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明智光秀:歴史改変録 ~逆行転生オタクの覇権~【第2部(外伝):第六天魔王と黄金の軍師、世界蹂躙編スタート!】  作者: 天音天成
第6章(エピローグ):大日本帝国の夜明け

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第11話:終わらない天下布武と、最高の家臣への賛辞

初夏の心地よい風が吹き抜ける縁側で、俺はこみ上げてくる笑いをなんとか抑え込みながら、羊皮紙の最後の一枚に目を落とした。

それは、遠く海を越えたヨーロッパ大陸から届けられたばかりの親書の、締めくくりだった。


手紙の最後は、あの男らしい、太く、力強く、そしてどこまでも自由で傲慢な筆致で、こう綴られていた。


『十兵衛。

俺とお前の天下布武は、どうやらこの丸い地球すべてを覆い尽くさねば終わらんらしい。


秀吉の猿めの交渉術と、お前が送ってくる物資のおかげで、南蛮の王侯貴族どもは完全に俺たちの掌の上だ。教皇庁も震え上がらせ、四年前にお前の設計した鋼鉄大砲で拿捕したスペインの無敵艦隊を組み合わせて、これで地中海とヨーロッパの海は、完全に俺の庭となった。


だが、教皇庁の図書室の奥深くで巨大な地球儀を見せられ、俺は確信した。

南蛮のさらに西、荒れ狂う大西洋を越えた先には、「新大陸アメリカ」と呼ばれる手付かずの広大な大地が広がっているというではないか。まだまだ、俺が征くべき国も、壊すべき古い常識も、この世界には山ほど残されている。

もうすぐ還暦を迎えるというのに、俺の血は、戦国の泥沼を駆け抜けていたあの頃よりも、さらに熱く、激しくたぎっておるぞ。秀吉の奴も、新たな大陸での兵站ロジスティクス構築に目を血走らせておるわ。


俺たちはこれより、無敵艦隊の生き残りと『NOBU号』を率いて、西の大西洋を越え、新大陸へと舵を切る。

日の本の統治は、完全に任せたぞ。我が最高の家臣にして、最強の相棒よ。

――第六天魔王・織田信長より』


「……あんたたち大馬鹿二人を怒らせて世界に放った結果、大日本帝国が世界の列強すべてを敵に回す羽目になるかもしれないんだぞ。少しは自覚してくれよな、魔王様」


俺は苦笑交じりに、どこか誇らしげな悪態をつきながらも、その手紙を宝物のように丁寧に折りたたみ、パタンと閉じた。

そして、縁側の屋根の向こう、見渡す限り澄み渡るような青空へと、ゆっくりと顔を上げた。

初夏の爽やかな風が、軒下に吊るされた江戸風鈴をチリンと涼しげに鳴らして吹き抜けていく。遠くからは、俺が基本設計を行い、家康や三成たちが全国に敷設した鉄路の上を、最新の蒸気機関車が力強く走る汽笛の音が、微かに聞こえてきた。日本の国内は、どこまでも平穏で、確かな繁栄の足音に満ちている。


俺の脳内にある【絶対記憶】。史実の歴史書が示す通りであれば。

織田信長は、十年前の今日、本能寺で己の無念の炎に包まれて自害し、その志を中途で絶たれた悲劇の覇王だった。

羽柴秀吉は、老いと絶対権力に狂い、己の血族すらも粛清した果てに、泥沼の戦争を引き起こして豊臣家を滅亡へと導いてしまった哀れな天下人だった。


本来なら、血と後悔と絶望に塗れた悲惨な最期を遂げたはずの二人の英傑。

だが今、この広い世界のどこかで、彼らは史実の悲劇など微塵も感じさせず、彼ららしく野心を燃やし、大笑いしながら生きている。


俺はあの山崎の戦いの後、彼らに『近代兵器』と『世界地図』という新しい武器と盤面を与えて、海の外へと放り投げた。その後も、定期的な物資支援という形で、彼らの背中を強力に後押しし続けてきた。

だが、彼らが今ヨーロッパで成し遂げ、そしてこれから新大陸で成し遂げようとしている数々の規格外の偉業は、俺の未来知識のプロデュースを遥かに超えた、彼ら自身の純粋な「才能」と「野心」の結晶だった。


古い権威を一切恐れない、魔王・信長の絶対的なカリスマと決断力。

言語の壁すら越えて相手の懐に入り込む、天才・秀吉の神がかった人心掌握術と兵站構築能力。

この二つの才能が完全に噛み合い、そこに俺が提供した未来の火力が加われば、大航海時代の荒波すらも乗りこなし、世界の覇権すらも軽々と塗り替えてしまうのだ。白人至上主義に染まり、有色人種を野蛮人として見下していた当時のヨーロッパ列強の王侯貴族たちは、今頃、極東からやってきた「理解不能なバグ」の前に為す術もなくひれ伏し、歴史の教科書を書き換えさせられていることだろう。


「俺は、とんでもない化け物たちを世界に解き放ってしまったらしいな」


俺は空を仰ぎながら、心からの痛快さと、かつての主君であり最高の相棒に対する最大限の賞賛の笑みを浮かべた。

俺自身の天下布武――近代国家・大日本帝国の樹立と、武力に頼らない内閣制への移行――は、すでに完璧な形で完了した。だが、あいつらの天下布武は、世界の海を舞台にしてまだ終わっていなかったのだ。


この世界に転生したあの日。現代社会で過労死し、わけもわからず戦国時代という血みどろの地獄に放り込まれ、己の悲惨な死の運命に震えながら、死に物狂いで歴史の歯車をへし折ってきた意味は、間違いなくここにあったのだ。


俺は生き延びた。俺の仲間たちも、誰一人として悲劇的な死を迎えなかった。

日本の歴史は、最高にハッピーで、途方もなくエキサイティングな形へと上書きされたのだ。


「新大陸か。せいぜい、悔いが残らないように大暴れしてこいよ。……極東の空から、俺の最高の相棒たちに乾杯だ」


俺は青空に浮かぶ一筋の白い雲に向かって、手にした白檀の扇子をグラスに見立てて軽く掲げた。

心地よい初夏の風が、歴史を改変した男の心を、どこまでも優しく、そして誇らしく撫でていった。

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