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作業に集中ちゅう。
クレーンのゴンドラに乗り、別館の壁面最上部から順繰りに洗い始める私とタケ。
『弁当箱』と呼ばれる高圧洗浄機を使い、高圧水と回転ブラシで綺麗になっていくタイルと目地。
・・・だか、すぐにへばる私。
「お、重い。他の無いの!?」
「水跳ね防止のためだ、我慢してくれ!」
そうタケは言う。
それは『弁当箱』がかなり重いからだ。特に先端部が重い。
壁面に使用するにはバランスが悪いのだ。
これは本来『弁当箱』は床面清掃用のためであり、横に向けて使うことなど想定外の代物であった。
『弁当箱』は重いので横向きにして作業するには二人で作業せねばならなかった。
先端部過重のために支え、高水圧の影響で外方向へと逃げていくのを押さえ、それを続けながら壁面を擦るという仕事。
かなりの力仕事だ。
それはやはり無理があったのだ。
「ガンタイプなら壁面清掃、楽だったんだよな?」
私が聞くと、
「・・・それは言わないでほしい。仕方がないよ、我慢してくれ」
タケも壁面を擦りながら辛そうにそう答えたのであった。