お尻の穴からコンニチハ
便所の中で軽くパニックになる私。
お、お尻に何かが付いてる!?。
い、いや、
『お尻の中から』何かが出てきてるんだ。
・・・イボなのか!?、それとも瘤?。
・・・もしかして、これって、『痔』ってやつなのか!?。
いやいや、何か違う大変な病気なのかもしれないし・・・。
で、でも――別に痛くはないんだよな・・・。
トイレで確認した『お尻の瘤』の指触(ティッシュ越し)での大きさは、およそ1センチほど。
『熟れて柔らかくなった小粒の葡萄』くらいの感触だ。
午後の仕事に支障をきたす事を考えた私は、お尻の穴に戻すことを思いつく。
恐る恐るその出ているお尻の瘤をトイレットペーパーでそっと押し込んでみることにした。
『・・・ふーっ、入ったー!』
黄門様の中にその肉の瘤は思ったより簡単に挿入された。
『ふぅーっ』とため息。
瘤は出て来ない様で、取りあえず一安心。
黄門様の中に収まっている瘤の圧迫感や痛みなどの違和感はない。
『・・・でも、こんなんじゃ応急処置みたいなもんだな』
時間はかかったのだが、何事もなかったかの様にトイレを出た私は、お昼御飯をすます。
友人のタケや、『釣り好き』おじさんと他愛のない話をしながら休憩時間は終わった。
◇◇◇◇◇
・・・本当は、お尻のことが気になって、会話なんて1つも耳に入らなかったのだが・・・。
◇◇◇◇◇
「午後からはペースを上げていくぞ!」
タケが言い、ゴンドラに乗り込む。
「あ、ぉぅ・・・」
空返事な私。
今の私はそれ所ではなかった。
休憩中も考えていた。
『私の身体に何が起こったのか?』を・・・。
3階壁面を『弁当箱』で擦りながら洗浄を再開する。
高所での作業は揺れるし、やはり怖い。
でも、そんなことより身体の中(主に黄門様)がどうなってるのかもう不安で不安で・・・。
だが、すぐにその不安は的中することとなった。
踏ん張りながらの仕事は、お尻の穴近くにある括約筋を動かし汗ばむ黄門様の中を蠢動させ、やっぱり瘤は出てきた・・・。
その尻間に違和感。
『やっぱりか』と思いつつも、午後の仕事は始まったばかりでクレーンから降りることも儘ならない。
・・・最早黄門様から瘤を出しっぱなしで作業をするしかなかった。
15時頃の休憩時に速攻トイレに駆け込む私。
『早くお尻の瘤を収めないと』
と、ティッシュを使い瘤に触れてみる。
すると、
『おっきくなってないか?』
なんか、瘤が膨らんでるみたいなのだ。
先程は熟れた小粒の葡萄位の大きさだったと思ったが、今はその倍近くになっていた。
『・・・マジか?』
お尻から瘤を出しっぱなしにしていたのが悪かったのだろうか?。
『なんとか瘤をお尻に戻さないと』
そう、まだ仕事は残っているのだ。
お尻の違和感が無い方が仕事はしやすかった。
しかし、お昼時よりも瘤が大きくなって黄門様の中に入るのかも不安だ。
『でも、やるしかない、か・・・』
今回もティッシュを使い、瘤をお尻の穴へと押し戻す。
『・・・ん゛?』
『はーっ』
『うぅ・・・』
『は、入ったー』
お尻の穴の中に入った瘤により違和感というか、圧迫感が生まれた。昼よりも大きくなったからだろうか?。
それがとても不安だ。
でも、まだ3時。
仕事を終わらせないことには何も始まらない。
『病後に行くにしろ、薬をつけるにしろ・・・』
私は、今日残りの仕事を終わらせることにのみ集中するのだった。