表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

ダンジョンのネタ

 入れたものを逃がさない迷宮――ダンジョン。


 なろうの転生召喚主人公が挑むメインバトルフィールド!!


 ではダンジョンとはなんだろうか?


 お約束の語源から。

 元ネタは地下牢(dungeon)。

 中世の城の地下(もしくは半地下)は、頑強なれど住居に適さない空間だったため罪人を閉じ込める牢獄が存在した。

 狭義にはこの城砦の地下牢がダンジョン。

 それも我々がイメージするような石造りの留置場みたいなものではなく、大きな落とし穴に罪人を入れ上からフタをする井戸もどき。上から紐を垂らしたり梯子を下ろして貰わなければ出ることができないヤバイ代物。


 更に城砦の地下には礼拝堂、納骨堂、宝物庫、武器庫、拷問室、使用人の生活空間などが存在した(住居に適さないのに使用人の生活空間があるのは……つまり貴族と平民の差ですね)。


 薄暗くじめじめとした空間、幽霊が怪物が――納骨堂や牢獄ならなおさら――出そうな雰囲気。

 宝物や武器など大切なものが隠されているという点も冒険心をくすぐる。

 何より他者を容易く中にいれず(宝物庫がある)、それでいて逃げるのも難い(牢獄ですし)。


 これらのイメージから地下牢を意味するダンジョンという言葉は、財宝が眠るしかし危険な迷宮と認識されるようになった。まあ、最大の原因はとある”迷宮と竜”なゲームだろうが。


 さて大雑把にダンジョンの外枠を書いたら恒例のネタへ。


○ダンジョンの種類


 まず大雑把に分けると人工モノと天然モノ。


 前者は、何かしら目的をもって作られた地下牢獄に始まり魔王の城に地下墓地、神殿、宝物庫に武器庫、拷問室、地下道に鉱山、迷路、廃墟、後は……地底人の住居などもあるだろう。

 これらのダンジョンの特徴は、実用のための施設という点だ。灯りはあるし道もある。警備員や罠の類はあっても施設の探索は楽。

 なにより現役なら住民もいるため生活用品に貴重品などお宝がざっくざくだ(窃盗? トレジャーハントデス)。

 

 後者の天然モノとは例えば、鍾乳洞や溶岩洞、海蝕洞に標無き大森林や溶岩地帯、禁域とされる山なども広義ではダンジョンといえる。

 こちらは人の侵入というか実用を考慮してないことが特徴となるだろう。

 極端な話、攻略不能の迷宮――狭くて通れないなどの可能性がある。

 財宝もアイテムもないかもしれない。

 正直、挑む理由すらないダンジョンが天然モノの厄介なところだ……普通は。


 だがそれ故にこそネタにできる。


 大森林の最奥にしか生えない秘薬の材料、裏山の洞窟に見え隠れするゴブリン、火山に住まう炎竜。

 異世界ながらの理由がてんこもりもり好き放題。

 天然モノダンジョンこそ異世界創作の醍醐味だろう。


 人工モノは現実をネタに延長し、天然モノは創った世界を広げれば良い。


ネタ:物理的ダンジョンばかり主題にしたが、例えば巨大魔獣の体内に侵入するなどファンタジー&メルヘンなダンジョンも良いかと。

 過去を忘れるほど何度も転生繰り返す勇者ゲイザー。

 天から降り注ぐ星の欠片から世界を救うため眠れる創造神の力を借りようと夢の世界に挑む。

 妨害に顕れる悪夢の怪物を退け最奥にたどり着くゲイザー。しかしゲイザーこそが神の見る夢であり世界を楽しむための観測端末だった。神の覚醒は即ち己の消滅。ゲイザーの選択は……



○魔王軍のダンジョンの価値


 ここで重要じゃないお知らせ。

 なぜ今回ダンジョンのネタを調べたかというと……魔王軍のネタを検討中に『なんでこいつらダンジョンなんぞに住んでる』という疑問を覚えたからだ。


 勇者に討たれるまでダンジョンの奥で踏ん反り返って何がしたい、と。


 まあ、既に書いた牢獄、宝物庫、武器庫など人工ダンジョンで大体の説明はつく。

 世界征服か人類全滅か神への反抗か、理由は知らないが戦争するならどれも必要なものだ。

 お姫様を誘拐して閉じ込めるのも敵対勢力の要人――つまり宝を保管していると考えれば良い。

 手駒のモンスターを増やす飼育施設なんてある意味武器庫で鍛冶場だ。

 聖剣が勇者の手に渡らないように祠を警備してるのもあり。


 また天然モノの洞窟を改築した小ダンジョンなんかも価値がある(中ボスとかいるあれ)。


 それは――軍隊の妨害。


 中世欧州では四十人程度の小隊がつめる小さな砦が数多くあった。

 具体的には土を盛った小さな丘を木の柵で囲う簡素なもので、作業員二百名いれば一ヶ月程度で完成する。

 大したことがないと思えるが攻める側にとってこれが非常に厄介なのだ。

 まず主要な街道を監視するように作られてるため進軍がばれる。

 数百名で攻めれば一日で落ちるが行軍が遅れる。

 かといって無視すると今度は補給線を叩かれたり、村を焼き払われる(四十名の武装集団は村を制圧可能である――詳しくは軍組織のネタ参照)。

 これが地下迷宮だったりしてみなさい。

 平地において数で押すべき軍隊が狭い地下迷宮に乗り込む……自殺行為です。


 他にも遊撃――農村への略奪や流通への襲撃――のための前線基地として地下迷宮というのは秘匿性が高く優れている。


 進軍が遅れる補給が滞るコストは増し増し被害も出る出る士気は駄々下がり、と指揮官の毛髪が死滅します。


 他力本願の王様が異世界から勇者を召喚するのも通常の軍ではダンジョンに潜む魔王軍を倒せないから。

 少数精鋭の特殊部隊で迅速かつ秘密裏にダンジョンを排除し進軍路を確保しなければ魔王軍との決戦すらできないのだ。


 ふう、四天王や中ボスがダンジョンで勇者にぶっ殺される理由が捏造できた。

 脱出路ぐらい造っとこうぜ、という指摘はあえて書かない。


ネタ:プロジェクトD~ダンジョン建築者たち~

 高機能なダンジョンを造るための専門部隊結成秘話(アメリカの設営部隊的な)。

 砦を作る人類に対し基本野宿な魔王軍。これはいかんと思った魔王はゴーレムや魔法で拠点を建築する部隊を立ち上げる。

 しかし立ちはだかる堅い岩盤、あふれ出る地下水、仲間を襲う洞窟の崩落、魔法の暴発、命懸けの工事の先に完成する難攻不落の大ダンジョン!!


*勇者の超能力・ギフト・チート・スキル他、煙で燻したり水を流し込んだりなどであっさり駆除されちゃいます。他にも常識的な手法だと入り口塞いで罠張って少数の押さえ置くとかでしょうか?



○なろう的ダンジョンマスター


 ダンジョンコアがあって主人公は魔王かダンジョンマスターとしてダンジョンに君臨するあれです。

 指先一つで拡張模様替えなんでもござれ、手駒のモンスターも配置可能。

 小規模な魔王軍でダンジョンを運営する感じですね。


 個人的に凄く好きです。


 ええ、特にアンデッドがダンジョンマスターだと最高です。私の作品も骸骨沢山なダンジョンですし。


 序盤はダンジョンを拡張して仲間を増やしていくのが基本的なストーリー展開ですが……では何が必要でしょうか?


 大別して二つ! まずダンジョン運営側の生活施設。次に敵への妨害施設。

 この二種類を意識するべき。


 生活施設:食料庫、武器庫、鍛冶場、採掘場、溶鉱炉、畑、娯楽施設(捕虜拷問部屋)、休憩室、秘密通路、逃げ道、水源、調理室、食堂、礼拝堂(邪神でも祭りましょう)、保育園、客室、応接間、廃棄設備、優秀な部下……ここまで至れり尽くせりなら就職したい! そんなダンジョンを目指しましょう(あ、作者のダンジョンは参考にしないように超ブラックダンジョンです)。


 妨害施設:罠(落とし穴やワイヤートラップ)、迷路、偽の財宝(勘違いして帰ってくれるとラッキー)、門(見つからないのが一番ですが、通さないのも重要)。


 上記のようにダンジョンを創造していくのですが……これ内政モノの序盤と類似します。

 そのままダンジョンで引き篭もるより、生み出したダンジョンを活躍させたらそれを踏み台に物語の舞台を広げましょう。


 出世がしたい! 奥さんを迎える結婚資金を集めたい! 引き篭もりダンジョン生活をエンジョイしたい!(矛盾してる? そこが狙い目)などなんでもいいです。主人公に明確な目的を持たせることをオススメしたい。


 面倒事が相手からやってくる。普通に生活したいのに巻き込まれるなど適当な理由でダンジョンを追い出すor飛び出すと話の展開が開けます(もちろんダンジョンを最大限拡張したら話を完結させるのもあり)。


ネタ:魔王軍辺境ダンジョン警備員として働く悪魔ニート。しかし魔王軍に部門採算性が導入され、成果を出さないニートのダンジョンが整理対象に!?

 楽な引き篭もり生活を維持するためニートは、外部から優秀なアドバイザーを招くことを決意する。そして招かれたのは超巨大複合財閥により店を潰された商人スズキ――人間であった。

 『財閥憎し慈悲は無い!!』あくどい手段で全てを失ったスズキは、ニートが引くほどのやる気でダンジョンの強化拡大に勤しむ。人類経済の破綻を最終目標にニートを酷使する魔王スズキが生まれた瞬間だった(アレ?)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ