Lovely12..とっておきの勝負の夜。
11/14〜11/17まで
平山─長野(白馬)出張
月曜日の朝。
会社のホワイトスケジュール板に青い文字で書かれている。
毎日いるはずの平山さんが、ここにいない。
たった数日なのに…
何だかとっても寂しくて仕方がない。
デスクの上のパソコンと真剣に見つめ合う。
だけど心の中は平山さんでいっぱいだ。
初めて平山さんと手を繋いだのは先週の日曜日。
あれから一週間は何だかお互い忙しくって2、3回お昼休みを一緒に過ごしたくらいだった。
今週こそはゆっくりと、もしかしたらご飯なんて…
何て思っていたのにな。
─お昼休み。
歩とガールズランチ中。
歩が心配そうに話しかけてくる。
「そりゃあ寂しいよねぇ。"お預け状態"だもんね。」
ピンクの楊枝に刺さったミートボールを、歩は私の顔の目の前でくるくるとさせる。
「…よしっ♪」
─パクっ!
…おいしい。
「もういっそのことぎゅってしてちゅってして欲しいよね!」
まるで歩はミュージカルみたい。
ミートボールをもぐもぐしながら、顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
私は黙ったまま首を横に振った。
精一杯だ。
「どうした〜?エリー?」
ようやく自分の口が開く。
開いたとたん、想いがたくさんこぼれ出していく。
「…私って、もしかして魅力ないのかな…。いや、もちろん魅力なんてあるわけないんだけど…その」
落ちこむ私に天使は優しく微笑んでくれる。
「エリーはとっても魅力的な女の子だよ。とっても素敵!」
「…ありがと。」
─ピロリロリ♪
〜新着メール 平山新〜
「…平山さんだっ!ど、どうしようっ!」
びっくりしてまた携帯を落としてしまいそうになる。
「平山さん、何だって?」
「ん…えっと、」
件名:こんにちは
本文:何だか少し久しぶりかな?元気にしてる?
こちらはすっかり冬で寒いです。
木曜日の夜に戻る予定なんだけど会えるかな?
お土産買って行くね。
平山
歩は腕組みをしてう〜むと考えこむ仕草をしてみせた。
「木曜日の夜が勝負だねっ!」
「しょ…勝負って!?」
今度は人差し指をピンと立たせて知的な女教師風?
「とびっきりの彼の"女"になるか、単なる可愛い後輩の"女の子"になるかの勝負ってこ〜とっ!」
「とびっきりの…。な、なるほど。でも…なれるかな?」
「エリー?なれるかな…じゃなくって"な・る・の"!」
「はい…っ!」
歩はとびっきりのイイ女になるための極意をたたき込む!と豪語した。
そうしてベルの音と共に私たちはそれぞれの仕事へと戻った。
[月曜日、
女の勝負を決めた。]
─火曜日の夜。
「エリー、大胆〜!よくそれ買えたね〜!」
サボンがきゃ〜、きゃ〜驚いている。
私だって驚いている。
だってこんなにセクシーな下着…
私なんかに絶対似合わない…っ!
ショートケーキみたいな真白に真っ赤なフリル。
シルクのような肌触り。
真っ赤なスリップを上から着ればまるでミニサンタさん。
歩様のご命令だ。
「大切なのは"変化率"だよ!清楚なエリーはこれくらい大胆にいかなくっちゃ!」
[火曜日。
勝負に向けていざ勝負。]
─水曜日の朝。
歩と一緒に美容院でトリートメント中。
「うわ〜!ツヤツヤ〜!」
歩'sルールでは何でも、とっておきの日に髪の毛のツヤは欠かせないらしい。
【水曜日。
女磨きに磨きをかける。】
明日は平山さんが帰って来る日。
いざ、勝負の夜!