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明智光秀:歴史改変録 ~逆行転生オタクの覇権~【第2部(外伝):第六天魔王と黄金の軍師、世界蹂躙編スタート!】  作者: 天音天成
外伝:第1章:極東の怪物タッグ結成と、南蛮の洗礼

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第3話:マカオ寄港。横暴な南蛮総督と、極東から来たチンピラ軍団

天正十年(1582年)、夏。

大坂の港を出立してから数週間後。果てしない青海原をかき分けて進み続けた装甲蒸気船団の眼前に、ついに異国の陸地が姿を現した。


「おおおおっ! 陸じゃ! 陸が見えたぞオラァッ!!」

「うおおお! 長かった、長かったぜ! やっとこの揺れる地獄から解放されるんだな!」


甲板の最前列で、加藤清正と福島正則が身の丈を越える大身槍を振り回しながら、狂喜乱舞の咆哮を上げていた。

ねねの献身的な看病と、石田三成の「三半規管にかかる負荷の計算指導(という名の罵倒)」により、彼らはようやく船酔いを完全に克服していた。陸地に足を踏み入れられるという喜びと、長旅で鬱憤が溜まりに溜まった闘争本能が、彼らの血液を沸騰させているのだ。


「やかましいわお主ら! 少しは静かにせんか! まったく、檻から放たれた山猿じゃな」

羽柴秀吉は苦笑しながら二人を一喝すると、自らもまた、これから向かう港の情景に目を細めた。


彼らが接近しているのは、明国(中国)の南端に位置する港湾都市・マカオである。

明智光秀から託された分厚い羊皮紙の『未来の世界地図』によれば、ここは現在、南蛮の国の一つである「ポルトガル」が明朝から居住権を獲得し、東アジアにおける最大の貿易拠点として支配している場所だという。

港には、数え切れないほどのジャンク船や、三本の帆柱を持つ巨大な南蛮のガレオン船が停泊しており、この街がいかに莫大な富を生み出しているかが一目でわかる。


「殿、ご用心くだされ。我々にとっては初めての異国。南蛮人どもがどのような罠を張っているか知れたものではありませぬ……ああ、考えただけで胃が……」

秀吉の背後で、黒田官兵衛が顔を青ざめさせ、光秀特製の『特性胃薬』を水で流し込みながら進言した。


「ガタガタ抜かすな官兵衛。罠があろうがなかろうが、水と石炭の補給は必須じゃ。それに、明智殿はこの船に『最高の護身の道具』を積んでくださっておるからのう」

秀吉はニヤリと笑い、甲板に据え付けられた巨大な大筒――艦載砲をバンバンと叩いた。


一方、マカオの港町は、未曾有のパニックに陥っていた。

沖合から、黒煙をモクモクと吐き出しながら近づいてくる巨大な黒鉄の船。風を孕むべき帆が一切存在しないにもかかわらず、その船は信じられない速度で波を砕き、こちらへ向かってきているのだ。

「なんだあれは!? 悪魔の船か!?」

「ガレオン船よりも遥かに巨大だぞ! なぜ帆がないのに動いているのだ!」


ポルトガルの商人や明国の労働者たちが悲鳴を上げて逃げ惑う中、マカオ総督府の守備隊が慌ただしく港に結集し、マスケット銃を構えて巨船の接岸を待ち構えた。


ドォォォン……。


鈍い金属音を響かせ、秀吉の乗る旗艦が港の桟橋に横付けされた。

タラップが降ろされ、そこからぞろぞろと降りてきたのは、マカオの人間たちがかつて見たこともない異様な集団であった。


「オラァ! 道を空けろ南蛮人ども! わしらは極東から来た海外遠征軍じゃあ!」


先頭を歩くのは、派手な陣羽織を翻し、ギラギラとした野心を隠そうともしない小柄な男、秀吉。

その後ろには、朱色の甲冑に身を包み、身の丈を越える巨大な槍を肩に担いでガンを飛ばす清正と正則。

さらにその後方には、常に算盤そろばんを弾きながら冷徹な視線を配る石田三成と、常に胃のあたりを押さえてうめき声を上げている黒田官兵衛。


マカオの港に降り立った彼らの姿は、異国の洗練された外交使節などとは程遠い。極東の島国からやってきた、規格外の暴力と野心を煮詰めたような『極悪チンピラ軍団』そのものであった。


「……止まれ! 貴様ら、どこの海賊だ! その悪魔の船はどういうことだ!」


銃を構えた守備隊の奥から、豪奢なベルベットの服に身を包み、傲慢な顔つきをした男が進み出てきた。

ポルトガル国王からこの地を任されている、マカオ総督のドミンゴ・デ・メロである。

彼の横には、通訳とおぼしき明国の商人が付き従っている。通訳の震える声でその言葉が日本語に変換されると、秀吉は愛想の良い、人懐っこい笑みを浮かべて一歩前に出た。


「お初にお目にかかる! わしらは日本の『大日本帝国・海外遠征軍』じゃ。決して怪しいものではない。水と食料、そして船の燃料である石炭を補給しに寄港させてもろうた。総督殿に挨拶をいたしたい」


秀吉は恭しく頭を下げた。だが、ドミンゴ総督は、秀吉の小柄な体格や、清正たちの奇抜な甲冑姿を見て、あからさまに鼻で笑った。


「ふん。極東の黄色い猿どもが。日本の海賊(倭寇)か何か知らんが、見たこともない奇妙な船を拾ったからと調子に乗るな。あの船は、どうせ明国のどこかから盗み出したものだろう」


通訳がその言葉をオブラートに包んで伝えようとしたが、ドミンゴは通訳を突き飛ばし、自らの言葉の響きと身振り手振りだけで、秀吉たちへの強烈な侮蔑を表現した。


「いいか、野蛮人ども。ここは我ら大国ポルトガルが支配する高貴な港だ。お前たちのような臭い猿どもが港を使いたくば、入港税としてその船の積み荷の『半分』を置いていけ! さもなくば、港の砲台でその薄汚い鉄の船を海の藻屑にしてやるぞ!」


その言葉が通訳の口から翻訳された瞬間。

秀吉の背後で、ギリィッ……という歯軋りの音が鳴った。


「……なんだとコラァ。南蛮の白豚どもが」

清正の額に青筋が浮かび、目が見開かれた。

「俺たちを猿呼ばわりした挙句、積み荷を半分置いていけだと? ナメてんじゃねえぞオラァッ!! 刻んでマカオの海に放り込んでやる!!」


「おうおうおう! 言わせておけば調子に乗りやがって! 上様と明智の旦那から預かった大事な物資を渡すわけねえだろうが! いっぺんその脳天に風穴開けてやるからそこ直れやァッ!!」


正則も完全にブチギレ、大身槍をドミンゴの鼻先へ突きつけた。極道のカチコミ以上の凄まじい殺気が、マカオの港を支配する。

ポルトガルの守備隊は、清正たちのあまりの気迫と殺気に圧倒され、マスケット銃を持つ手をガタガタと震わせた。


「殿! いけません! ここで事を構えれば、ポルトガル本国との全面戦争になりかねません! 明智殿の計画に泥を塗ることになりますぞ!」

官兵衛が胃を激しく痛めながら必死に制止に入る。


「お待ちください、殿」

そこに、分厚い帳簿を開きながら、石田三成が冷徹な声で歩み出た。

「明智殿からいただいた『未来の国際法および関税の慣例』に関する書物によれば、入港税として積み荷の半分を要求するなど、どの国の法に照らしてもあり得ない暴利にして違法行為です。私から、彼らの不当性を複式簿記の観点から論破し……」


「三成、待て」


秀吉は、片手で三成の言葉を制した。

その顔からは、先ほどまでの人懐っこい笑みが完全に消え失せている。

冷酷で、底知れない魔性の光を宿した、天下人の目がそこにあった。


「……なるほどな。明智殿の言う通りじゃ。この大航海時代とやらでふんぞり返っておる南蛮の連中は、理屈や帳簿を見せる前に、まず『暴力の格付け』を済ませてやらんと、対等に話を聞こうともせんらしい」


秀吉の言葉に、ドミンゴ総督は顔を真っ赤にして激昂した。

「何を小声で喚いている! 撃て! その野蛮な猿どもに、我らヨーロッパの近代兵器の恐ろしさを教えてやれ!」


ポルトガル守備隊が、一斉にマスケット銃の火縄に火をつけようとした、その時である。


秀吉は右手を高く上げ、船の甲板で待機している砲手に向かって、白檀の扇子を鋭く振り下ろした。


「明智殿から預かった『らいふる砲』とやら……試し撃ちといくか! ぶっ放せェッ!!」


ズドォォォォォォォォォォォンッ!!!!!


鼓膜を突き破るような、凄まじい轟音がマカオの港を揺るがした。

装甲蒸気船の甲板に搭載された艦載砲の砲口から、巨大な火炎が噴き出したのである。


光秀の【絶対記憶】から引き出された知識によって鋳造されたこの大砲は、当時のヨーロッパのガレオン船に積まれているような、丸い鉄球を火薬の力で押し出すだけの旧式の大砲(滑腔砲)ではない。

砲身の内部に螺旋状のライフリングが刻まれており、弾頭を高速で回転させながら射出することで、射程距離と命中精度を飛躍的に向上させた、史実よりも数百年先のオーバースペックな近代兵器『後装式施条砲』であった。


放たれた砲弾は、空気を切り裂くような甲高い飛翔音を立ててマカオの港を飛び越え――港の沖合およそ二キロメートル先にある、巨大な岩礁群に直撃した。


しかも、その砲弾はただの鉄球ではない。

着弾した瞬間、内部に仕込まれた時限信管が作動し、信じられないほどの大爆発を引き起こしたのである。光秀特製の『榴散弾りゅうさんだん』であった。


ドゴォォォォォォンッ!!!


天を焦がすような爆炎と黒煙が舞い上がり、巨大な岩礁が、まるで脆い泥細工のように木っ端微塵に吹き飛んだ。

砕け散った岩の破片が海面に降り注ぎ、巨大な水柱がいくつも立ち上がる。


「「「…………っ!?」」」


マカオ総督ドミンゴとポルトガルの守備隊は、その信じられない破壊の光景を前に、全員が完全に凍りついた。

彼らの手からマスケット銃がポロポロと滑り落ち、カラン、カランと虚しい音を立てて石畳に転がる。

彼らが誇るヨーロッパの最新鋭の火砲など、あの極東の船が放った悪魔のような一撃に比べれば、子供の玩具おもちゃにも等しい。

もしあの一撃が、岩礁ではなく自分たちの港や総督府に向けられていたら……。そう想像しただけで、彼らの膝は震え、ドミンゴ総督に至っては、腰を抜かしてその場にへたり込んでしまった。


「あ、あ、あああ……っ……ば、化け物……」

ドミンゴの顔は恐怖で引き攣り、先ほどの傲慢な態度は跡形もなく消え去っていた。


「ガハハハハ! どうじゃ総督殿! わしらの『商いの挨拶』は!」


秀吉は腰を抜かしているドミンゴの前に歩み寄り、しゃがみ込んでその肩をポンポンと気さくに叩いた。

「わしら極東の猿どもが、あんたらの言う『近代兵器』とやらでどれほどのことができるか……少しは理解わかっていただけたかな?」


アメとムチ。徹底的な恐怖(暴力)を植え付けた直後に、相手の懐に飛び込んで優位に立つ。これこそが、羽柴秀吉という男の真骨頂であった。


「さて……これでお互い、腹を割って対等に話ができそうじゃな。官兵衛、清正、正則! 槍を引け! お客様を脅してはならんぞ!」

「ちっ……命拾いしやがって、白豚どもが」

清正と正則が渋々といった様子で槍を下ろすと、秀吉は背後で待機している冷徹な若きエリート官僚を振り返った。


「さあ、三成。お前の出番じゃ。この怯えきった総督殿に、明智殿が教えてくださった正しい『商いのルール』というものを、徹底的に叩き込んでやれ」


「はっ。承知いたしました」


石田三成は一礼すると、分厚い帳簿と算盤を胸に抱いたまま、腰を抜かしているドミンゴ総督の前へ、音もなく進み出た。

彼の眼鏡の奥で、数字のバケモノとしての冷酷な光がギラリと反射する。


「では総督殿。これより、我々の寄港に伴う関税の適正価格の算出、ならびに不当な要求に対する慰謝料の請求について……『複式簿記』の観点から、一銭の狂いもなく計算させていただきます。覚悟していただくよう」


火薬の匂いが立ち込めるマカオの港で、今度は数字という名の刃が、南蛮の総督の首元に突きつけられようとしていた。 

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