼ってたっけ?って、俺知らないしっ」
なにか書いてあった
読んでみた
※
僕の大好きな、
苺ジャムを
食べると
こんな笑顔に
なれるんだよ!
※
「え、これって確か覚えがある・・・・・ぁ!面接官の前で、この会社にアピールするときの僕の行った一部分じゃないかっ、え!あの時は確かに写真撮られてはいたけど、まさかっポスターにするなんて話は聞いてないぞっ」
顔が
蒸しダコ状態だった
カァーっとなり
電話を掛けてた
「もしもし、社長さんに代わって下さい」
『お待ちください』
僕は
なにを言うかなんて
分からないまま
電話をしていた
『はい、社長の高島ですが』
「あ、あ・・社長さんですかっ私!ジャム専門店販売員の一影と申します!ひとつだけ、お尋ねしたい事があります、いま大丈夫でしょうか?」
『一影君か~どうぞ』
「はい!店内に貼られたポスターが、なぜ私なんでしょうか・・・」
『ん?ああ、あのポスターか~、あれは本当に全店舗に大好評でさ、苺ジャムが会社でトップの売り上げになったのも、君のお陰なんだよ~』
「え!?全店舗ですかっ!」
『ん?君は知らなかったのかな?この会社に入る前に、採用の際は面接の時のアピール写真を選び、店内に貼るポスターになるって書いてあったはずだけどね。 ああ、それで電話くれたんだね?悪かった!無断にポスターにされたと怒っているんだね?嫌かな』
「違います!」
『ん?じゃあ・・』
「これで理由が分かったんです!ずっと、どうして"苺ジャムの"売り上げばかりが上がるのかと・・」
『勘違いしちゃダメだな。苺ジャムが売れるのは、君がお店で努力した結果だよ?ポスターは、君が、輝いてこその?売り上げになるんだよ』
「はい!ありがとうございました」
『でも、私も、君には言い尽くせない程に、感謝してるんだよ。忘れずに、頑張ってくれよな』
と、電話は切れた
「社長さんと初めて話したよ。ふぅ緊張したな」
「いらっしゃい」
『・・さっきは』
「気にしないよ」
『私!本当は、あのポスターを見て・・調べて、今日になりました。まさか本当に会えるなんて、嬉しくてっ』
「ああ、あれね。僕もさっき貼られてるのを知ったんだけど、驚いたのなんのって」
『知らなかったンですか?』
「うん。全くねっ」
『ぇ"じゃあ作られた笑顔じゃないんですね!よかったーあの笑顔が大好きで私!苺ジャムが大好きになったんですっ』
「やっぱり、可愛いね」
『はい!』
「うん、ふふふ」
二人は笑い合った
「これ、あげる」
『ぇ"うん・・』
僕が手渡したのは
苺ジャムの
メッセージ
カードに
★スマホ番号に
★スマホのID
可愛くて
笑顔もいい
その客は
嬉しそうで
頬を染めた
「いらっしゃい」
『苺ジャム下さい』
この日は
苺ジャム以外は
売れなかったよ
店の電気を切り
ガラガラ~っと
シャッターを閉め
帰宅途中に
スマホを見た
『お疲れさまです』
「あ、うん・・・」
『さっきは有り難う』
「いえ、なにも」
IDでのline後に
突然スマホが鳴る
リリリリリ~ン♪♪♪
リリリリリ~ン♪♪
「はい」
『はい』
「ふふ」
『うふ』
変な二人だった
なにを喋るでもなく
こうして照れながら
家に着く頃には
電話を切った
今夜はいい夢
見れそうだよ
僕は疲れきり
家に着き直ぐに
バタンとベットに
そのまま倒れ
眠りに付いた
おやすみ~なさ~ぃ
『いい忘れました。おやすみなさい』
と、
切られた電源のまま
lineは届けられてた
僕、一影 琢磨は
いちかげ たくま
何度だっていうぞっ!
ひょんなことから
まさかの
出会いをした
もしかしたら・・・
もしかするのかな。
何て期待しつつ
僕は眠りに
付いたんだよ
「ああ、神様!仏様!僕にまた!チャンスを・・下さいっ」
そう、琢磨は一度
たくま
長く付き合ってた
恋人"愛里に"婚約を
あいり
白紙にされ
フラれた
いたって
普通だったが
やっぱり傷は
深かったのだ
でも、この男?
普通にモテるのに
なぜフラれたのか・・
謎なのである。