Lovely4..眠りにつくその前に。
「エリー!お風呂のお湯そろそろいいんじゃない〜?!」
サボンの声にハっとした。
─キュッ、キュッ!
「…セーフ!」
って間に合ったはいいものの、私の心がまだ間に合わない。
出窓の上からサボンの声が降りてくる。
「お〜い!いつまでそうしてるの?せっかくの温かいお風呂が冷めちゃうよ!」
「分かってるよ〜。う〜ん…でもどうしてもめんどくさいんだも〜ん。やっぱりシャワーだけにしておけばよかっ…痛─っ、もう!サボン〜!」
サボンのトゲは可愛らしい見た目よりもずっと痛い。
サボンはちょっと厳しく説教風に語ってくる。
「いい?その日の疲れや嫌なことはお風呂で一緒に洗い流すの。そうして心も体もぽかぽかになって眠りにつくの。」
分かってはいるけれど、どうにもやっぱりめんどくさい。
そんな私に説教は続く。
「エリー?めんどくさいんじゃなくて自分へのご褒美だって思ってみたらどう?そう思ったらとっても素敵な時間になりそうじゃない?」
自分へのご褒美…?
ご褒美…か。
今日も一日仕事をがんばった私へのご褒美。
贅沢なバスタイム?
日曜日に買ってみたバスセットを手に、お風呂場へと向かった。
「お〜。花だ!」
フラワーバスソルトを
注ぎ入れた。
"湖の上に可愛いお花が咲いている"
サボン風に言うならば…?
とびっきり甘いフラワーブーケの香りに包まれながら、私は贅沢なバスタイムを楽しんだ。
「今日も一日お疲れさま。ありがとう。」
サボン風に言うならば…?
「何〜か本当にお姫様みたい♪」
甘く温かい空間に、心も体もほっとほぐれていく─
お風呂からあがってボディミルクを足にぬってみた。
優しく抱きしめるように…
「そうだ、エリー!眠りにつく前に素敵な言葉を口にしてから眠るのもおすすめだよ。」
ボディミルクのふたを閉めながら、私はサボンの話に耳をかたむけた。
「素敵な言葉?たとえば何だろう?」
「好きな人の言葉とかお気に入りの言葉とか何でもいいんだよ♪」
そういえば昔買って放置したままにしていた雑誌に…
「あったあった!この言葉すごく素敵だな〜って思ったんだ♪」
「どんな言葉なの〜?」
"If you want to keep your lips beautiful,you should use beautiful words.
If you want to keep your eyes beautiful,you should find other's excellences.─Audrey Hepburn"
「もしも美しい唇になりたいのなら、美しい言葉を使ってみて。もしも美しい瞳に憧れるのなら、他の人の素敵なところを見つけるの。」
そう口にしてみたら何だかとっても素敵な気分に包まれた。
出窓の上からサボンが静かにささやく。
「とっても素敵だね♪エリー、おやすみ。」
「そうだね♪おやすみなさい、サボン。」