隠し事と迷惑
今回は2人の目線を別々にして書いてみました!!
では、いってらっしゃーい(*ˊ˘ˋ*)♪
【暁said】
(着いた……!)
「「足、疲れてない?」」
「ううん、大丈夫だよ」
私と暁月くんは遊園地に来ていた。朝の9時に駅で待ち合わせして、一緒に遊園地に向かったのだが、少し遠く、正直足が痛んで来たのだが、これからなのに休みたいなんて言えなかった。……いや、言いたくなかった。暁月くんは白のTシャツに水色のデニムジャケットを羽織った涼しげのスタイルに肌色のズボン、黒の大人っぽい靴を履いていた。首元に大きな十字架のネックレスが掛かっていた。
(かっこいいなぁ……)
「「じゃあ、行こうか」」
「うん!」
私たちは遊園地のチケットを買い、中に進んでいった。
【暁月said】
(どうしようか……)
昨日、また会いたいと思い、遊園地に誘ってしまったのだが、プランは何も考えていなかった。思いつきで動くには、流石に無理があると思ったからだ。好印象を狙い、爽やかスタイルにしたものの、自分の顔と合う服ではない気がした。それでも、暁はかっこいいと言ってくれたので、気分が上がってしまう。暁は、白のフレアワンピースに、優しい水色のカーディガンを羽織ったスタイルで、少しヒールの入ったパンプスに、透ける靴下を履いていた。首元にはハートのネックレスが2つくっついて掛かっていた。
(凄い似合う……可愛い)
いちいち仕草が可愛いくて、思わず顔が赤くなってしまう。暁の前では赤面症になりそうだ。
(やっと見つけたんだ、慎重にいかないと……)
暁に何気ない事をして、傷つけてしまっては元も無いのだから、いつも気をつけているつもりなのだが、不意に思わず遊園地に誘ってしまったりと、慎重にと思ってる割には行動と一致しないのが、俺の悪いところだと思っている。
「暁月くん、これ乗ろう!!」
俺の裾を引っ張ってくる暁はとても楽しそうだった。……可愛いな。あああああ聞かなかった事に……
「「わかった。いいよ」」
気持ちを抑えて、爽やかな笑顔を作って見せた。すると、暁は頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。何かしてしまっただろうか。不覚にも焦ってしまい、あたふたしていたら、
「だって、暁月くん嘘っぽい笑顔で距離が遠い気がするんだもん。それだったら今の焦ってた方の暁月くんの方が身近に感じて好きだな」
そう言って暁は可愛らしく笑顔を向けて振り返った。
(か、可愛い事いうなぁ……)
さらっと好きと言われ、顔を赤くしていたら、本人も気づいたらしく顔を赤くしていた。
(少し意地悪したくなるな)
「「そっかあ、暁は俺の事好きなんだ?」」
意地悪をしてる自分の顔が、ニヤついてないか心配だが、暁は名前を呼ばれた事と意地悪で言った事に否定せずただ顔の赤みが増していた。
(! 嫌いっていう訳では無さそうだ……良かった)
「い、いこ……!!」
顔が赤いのを必死に隠しながら、歩く姿はとても可愛くて愛らしかった。
【暁said】
色々な乗り物に乗って休憩しようと、暁月くんが飲み物を買ってきてくれているので、ベンチに腰掛け待っている事にした。
(それにしても、暁月くんに好きなのバレそうだったなぁ……)
好きだと気づいてしまうと気持ちが止まらなくて昨日はあまり眠れなかった。少し眠いが目を擦り、頬をパシッと叩いた。足もヒール靴のおかげで、じわじわと痛みが増してきていたが、そんな事言ってられなかった。
(せっかく来たのに……迷惑かけられないな)
この前みたいに勘づかれないように歩いているつもりなのだが、果たしてちゃんと隠せているのだろうか。どう隠そうか考えていると、いかにも頭が悪そうだがイケメンの不良らしき男の人が2人、目の前に立っていた。
『そこのお姉さん1人?一緒に遊ばない?』
初めての〝ナンパ〟と言うのだろうか。2人はガタイが良く、強そうな人達だったわ、んもめら、りらり言われて少し嬉しかったが、この状況を回避する為に考える方が先だった。
「あ、いえ、彼氏と来ているのでごめんなさい。」
友達と言うとしつこくなると思い、彼氏と言う事を考えたのだが、ナンパ男達はそれを避けるための冗談だと思っているようだった。
『そんな事言わずにさぁ〜。
ほら、あれ行こう?
絶対楽しいって!』
そう言い、男達が指さしたのは[呪いの部屋]という、いわゆるお化け屋敷に誘ってきた。
(お化け屋敷嫌なのに……!!)
私は昔から心霊だの幽霊だの怪談話など苦手で、前に公園怪談話を聞いていたら怖くて逃げてしまい、迷子になり、近くにいたお姉さんに道を聞いて帰ってきたのだが、後からそのお姉さんが既に亡くなっていたことを知り、幽霊だった事に気付いてしまった。その事があってからは、お化け屋敷などに入ると何かとスタッフの人と違う〝本物〟が見えてしまうようになったのだ。
「ごめんなさい、お化け屋敷怖くて嫌なんです。」
『怖いのか〜!大丈夫、俺らが守るよ〜!!』
男達は頼って欲しくてお化け屋敷を選んだのだと後から気づき、今のは失態だとわかった。
『ねぇ、いこ!』
「痛っ……!」
男達に腕を引っ張られ、痛みが走る。男達もなかなか私がなびかないからか、笑顔でいるが、相当イライラしているように見えた。
(ど、どうしよう……怖い)
「「彼女に何してるんですか?」」
側から優しい、でも少し怒っているような声が聞こえた。
「暁月くん!」
『あ、?あづき?ま、まさか……』
男達は驚いた顔をしていた。少し遅れて暁月くんも驚いた顔をし、焦りの顔を浮かべた。
「「暁、行こう。」」
先に口を開いたのは暁月くんだった。
「えっ、でも……」
『ちょ、ちょっと!俺ら、待ってますから!暁さんの事!』
最後に男達の声が聞こえた。私にはその台詞にどういう意味があるのかわかっていなかった。
暁月くんは私の手を握ったまま、何度呼んでも気付いてくれなかった。その時の顔は真っ青に青ざめていた。
「ちょっと、暁月くん」
「「……」」
「暁月くんっ!!」
「「!!」」
私は暁月くんの腹当たりに手を回し、動きを止めようと試みた。
「話、聞いてくれる?」
「「うん……」」
暁月くんは小さく頷いてくれた。
「あそこのベンチに座ろう」
そう言い、私と暁月くんはベンチに腰を下ろした。
「あのね、私、怖かったんだ。初めての事だったから。でもね、暁月くんが助けてくれて本当に嬉しかった。ありがとう」
私は笑って彼の方をみた。
多分、彼はこの状況を彼自身驚いている。だから、今聞くより、感謝の気持ちを伝える方が彼にとっていい方法だと思ったからだ。
「「……どうしたしまして」」
彼はオドオドしながらそう言った。私はその様子で何故こうなっているのか、知られたくないのだとわかった。
「暁月くんが言いたくない事は聞かないから。だから、言える時が来たら教えてくれるかな?」
「「……わかった。約束する」」
【暁月said】
暁と俺は駅に向かって歩いていた。あの時から、変な空気が流れ、ぎこちない会話にしかならなかった。彼女が今話さなくていいと言ったのは、俺の事を考えてくれたのだろう。
(俺が昔、あんな事しなけりゃ……)
昔した失態を思い出すと、 身体が重い何かに包まれる気がする。
そのまま駅につき、電車に揺られていると、隣から何かが肩に当たった。横を見ると、彼女が寝ていて、暁の頭が俺の肩に寄っかかっていた。かすかにスーッと息をしている声が聞こえてくる。
(無意識はずるいだろ……)
そう思い、自分と闘っていた時、
「あ……し、……の……」
彼女の寝言らしきものが聞こえた。
(なんて、言ってるんだ……?)
耳をすまして聞くと、
「あづき……くん、どうして……そんな顔を……してい、るの……」
彼女はそう言って涙をこぼした。
「「……っ!」」
彼女も色々な不安があるのに、気付いてあげられなかった。
(……明日、言おうかな……)
秘密を打ち明ける理由なら、彼女の涙だけで十分な気がした。
【暁said】
起きてみると私はもう、家についていた。
(電車の中にいたはずなのに……)
そう思い、母那津に聞いてみると、
「それなら、あづきくんって子がベッドまで運んできてくれたわよ」
「えっ、……」
彼に結局迷惑をかけてしまった。
足がまだ少し痛む。足元を見てみると、包帯が少し巻かれていた。やってくれた人は器用な人だろう。母や兄は昔から不器用でこういうのは私に任せていた。
(……暁月くん、?)
部屋に戻るとメモが1枚落ちていた。
[明日、また公園のベンチで会おう。3時くらいに。]
と、書いてあった。暁月くんが何を伝えようとしているか、今だけわかるような気がした。
どうでしたかね?
暁月の謎が次回わかります!!
また、次回お会いしましょう!!