Lovely17..可愛い子羊ちゃんⅠ。
「エリー!遅刻、遅刻〜っ!」
目覚まし時計よりも大きなサボンの声に私は目覚めた。
「…っ!やばい〜!」
きのう遅くまでサボンと語ってしまったせいで、大遅刻だ。
今日は残念だけどお弁当を作って行く時間はなさそうだ。
慌てて準備をして家を出た。
何とかいつもどおりの電車に乗れたおかげで、会社には間に合いそう。
「おはよう!エリー。」
平山さんだ!
「おはようございます!」
やっぱり今日もかっこいい〜。
優しい微笑みもとっても素敵!
平山さんは私の方を向いて少し小さめの声で語りかけた。
「実は今日、エリーにお弁当作って来たんだ。いつも美味しいもの作って来てくれるお礼に、ね。」
平山さん…っ!
「嬉しいです…っ!ありがとうございますっ!楽しみだなぁ〜♪」
本当は嬉しすぎて今すぐにでも抱きついてしまいたい気分っ!
「…っ!」
「何してんだよ!江波。」
「福人〜!おはよ〜♪」
「……」
「もぉ〜!相変わらず福人は萌に冷たいよねぇ!」
「…俺。自分のこと名前で呼ぶような女って嫌いなんだ!」
「ふ〜ん。まぁ、福人の趣味なんてどうでもいいんだけど。それよりも萌が興味あるのはあっちの方〜♪」
あぁ、早く素敵なお昼休みにならないかなぁ!
平山さんの手作りのお弁当、早く一緒に食べたいなぁ。
そのためにも仕事がんばろ〜っと!
─お昼休み。
私は先にテラスに行って待っていることにした。
「…んふふ♪」
幸せ〜!
平山さん、早く来ないかなぁ〜。
「平山さん…!」
「…江波さん。何かな?」
「平山さんもし良かったらお昼一緒にどうですか?」
「いや…ごめん!ちょっと今日は。」
「え〜!一緒に食べたい〜!どうしてもだめですかぁ〜?」
「ごめんね…また、今度!じゃあね。」
「…っ!」
テラスのドアに釘付け。
私って本当に平山さんのことが大好きなんだなぁ。
白黒の人たちの中に急に幸せ色の平山さんが入って来る。
「お待たせ!食べよっか。」
平山さんは作って来たお弁当をテーブルの上に置いた。
「はい〜!わ〜ぁ、おいしそう!」
お弁当箱を開くとまるで宝石箱のようにキラキラとしている。
「どうぞ召し上がれ。」
シェフのお手製ラブランチ!
「いっただきま〜す♪」
おいしいシェフランチを食べていると、平山さんは鍵をテーブルの上にコトンと置いた。
「…?」
よく分からずに平山さんを見つめかえす。
「明日は日曜日だし休みでしょ?今夜はちょっと遅くなっちゃいそうだから…先に帰って待ってて。」
…っ!!!
びっくりし過ぎて、
ドキドキし過ぎて、
嬉し過ぎて、
ちょっと泣きそうになってしまう。
「たぶん9時過ぎには帰れると思うからさ。エリー?」
「うん…それじゃあとびっきりおいしい夜ご飯、作って待ってるね!」
「ありがとう!楽しみだなぁ。」
あぁ…っ!
たまらなく幸せ〜!
─18:00。
「退勤、っと♪」
私は足早に会社を後にした。
何作ろうかなぁ〜!
洋風?それとも和風がいいかな?
きゃ〜!
何だか新妻みたい〜!
平山さん…いや、新に早く会いたい。
早くぎゅ〜って抱きしめ合いたい。
─21:00。
「よしっ。」
「平〜山さんっ!お疲れ様です!」
「江波さん!まだ残ってたの?」
獣は夜行性だ。
「平山さんが終わるのをずっと待ってたんです。」
──
「よしっ♪完璧っ!」
和風麻婆なすとさばの味噌煮、鶏ささみ肉と水菜の柚子こしょう和えに、白味噌風味のお味噌汁。
ディナーの準備は完璧だ。
「平山さん…まだかなぁ♪」