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盗賊のネタ

 異世界創作で最初に登場し最初に退場する敵役…………それが盗賊。主人公が人間であるならば人殺しのハードルを下げる便利な存在。


 そんな異世界における召喚・転生・天然・他多数、どの主人公でも一度はお世話になる盗賊は何者(ネタモト)だろう。


・村や街道で人を襲い金品・食料・女を略奪する

・お頭がいて大人数で行動する

・秘密の隠れ家がありそこを拠点に活動する

・賞金が懸けられていて、倒すと主人公の初期資金源になる


 こんなところだろうか。なおシティーアドベンチャーで登場する鍵開けや罠解除をしてくれる義賊系盗賊は、今回除外する(義賊系盗賊は、それだけでいろいろややこしい存在。犯罪に利用できる技能をギルドが教えるとか、公に為政者がそれを認めているのかなどなど)。


○盗賊の業務形態


では盗賊のお仕事である略奪。彼らは、他人から暴力で無理やり財産や命まで奪う。真面目に働いて稼げ? いやいや彼らも初めから盗賊なわけではない。最初は、別の職業についていたのが転職したのだ。


 例えば、貧乏農家の三男、破産した商人、戦争が終わり解雇された傭兵、敗軍の騎士や兵士……それぞれの本業で食べていけなくなり盗賊になったのだ(先祖代々続く盗賊の家系なら話は違うけど)。


 前歴がどうあれ盗賊になれば、後は奪うだけだ。農家の三男坊なら同じ立場の仲間を二、三人集めて一人旅の人を襲えばいい、元商人なら商談をチラつかせ旅商人(行商人)に近づくこともできるだろう、元傭兵や元騎士なら小さな村を丸ごと襲うのも選択肢の一つだ。

 幸運にも最初の仕事で儲けた新人盗賊達は、味を占めどんどん転がり落ちるだろう。農作業の間に”出稼ぎ”に行く盗賊の村、旅商人からタダで商品を”仕入れて”売りさばく略奪商人、近隣の村々から”税”を巻き上げる強盗騎士(バンデッドナイト)


 このように主人公のチート能力試し撃ち標的(仮)である盗賊も前歴を考えることで様々なバリエーションが生まれる。


・旅人が消える村:主人公が受けた旅人探しの依頼。旅人の足取りを追うと農村へ辿り着く。主人公を歓迎する村人達。饗される食事を疑いも無く食べた主人公は……(当然、村ぐるみの半農半賊。金を持っているそうな単独の旅行者のみ襲います。異世界の厳しさを主人公と読者に教えてあげましょう)


○盗賊の組織形態


 リーダーがいて沢山の手下が命令に従う……盗賊達の基本的なイメージといっていい。

 彼らが集団化するのは単純だ。数が多いほうが仕事(略奪)が楽だからだ。一人で一人を襲うより、多数で襲ったほうが確実。基本的に暴力を拠り所にする以上、相手より強いことが彼らの仕事の最低条件なのだから。

 もっとも集団化することで一人一人の分け前は減ることになる。無法者の集団とて、いや無法者の集団だからこそ強い者、発言力のあるものが美味しいところを手に入れる。そして金、食料、酒、女……力をひけらかし多くを得るものが集団の中で更なる発言権力を得る。

 実は、集団化した盗賊達は、盗賊達自身にしても非常に厄介。人数が増えたらそれを維持するためにより多くの略奪をしなければならない、お頭も無能を晒せば下克上を狙う者もでてくるだろう。分裂して抗争なんて可能性もある。


・盗賊団潜入任務:大盗賊団が主要街道を荒らしている。主人公は、盗賊団に潜入し盗賊の本拠点を調べることに。しかしその盗賊団は、盗賊とは思えないほど統率が取れており……(主人公に軽く捻られるはずの盗賊が実は、滅びた国の残党軍でお姫様がリーダーだったり)


○盗賊の拠点


 一般的にイメージされる盗賊のアジトというと森の奥深くに洞窟だろうか?


 しかし既に書いたが盗賊とは前職や副業持ちである場合が多い。農村から短期出張したり、盗品を街で売りさばいたりするのに森の中の洞窟というのは少々利便性が悪い。そもそもなんで暗くて狭い洞窟を住処にしなければならないのか。どうせアジトにするならもっと暮らしやすい場所がいい。

 幾つか例を考えてみよう、


・街の貧民街を拠点にする盗賊達:街に入る商人の中から獲物を探し、出ていく時に先回りする業務形態

・街道を睨む古城を拠点とする強盗騎士:傭兵崩れ達を手下にして、街道を通る旅商人や近隣の村から強制的に税をいただく業務形態

・拠点を持たない盗賊達:蝗の群れのごとく村々を略奪しながら移動する盗賊団

・異世界らしい拠点を持つ盗賊達:空飛ぶ船を拠点にする空賊・砂漠を走る船を操る砂賊・魔王城で勇者を狙う城賊(勇者の装備を奪えば一攫千金間違いなし……先に魔王を倒せ盗賊ども)


 いくつか考えてみましたが序盤で後腐れなく殲滅するならここまで考えなくていいかも? ある程度物語に絡めたり異世界の独自性を出す場合ぐらいか。


○盗賊を倒して懸賞金を入手


 倒した盗賊を街に連れて行くと懸賞金を沢山貰えた――そんなことがあれば嬉しいですよね。


 しかし考えてください。懸賞金が掛かるということは存在が確認されていて被害が大きく更に正規の治安維持機構が対処できないほどの相手ということです(中世レベルの治安維持機構は、街の外の犯罪を取り締まることはあまりないのですが)。これは主人公の力を見せ付けるチャンスであると同時に、あまりに盗賊がしょぼいと主人公の凄さが伝わらないという問題を生むかも(盗賊さんには、毒矢や人質など卑怯な手段で頑張ってもらいましょう)。


 おまけで懸賞金を誰が払うのかもポイント。治安維持機関がお手上げなのか(領主なら自らの軍事的無力を晒すことになる)、被害者の親族が仇討ちを望んだのか、街道を封鎖され困った商会の依頼なのか……


 これが懸賞金(対象が指名)でなく報奨金(盗賊全般とか対象が広い)ならまた別となります。しょぼいこそ泥でも大物盗賊でも、盗賊なら一律一人五万円なんていう報奨金なら序盤の雑魚撃退報酬としてまずまずでしょう。


・金貨百枚の盗賊:とある森に潜む盗賊団に破格の懸賞金がかけられた。我こそはと森に繰り出す賞金稼ぎ達(なんでも屋・騎士・傭兵・近所のニートなどなど)。しかし美味しい話には当然裏があって……(実は森の魔物に困った村人が仕組んだ偽りの依頼。森に盗賊なんていなくて依頼は絶対に達成されない。賞金稼ぎ達にタダで魔物の駆除させるのが目的)

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