友人からの仕事のお誘い(その2)
「じゃあ質宙、『あれ』の運転お願い!」
そう言って友人のタケが私に鍵をくれ、向かいの空き地に停めてある『あれ』を指差す。
それを見て私絶句。
『まじか?』
見るとそれはトラック!、3トン車だ。マニュアルミッションらしい。
だが私は大型長距離トラックの運転手経験もあるので3トントラックを運転するコトは不可もない。
だが、問題は其処ではないのだ。
なぜこんな機械が付いたトラックを運転するの?、私・・・。
『おい、タケ!。お前は現場で私に一体ナニをさせる気だい?』
〓〓〓 この、高所作業車で 〓〓〓
「おい、タケ?」
「なんよ?、質宙」
「私達がやる仕事って?」
「ああ、ビルの壁洗いだよ!。質宙に言ってなかったっけ?」
「・・・」
『聞いてねー!!!』と内心叫んだのだった。
帰りたくなってきた。
『あークレーンに乗りたくないー!高所作業なんかしたくないー!!』
高いのはイヤだよマジで。
・・・いや、待てよ。このクレーン車には私は乗らなくて良いのかもしれない。
考える私・・・。
トラックに近寄りクレーン車のゴンドラと呼ばれる、人が乗る箱の部分を見ると『定員2名』と書いてある。
というコトはだ、『今此処にいるのは3人』、人数的に1人余るじゃないか!!。
『よし!』
それに私は初心者だ。さすがに危険なコトはさせないだろう・・・。
『じゃあ私はクレーンに乗らなくて大丈夫だ』
などと良い方に勝手に解釈した私は、タケの運転するワンボックス車を先導にして、後方から3トントラックで現場へと追走していったのだった。
◇◇◇◇◇
8時、現場到着。
現場はその地方都市でも中心部にある有名なビルだ。結構テレビにも映ったりしている。
そこには既に工事現場でよく見る黄色の高層クレーン車がスタンバっていて、人が2人。
大型クレーン操縦士とゴンドラの作業員の1人だ。
大型のゴンドラも2名で仕事だった。
・・・つまり、こういうコトだ。
『今いる3人全員クレーン車に乗らなきゃいけないってコトじゃないかい!!!』
「質宙、おまえ高層クレーン、行く?」
と、タケが意地悪く言う。
「無理無理無理無理っ!」
と、即答である。
「じゃあ、此方を俺とでやろう!」
と、3トントラックにすたすたと向かうタケ。
『なんだよ、結局ゴンドラに乗らないといけないのかよ?』
などと『ブー垂れた』私。
先に大型クレーン車に私を乗せようとし、怯ませておいて見た目低い3トンクレーン車に誘導するこの奸計、織田信長にも劣らぬタケの所業であった・・・。
ちなみに、今回使用された大型のクレーン車は地上50メートルでの作業が可能であるが、3トントラックのクレーンでは20メートルが限界である。
しかし、小回りが効くのがトラックのクレーンの良いところなのです。
なんにしろ高いところはおっかなかったです、ハイ。




