悪魔のネタその⑤~ベルフェゴールの冤罪~
注意:この作品は作者の個人的な妄想ネタ帳以下略。
今回も悪魔のネタでその⑤。
登場していただくのは”七つの大罪”のベルフェゴール様です。
○”怠惰”大悪魔ベルフェゴール
恐らく『ベルフェゴール? 誰それ?』と思った方もいるでしょう。
これまでネタにした大悪魔に比べてベルフェゴール含む残りの”七つの大罪”は少し知名度が低い。
ベルフェゴール様は、一応堕天使ルシファーの副官とか勤めてるのだが……時代によっては”七つの大罪”からリストラされることもある。
そんな窓際大悪魔ベルフェゴール様の名前は、ベオル(山の名前)・バアル(主もしくは王)からきており意味はベオル山の主。
…………ベオル・バアル……バアル? バアル様! バアル様じゃないか!!
前にネタにしたベルゼブブ様。その前職である嵐と慈雨の神バアル様の尊称の一つであるベオル・バアルが大悪魔ベルフェゴール様の名の由来だ。
つまりベルゼブブとベルフェゴールは元々一つの存在なのだ(ベルゼブブもルシファーの副官とか言われているし悪魔の役職的にも被ってる)。
同じ起源の悪魔を二名も”七つの大罪”に入れるとは……実は人材不足なのか悪魔業界?
しかしなんと調べてみるとベルゼブブよりベルフェゴールとしてのほうが逸話が多かったりする。
○モアブのベオル事件
モアブとは、紀元前に死海の東岸に存在した都市である。
古代イスラエルのお隣だと理解してくれればOK。
でこのモアブを某一神教の信者達が訪れた(人数は不明だが数万人単位)。
ちょうどモアブではベオル・バアルのお祭りの最中。
モアブの人々は某一神教の信者たちを歓迎しともに祭りを祝った。
仲良くなり過ぎてモアブの女性たちとよい仲になるほどに。
いい話である、ここまでなら。
だがこの出来事に怒り狂った存在が一人……いや、一柱。
某一神教の唯一神である。
唯一神は『私以外を崇めるなど契約違反だ。罰を与える』と怒り、ベオル・バアルの祭りに参加した信者二万四千人を疫病により粛清した。
以上が大悪魔ベルフェゴールが起こした『ベオル事件』である。
………………これモアブとベルフェゴール側が悪いんでしょうかね?
寧ろ二万四千人以上で訪れた異教徒をもてなしたモアブの住民は心が広いと思うのですが。
なお二万四千人という人数は、このベオル事件が起こった時代を考えるととんでもない人数である。
紀元前数百年における世界の総人口は多くて一億人(諸説あり、一千万人との説も)。
事件当時最大の人口を誇ったとされる古代都市バビロンの人口が二十万人だ。
並の都市なら住人の全てが死に絶える規模の粛清である。
都市=国家な時代と考えれば国家消失と表現してもよいだろう。
*現在の世界人口は七三億人。当時の世界人口から同比率で考えると粛清規模は百七七万人程になる(これ都市どころか都道府県が一つ丸ごとの人数)。
そんな大量粛清の首謀者にされたのに”七つの大罪”では窓際とは……悪魔業界は厳し過ぎる。
○妖艶なる女悪魔ベルフェゴール
ベオル事件の粛清劇で大悪魔としての地位を得たベルフェゴール様。
某一神教信者を誘惑したということで女悪魔とされてしまう。
性愛を司るのは女神とされていたのでその影響もあるだろう。
人の姿で現れる時は、男を魅了する妖艶な美女らしい。
念のため再度記しておくと起源であるバアルは男神である(女神アスタルテという奥さんもいる)。
つまりは女装! 男の娘! …………『妖艶な美女、だが男だ』『悪魔、あいつら未来に生きてたな』と天使の声が聞こえる。
○ベルフェゴールの探求
あるときベルフェゴールは上司のルシファーに『幸せな結婚があるかどうか調べろ』と命令されて地上の夫婦生活を研究したらしい。
悪魔が夫婦生活を覗き見である。
妖艶な女悪魔(だが男の娘)が仕事とはいえ熱心に夫婦生活を覗き見るのだ。
あまりのギャップに胸を貫かれてしまった。
真面目な話、命令的に一つでも幸せな結婚を見つければいいのだろうが……どれほどの家庭を調べたのだろうか?
幸せの基準も曖昧だ。
統計を取るにしても相当数を調査することになる。
そんなブラック業務の結論は『幸せな結婚など存在しない』だったらしい。
この一件からベルフェゴールの名は”人間嫌い”を意味するようになったそうだが……さて夫婦生活を見て嫌いになったのか、仕事のブラックさで嫌になったのか質問したいと思うのは私だけだろうか。
ところで……ベルフェゴール様、あなた妻帯者なのに『幸せな結婚など存在しない』とか言い切っていいのか?
○創作ネタ
・誇張された悪行
ベオル事件みたいに本人が直接やっていないのに悪名がついてしまう展開はネタになるだろう。
ちょっとした誤解(というか冤罪だが)から悪魔扱いされる種族とかの話など。
疫病が起こったがある種族だけ無事。疫病が拡がる中、その種族が疫病をばらまいたという憶測がうまれ、その種族を滅ぼせ……なんて話に発展する。
疫病に罹らなかったのは、種族的特性とか文化の違いとか(例えば疫病の原因になる食べ物を食べない)。
・レヴィアタンとベルフェゴールの結婚騒動
結婚肯定派の未亡人レヴィアタンと結婚否定派の女装悪魔ベルフェゴール。
元々の立場的にも対立する二人は結婚の価値について諍いを始める(レヴィアタンは、バアルに退治された怪物でベルフェゴールはバアルの分霊)。
両者の争いは、いつしか悪魔業界全体を巻き込んだ大騒動に!!
ラストは、巻き込まれた悪魔が死屍累々になる中、バーのラウンジで仲良く御酒飲んでる美女二人が思い浮かんでしまった。
・悪魔業界の人材不足
悪魔幹部であるベルゼブブとベルフェゴールが同一悪魔っぽいところからのネタ。
幹部が一人二役する状況、つまり人材不足。
悪魔業界は即戦力を求めている。
そこでちょっと人間界で名の売れた戦士や魔術士を高給で雇うというのはどうだろうか?
ルシファーも戦争大好き傲慢王が起源だし。
女魔術士が魔王に見初められて悪魔の大幹部に列せられる話を読んだことが……なろうだったけど題名が思い出せない……探したが見つからない……どこだ……