悪魔のネタその②~ルシファーの偽称~
注意:この作品は作者の個人的な妄想ネタ帳です。実在する宗教団体とは何の関係もありません。
今回も悪魔のネタ(なんと初のその②)。
魔王サタン様に続くネタの犠牲者は堕天使ルシファー様です。
○堕天使
ルシファー様について書く前に少しだけ堕天使に触れておきましょうか。
堕天使は、元々某一神教の唯一神が創造した天使でした。
しかし仕えるべき唯一神に逆らい命令不服従から解雇されたり、仕事に失敗して叱咤され離職した天使がいました。
彼らが”天から堕ちた天使”――堕天使です。
大物になると唯一神にクーデターを挑んだ根性ある堕天使もいたりします(負けましたけど)。
○天使長ルシファー
明けの明星。
光もたらすもの。
全天使の長。
熾天使。
神の右に座すもの(西洋文明において右は対等を意味します)。
これらは堕天する前のルシファーの二つ名や肩書きです。
そう、彼は天使の中でも最高位の天使の一人でした。
超エリート天使、天界の大幹部とも言えるでしょう。
名前はラテン語でルシ(光)・ファー(運ぶもの)から光もたらすものの意味。
これは日の出の先触れとして朝、東の空に輝く金星のことも意味していました(虹を七色の光と表現するようなものです)。
順番としては金星の詩的表現としてのルシファーが先に存在していたのでしょう。
更に当時の支配者や救世主のことを称える言葉でもありました。
『汝は光をもたらすもののようだ』と褒めていたわけです。
そんな最上級の褒め言葉を名に持つ天使長ルシファー様が堕天使になった理由とは?
○”傲慢”堕天使ルシファー
ある日、天使の中の天使である天使長ルシファー様に唯一神が命令します。
『こんど新しく創造した人間を私と同じように拝礼しろ』(超意訳)というものでした。
企業で例えるなら、会長が長男である社長へ『これお前の弟な。新入社員だけど二拝二拍手一拝しろよ』とか業務命令するようなものです。
『炎より生み出され、光もたらすものと称えられる私が何故人間なんか拝礼しなければならないのですか!?』(超意訳)と、天使長ルシファー様は拒みます。
すると唯一神は『私の命令を拒むとは貴様は追放だ』(超意訳)と解雇通知。
天使長ルシファー様を天より地に堕としました。
堕天使となった彼は、他の堕天使を率いて神の敵対者の代表的存在となります。
めでたくなしめでたくなし。
以上、堕天使ルシファー様の転落人生でした。
妨害者に命じて人間の信仰を試した時のように、人間を出しに使ってルシファーの忠誠心を試したのかもしれませんが、普通拒否しますよね。
堕天使ルシファー様に同情を覚えるのは私だけではないはず。
この一件で自身を人間より上だと主張したせいか、はたまた唯一神の命令に背いたせいか堕天使ルシファー様が司る罪は”傲慢”となっております。
○”絶望”イブリース
堕天使ルシファーもサタンと同じく多くの名を持ちます。
ルキフェル、ルシフェル、ルキフェル、ルチーフェロ、リュツフェールなどなど。
どれもルシファーを各地の言語読みしたものです。
別名の中で特記に値するのがイブリース。
アラビア語のヤァース(絶望)が元だとか。
神の仕打ちに絶望したであろうルシファーに相応しい名。
○ルシファーの偽称
さて、唐突ですがここで問題。
実のところ堕天使ルシファー様の経歴には偽りがあります。
天使長だったこと?
堕天使になったこと?
例の一件が別の天使の話?
いえいえ……なんと天使長ルシファー様は天使じゃなかったのです。
上で書きましたが光もたらすものは『支配者や救世主を称える言葉』なのです。
昔々ルシファーと称えられた支配者さんが近隣に戦争しかけて勝利を重ねました。
そして自らを王より上の存在だ『私は天上に座すものだ』と傲慢にも誇ります。
王より上の存在――即ち”神”に等しいと。
しかし栄華を誇った支配者もいずれ寿命が尽き亡くなります。
支配者の死は『光もたらすものが天より地に堕ちた』と表現されました。
この”傲慢”な支配者の話が堕天使ルシファー様の話へと変化したのです。
その変化が誤解なのか意図的な曲解なのかはご想像にお任せします。
ああ、ツギハギ魔王サタン様に続いて偽称堕天使ルシファー様とか”七つの大罪”のイメージとカリスマ性が……
○創作ネタ
・唯一神と魔王の諍いの原因は……
唯一神に頼まれて召喚&転生勇者が魔王を退治しにいったら、実は魔王は神の息子。
両者の対立はつまり親子喧嘩。
両者の和解させるのか? それともどちらかを支持するのか? 勇者の戦いは新たなステージへ。
・魔王と魔族の正体
唯一神を信仰する人類と魔王に率いられた魔族が争う世界。
魔族は神に創り廃棄した旧人類であり、魔王は旧人類の更に試作品。
うん、デ○ルマンの世界ですね。
まあ、魔族が廃棄された理由を神の領域に手を出したとか(クローンや不老不死)現代ぽくにすればありか?
・もし堕天使側が勝利したら
唯一神とその創造物の争いは、基本的に神の勝利で終わる。
しかしその勝敗が逆ならどうだろうか?
唯一神は堕天使に敗北し地獄に幽閉。
神に等しいと称えられた堕天使が神の座に着いたとしたら?
人間を下等な存在と見下す堕天使が人間を支配する絶望の世界。
しかし堕天使には人間を愛したゆえに罰せられたものもいる。
そんな親人間派堕天使は、神から禁じられた不法な知識(武器製造、魔術)を人間に与えたりするかもしれない。
堕天使が神の名を騙り人類殲滅の神託を下す展開も面白そうだ。
勇者が召喚されたらその仕事は、幽閉された神の解放のため地獄に向かうことになるだろう。
親人間派堕天使が、天使だと偽って勇者の旅の仲間に。
唯一神が復活したら、その堕天使はどうなる? (神に禁じられた行為を行った点では罪を重ねていることになる)。
そして勇者の反応は?
・天界に戻りたい堕天使
天界への再就職の願う堕天使もいるかもというネタ。
神との覇権戦争で仲間の堕天使を裏切って再び天使となった堕天使とか。
新たな職務は……人間への挨拶回り・クレーム対応・同僚天使の監視と粛清・地獄の見張り・名ばかり管理職などが適任か?