Lovely18..可愛い子羊ちゃんⅡ。
「平山さんが終わるのをずっと待ってたんです。」
「…何か用かな?急ぎじゃなければまた今度にしてもらえると助かるんだけどな。」
「すぐ終わりますよ。話は簡潔なんで♪」
「ん…っ。…何?」
「萌の気持ちです♪続きは今度、また。お疲れ様です〜!」
「……」
─ガチャ。
あ!
新、帰って来たんだ!
「おかえりなさい〜!」
平山さんは少しだけ疲れているように見えた。
そりゃそうだよね。
毎日遅くまで働いてるんだもんね。
「ただいま、エリー。ん〜!何かいい匂いするなぁ?」
平山さんは優しく微笑みながらリビングの方へと歩いていく。
「じゃ〜ん!ちょっと張り切り過ぎちゃったかも…えへへっ。」
え…っ!
平山さん…?
急に後ろから平山さんが抱きしめてくる。
けっこう力強く。
「平山さん…?どうしたの?」
「……。」
「お〜い♪平山さん?」
「…"新"。会社以外では"平山さん"禁止!分かった?」
「は、はい…っ。」
それから急いでお味噌汁を温めて素敵なディナータイムの始まり。
「この味噌煮、味がしみててすごい美味しいよ!うんうん…こっちも柚子が効いてて美味い。」
「よかった〜♪」
幸せ〜。
ふにゃふにゃしちゃう!
ピロリロリ♪
「電話?出ていいよ。」
「ううん!メールです。あ、福人君だ…」
【"肉食男子"にも気をつけて下さいね】
「…。」
平山さんは一瞬黙りこんだ気がした。
「了解、っと!これでよしっ。…新?」
「…こっちも最高だね!和風麻婆。」
「わ〜い♪嬉しい!がんばった甲斐があります。」
食べ終わって少し経ってから、新が食後のコーヒーを入れてくれた。
「はい♪」
「ありがとう〜…あちちっ。」
「大丈夫?熱いから気をつけてね。」
ソファーに二人で座りまったりとする。
最高の幸せタイムだ。
「子羊エリー…か。」
新がコーヒーに口づけながら独り言のようにつぶやいた。
新の肩にほっぺたをうずめながら私も独り言のようにつぶやく。
「子羊エリー?」
「いや…何でもないよ。エリー、よしよし♪」
優しい微笑みで優しく髪を撫ででくれる新。
「幸せ〜♪大〜好き。」
ふと時計に目をやるともうすぐ11時だった。
「そろそろお風呂入らなきゃだね〜。先に入ってきていいよ、新。」
「一緒に入る?」
「え…っ!?えっ!」
新は真っ赤になる私を見てまたまた爆笑中。
笑い過ぎてコーヒーをこぼしそうになってしまったくらい!
「先に入ってくるね!」
コトンとテーブルの上にカップを置いて、新は立ち上がった。
「エリー?どした?」
新のシャツの裾をつまんだまま思考停止中。
「エリーちゃん〜?」
…っ!
「やっぱり一緒に入る!新と一緒にお風呂入りたい…っ。」
あぁ…
まだ湯船につかる前なのに、のぼせてしまいそう。
新はふわっと私を抱えあげた。
「へ…っ!?」
お姫様抱っこしてもらえるなんて…
夢みたい!
「かしこまりました♪」
いつもサボンが呪文のように唱えていた"女の子はみんなお姫様♪"、そんな言葉がフワフワと魔法のように宙を舞っていた。