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ビル清掃、開始!?(その1)



午前9時。




そんなこんなでお仕事そうじ開始である。

友人と私が本日担当する場所は、ビルの北側に付随ふずいする建物。


とりあえずそこを『別館』と言っとこうか。


そしたら、南側面から見える高層ビルそのものが『本館』となる。


『別館』はその本館の北側うらがわのだいたい中程から西北せいほくに向かってななめに建っている。


上から見たら一寸ちょっと『くの字』に見えなくもない。


別館は4階建てで、東側の角には通用口があり西側には大きなシャッターが2つついていた。




別館と言ってもこうやって見上げてみると、作業する身としたらその大きさにひるんでしまう。

しかも別館側こちらがわは地元では有名な『みずかんした公園』が近くに有り、それゆえ人通りも多い為に『せる』ビル造りをしているのだと思う。


立体的な造形ぞうけいが散りばめられていて見る分には素敵である。

・・・だが綺麗にする分には、手間と時間がかかるのだ。


造形部分うねったトコロは手作業だな」

なんてつぶやきながら見て廻るタケ。


「しかも、ジミに多いなあ・・・」

とタケがため息。




◇◇◇◇◇

私は思う、思ってしまう。

『時間が掛かるぞ、こんなの』とか、

『あー今日中に終わるかな』や、

『ほんとにクレーン乗らなきゃあかんの?』とか、

『来なきゃよかった』とか・・・。

もう、マイナスオーラ出まくりだったよ、この時は。

◇◇◇◇◇





・・・そういえば下請バーコードけがいそいそと退散ゴルフ間際いくまえ友人まごうけにこんなコトを言っていた。


「タケまごうけよとっとと作業そっちをおわらせろわったらでイイからさー」


なんて注釈ねこなでごえ入れつつおおどいしてていた。


本館こっちもすぐやれ北側部分おれをもうけさせてやってくんないかなー」


・・・だってさ。


タケは孫請けであるため、上手うまはぐらかしていたが、そんなのやる気は無さそうだ。


『当然だ、やれと言われても無理』


素人しろうとの私とタケの二人だけだぞ。んなの出来るワケねーじゃねーか!。




◇◇◇◇◇

ただ今、二重音声ステレオでは、わたくし本音中継あくのささやきがお楽しみ頂けます。

◇◇◇◇◇




本来、『北側部分の清掃』は、翌日の日曜日にやる予定となっているそうな。


おい、えらくアバウトだな、下請バーコードけよ!。


短期間で作業を終わらせれば、下請バーコードけが儲かる仕組みになっているのか?。


・・・だとしたら、やっぱり世の中って恐ろしい。


それにさっきした段取だんどりって、いったい何だったんだ?。


〓〓〓え、無意味、なのか〓〓〓






このビルは、正面である南側と大通りに面した東側下部がガラス張りになっており、それ以外の面はタイルの割り合いが高い造りになっている。


ビルのタイル自体はつや消しの臙脂色えんじいろであり、ぱっと見は汚れている様には見えない。



・・・友人と私は『まずは試しに』と、目立たない壁面へきめんのタイルを洗ってみることにした。


使用する道具は掃除のプロ御用達ごようたしの『エンジン式の高圧洗浄機』だ。


・・・これが最重要、らしい。






DIYショップや通販で販売されている電動式高圧洗浄機などでは、清掃業者プロフェッショナルが使用するには『軟弱むいみ』だそうだ。


地上から水を50メートル以上吸い上げ続け、噴射し続けなければいけない高所での清掃作業があるとする。


市販品はまずモーターが焼けるそうだ。


「市販品の取り扱い説明書には連続稼働時間れんぞくかどうじかんってのが表記されてるはずだ、2時間も連続して使える機種きしゅは無いんじゃないか?」


タケは言う。


「まああれだ、自宅で車の洗車か自宅内での狭い範囲をちまちま洗い流すくらいならいいんじゃない?」


タケ(プロフェッショナル)の言うコトだ、辛辣しんらつだが本当なのだろう。



◇◇◇◇◇

ここでヒトコト・・・間違クレームいがあれば、タケ(そうじのプロ)までどうぞ。

◇◇◇◇◇





総ステンレス製の細長いライフル銃みたいな洗浄ガンで先ずは試しに洗浄することに・・・。


目立たない場所に向けて高圧縮された水を発射!。

かなりの水圧の噴射でまるでタイルをけずっているみたいだ。


ノズルは調整式で、一点集中から線の様に幅広く噴射出来る。


程よいワイド噴射に固定して試し洗浄終了。洗ってない場所に比べると綺麗さが段違いだ!。



「まあ、問題ないな!」

と、タケ。


「汚れて無い様にみえて結構けっこう綺麗きれいになるなるもんだね」

と、私。



「タイル自体は濃い色だし汚れも目立ちにくいんだけど、タイルとタイルの隙間すきま、これって目地めじって言うんだけど」

そう言って目地タイルとタイルとのあいだを指差すタケ。


「この目地に汚れがまって、その上にこけるんだ。ここは北向きで日陰だから、質宙しちゅうよ、特に目地は綺麗きれいにしてくれよ!」


・・・素直に関心した、なんて解りやすい説明なんだ(当社比)。


・・・友人こいつためになるコトを言っている、それが驚きだ。






『・・・だけど、タケよ。


わ、私が洗浄作業をするのは地上したぢゃダメだろうか?。


ち、違うぞタケよ!。


楽がしたい訳じゃあ無いんだ。




わ、私は、私は高い所がダメなんだー』




・・・なんて、もう言えない。




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