悪魔のネタその①~サタンの履歴書~
注意:この作品は作者の個人的な妄想ネタ帳です。実在する宗教団体とは何の関係もありません。
今回は異世界召喚&転生物のボスである悪魔のネタ。
盗賊やゴブリンを異世界に慣れるための敵役とするなら、彼ら悪魔は主人公を異世界の表舞台に引きずり出すための敵役です。
そんなわけで超有名悪魔”七つの大罪”を手本に悪魔創造のネタを探します(ゴエ○ィアというゲーム経由でソロモンの七十二柱の魔神を調べていたら脱線したのは秘密)。
○”七つの大罪”
まず簡単に”七つの大罪”の説明。
某一神教において、傲慢・憤怒・嫉妬・怠惰・強欲・暴食・色欲の七つは罪とされていました。
そこから人を罪へと導く上記の欲望や感情を司る七体の悪魔のことを”七つの大罪”と呼ぶようになりました。
以上説明終わり。
*最近は七つの罪も遺伝子改造・人体実験・環境汚染・社会的不公正・貧困・過度な裕福・麻薬中毒と随分現実的なものになっている。戦争・虐殺・核兵器なんかも入れて欲しい。
○”憤怒”サタン
さて”七つの大罪”一番手は、超々大物悪魔のサタン様。
悪魔の王――魔王と呼ぶべき存在です。
魔王といえばサタン、サタンといえば魔王と認識してもいいでしょう。
さまざまな作品に悪霊・悪魔・魔獣などを統率する王として登場しています。
名前の由来はヘブライ語のシャータン。
意味は敵対者・妨害者。
千年以上前、サタンはその語意のまま唯一神に敵対もしくは信仰を妨害する存在を表す言葉でした。
『水の中を泳ぐエラ呼吸の生物』を魚と呼ぶように、『某一神教に敵対・妨害する者』がサタンだったのです。
つまり敵対者は存在していても個体としての魔王はいなかったという驚愕の事実。
強いて言うなら最初にサタンと呼ばれた存在が真サタン様なのですが、名も無き天使な上に唯一神の命令で人間の信仰心を試すため妨害者になったという……堕天使ですらない真サタン様。
サタンの最初の仕事は『上司の命令で後輩にパワハラ』です。
時代が下るともっと魔王らしいサタンが生まれます。
後述する堕天使ルシファーを筆頭に、人間へ不法な知識を教えた堕天使アザゼル、仕事に失敗して堕落した天使サマエルなど唯一神から離反した天使達が次々とサタンとなりました。
『命令不服従でリストラ』『マル秘情報漏洩でリストラ』『仕事に失敗して退社』と書き加えられていくサタンの経歴。
いつしか敵対者達の経歴は、混同され一つの履歴書として集約します。
敵対者がまるで一体の悪魔のように扱われ始めたのです。
それが魔王の誕生の経緯。
ツギハギの魔王サタン様……合体怪獣みたいですね(タイ○ントとか)。
司る罪が”憤怒”あるのもそんな経歴だからかもしれません。
魔王サタン様が唯一神に敵対するのは他者からの受け売りなのです。
原因・理由無く不条理な敵意を持って害をなす魔王サタン様。
正しくない怒り――”憤怒”の悪魔としか呼べません。
そしてサタンという名前はセイタン、シャーターン、シャイターンと各地の言語にあわせ変化し広まりました。
アラブ語のシャイターンは敵対者全般(悪霊)を意味する言葉になり、個体としての魔王サタンを示す場合はアル・シャイターン(悪霊の王)と表現。
サタンが敵対者全般からそのまま個体名になったのとは違いますね。
またサタンに限らず悪魔などの名前は伝播する際に、呼びやすいよう変換、誤記などで多様化します。
○創作ネタのコーナー
・サタンを個体名ではなく役職名にするネタ
例えばゴブリンの王がいればサタンゴブリン、オークの王がいればサタンオーク。
例としてサタンを無理やりつなげたが、その異世界で『魔王』『神の敵対者』を意味する言葉を自作してつなげれば作品に個性がでるかも。
賢者系登場人物に『そもそも”サタン”とは神に逆らう者を意味する言葉じゃ。それがいつの間にか魔族達も使うようになり~~うんたらかんたら』と解説させるのもおもしろいかな。
後付で語源になった本当の魔王を出してもいい……伏線とはばら撒いておくものであると偉い方も言っている。
・そもそも魔王が存在していないネタ
魔族が人間に戦争を仕掛けてくる世界で、何度撃退しても襲い掛かってくることから指導者的な存在――魔王がいると人間は想像する。
だが戦争を仕掛けてきた魔族は、他の魔族に負けてトコロテン式に押し出されただけで毎回まったく別の勢力(例えるならニホンザルとゴリラを纏めて猿として同じ存在に見ているレベル)。
人間は魔王暗殺を計画して、平和主義な魔族勢力を勇者に派遣するとか?
・ツギハギなのを逆にして複数いる魔王たちは元々一つの存在だったとするネタ
何かの理由で分裂していた魔王たちが、合体することで原初の魔王が生まれるとか?(神に匹敵する存在だったが引き裂かれ封印されていた……定番ですな)
そもそも神が己の権能や不要な感情・欲望を捨てたのが魔王だったとか?(ドラ○ンボールの某大魔王ですね)
全知全能の唯一神が矛盾を解消するために分裂し、お互いに魔王と呼び合ってるとか?(例えば信仰してくれる人間が二派に分かれて戦争。それぞれを守護するために神も二柱に分かれたなど)
完全存在である神が自らを材料にして世界を創ったが、再度世界を作り直すことを決断、そしたら材料になった部分が魔王として敵対しはじめたとか?
うん、さすが魔王サタン様はネタの宝庫である。