仕官
「君は、オヤマを知っているのか?」
「ああ、知ってるよ。小山って栃木県の小山市のことだろ?
小山は俺の、、あ、そうだった、ここはどこ? つーか寒っっ!!」
意識がはっきりしてきた俺は、とてつもない寒さを感じた。
どういうことだ?
さっきまで夏だったのに、半袖だったことも相まって真冬並みに寒い。
ここはいったいどこ?なんで俺は草原にいるんだ?何がどうなってるんだ?
俺を助けたその人が言う。
「落ち着け。ここは、残念ながらオヤマではない。
不毛の地、アオモリンだ。
とにかくこのままじゃ君は風邪を引いてしまう。
私の居城に案内しよう。」
近くの林にとめてあった馬にのっけてもらい、俺は彼の居城へ向かった。
居城につくと、彼は暖炉のある暖かい部屋に案内してくれた。
だされた芋粥で体を暖めながら、俺は彼からいろいろな話をきいた。
ここは1000年後の未来であること。
ここは関西でも小山でもなく、
かつての青森県にあたるアオモリンという地であること。
気候が寒冷化し、
イヴァテ・アキータ(かつての岩手・秋田県)よりも北は年中冬であること。
トゥツィギー族と強制移住、ワラスーボ朝の話、、、
「おい、待てよ。
お前の名前は、オヤーマ・シャー3世だよな?
ってことは、、、トゥツィギー族の酋長!??
失礼しましたーーー。」
酋長は笑った。
「知らなかったのだから仕方がない。
それに私には、ため口で話すことができる、年の近い友人がいない。
これからも、“お前”でいい。これからよろしくな、大平。」
偶然にも酋長と俺は年齢が近かった。
酋長が18歳、俺が21歳。
俺は酋長に切り出した。
「分かった。でもさ、お前じゃなんかしっくりこないんだ。
だから、お前のこと、シャーってよんじゃだめかな?」
※ガン○ムではありません。
「いや、むしろ歓迎だ。
あだ名で呼ばれるのは初めてだ。
少しうれしいな。そう、私はシャーだ。
ハハハハッツッツッツ」
だが、いつまでもここにお世話になってちゃ申し訳ない。
「でもさ、俺たち、友達になったのはいいけど、
いつまでもお世話になるわけにゃいかないし、、
なあ、何か仕事ないかな?俺、何でもするからさ。」
返ってきたのは、シャーからの意外な返答だった。
「私に、、よかったら私に仕えてくれないか?」
大平啓太。大平を我が軍師としたい。」
「ええっ?軍師?
いや、俺、当たり前だけど軍師とかやったことないし。
これといった能力とか、特技とか特にないしなあ、、」
俺は凡人だ。こんな俺に軍師なんてつとまるはずがない。
「いや、大平にはトゥツィギーの軍師たる資格がある。
大平、君には、誰にも負けない強みが、少なくとも1つある。
それは、オヤマ、そうオヤマを愛する心だ。」
シャーの言葉を受け、俺は考えた。
確かに、俺は小山が大好きだ。小山を愛してる。
関西に来て、
「小山ってどこ?なにそれ?おいしいの?」
みたいなことを言われると、俺はすごく悲しかったし、
なにより、小山の魅力をみんなに知ってもらいたかった。
シャーと一緒にワラスーボ朝を打倒すれば、小山は首都になる。
日本の首都、小山。地理の教科書に小山が掲載されて、みんなが
小山のことを勉強するんだ。
シャーと一緒に天下をとるんだ。
俺は決心した。
「分かった。はあ、まったくしかたねえなあ。
俺でよかったら軍師になるぜ。」
こうして俺はシャーの、いや、栃木の軍師となった。
だが、軍師になってすぐに大難がまっていようとは、、、
このときの俺は、想像すらしていなかった。