Lovely3..素敵なお昼休み。
─キラキラキラキラ♪
「ん〜…!」
カーテンを開いてキラキラシャワーを浴びる。
月曜日の朝もまぶし…
…くはない。
だって今日は雨だ。
そうだった。
天気は私に冷たいのだった。
そんな私にサボンが言葉をかけてきた。
「雨なんて…何だかドラマティックで素敵っ!」
思わず笑ってしまう。
都合が良すぎて何かとってもおかしいもん。
するとサボンは続けた。
「エリー。女の子はみんなお姫様なんだよ?ヒロインなんだよ?すべては主役を輝かせるためのキラキラの"かけら"なんだから♪゛」
…確かに。
言われてみれば甘いラブストーリーに雨はいつも欠かせない。
「ねぇ、エリー?今日は早起きして時間があるしお弁当でも作って行けば?」
ベッドの横の時計に目をやってびっくりした。
だってまだ目覚ましが鳴る前。
いつもより30分以上も早く起きてしまったようだ。
再びベッドにもぐりこみながら私はサボンに向かってつぶやいた。
「ラッキー♪もうちょっと眠れる…痛っ─!」
信じられない!
飛んできたものはサボンのトゲだった。
「分かったよ…は〜ぁ。」
しぶしぶベッドから起き上がってキッチンへと向かう。
「お弁当なんて作ったことないよ…何か入れられるものあったかな〜?」
一人暮らしの冷蔵庫なんて男子も女子もきっと変わりない。
閑散としているもの。
「とりあえず卵焼きと野菜炒めでいっか。ご飯はチンして…」
いつもよりも早く起きたはずが何だかお弁当のおかげでバタバタだ。
8:45。
いつもと変わらない朝。
いつもと同じ風景。
ただ一つちがうのは、私。
実はきのう買ったばかりのあの可愛い下着をつけてみたのだ。
全然見えない洋服の下のものでこんなに気分が変わるなんて思ってもみなかった。
サボンじゃないけど何だかとってもお姫様になったような気分!
「あ…っ」
あの可愛らしいお花屋さん。
あの綺麗なお姉さんが今朝も準備をしている。
「おはようございます。今日もお仕事がんばってくださいね。いってらっしゃいませ。」
「ありがとうございますっ。…い、いってきます!」
─キラキラキラキラ♪
あ、まただ。
心が一瞬ふわっと揺れた。
12:30。
いつもと変わらないお昼休み。
いつもと同じ1時間休んで…
「あれ〜?矢田ちゃん今日お弁当なんだ?めずらしいね〜!」
同期の子が話しかけてきた。
彼女はとても可愛くて、私なんかとは別の部類だと思っていたから、新人研修以来ほぼ初めてかもしれない会話に何だかどぎまぎしてしまう。
「よかったらお昼一緒に食べよ?」
そうして屋上の室内テラスへやって来た。
本当は屋上の外にもテラスがあるのだけど、未だあいにくの雨降り。
「豊田さんはいつもお弁当なんだね。すごいね。」
「そんなことないよ〜。ただエコしてるだけだよ。」
豊田さんはそう微笑みながらお弁当のふたを開いた。
「わ─っ!可愛いね!もしかしてぜんぶ手作り?」
思わず身を乗り出してしまった。
恥ずかしい…!
こんなに可愛らしいお弁当箱の前で、私のを開くなんてさらにもっと恥ずかしい…!!!
「卵焼き上手だね。野菜炒め、私も好き〜!」
心まで可愛い女の子だ。
私は卵焼きを一口で頬ばった。
「卵焼きだけはなぜか昔から得意だったんだよね。でも全然、豊田さんみたいな可愛いお弁当じゃなくて恥ずかしい…っ!」
すると彼女はプチトマトを私のお弁当箱の中にちょこんとのせた。
「…?」
可愛すぎる天使の微笑み!
「たった一つ、こうやって色をいれるだけで華やかにならない?」
…確かに。
私のこんなまるで男子弁当でさえちょっとだけ可愛らしい。
「お弁当も女の子もきっと一緒だよ♪ほんのちょっとの何かで変わると思うんだ!」
"ほんのちょっとの何かで変わる"
お昼休みの終わりを告げるベルが鳴り響く。
豊田さんはお弁当箱を袋にしまいながら微笑んだ。
「豊田さん、じゃなくて歩でいいよ!今度家にあるお弁当の本持って来るね♪それじゃあ午後も仕事がんばろっ!」
心が一瞬ふわっと揺れる。
「うん!ありがとう…歩ちゃん♪」
こんなに素敵なお昼休みは入社以来初めてだった。
午後も頑張れそう!