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第3話 研究の成果

歴史の再試験が無事に終わり、数日魔法の研究に没頭した私には研究による発見があった。


それぞれの魔法の術式には主に4つの段階が存在するということだ。本来魔法を発現させるためには発現させたい属性、階級を思い浮かべる。そうすると自分の前に術式が浮かび魔法が発現するのだけど、これは普通の人の場合である。


そうこれは私が欠陥持ちであるが故の発見なのだ。私は術式の展開速度が遅すぎるが故に、術式の細部まで観察することができる。


そうして術式についてわかったことというのが、左上の方からグルっと円形上に展開されるということ。そして左上は属性に、右上は階級にそれぞれ対応していた。そして下半分については今の情報だけでよく分からなかった。だけれども上半分が2つの意味を持っていることからおそらく術式は全部で4つの意味を持っていると推測ができる。


また一度発動した魔法は自身の魔力が底を突いてしまうか、自身の魔力との繋がりを術式から切り離せば消える。だから一発目の魔法を撃った後に二発目の魔法を発動すると二重に魔力が消費される。だけど一発目に撃った魔法は魔力の出力に関係なく魔力が消費される。これのお陰で私も魔法を一つ発現させた後に二つ目を発現させることができる。


それが分かったとして、私の魔法戦闘についての問題は何も解決していない。一発目を撃つのが遅いのに、二発目も遅い。不意打ちをしたとしてもそれで相手を倒しきれなかったら反撃を大量に撃ち込まれて詰みだ。


はぁ、考えていても仕方がない。結局魔法戦闘に関しては私の魔力出力をどうにかしない限り解決しない。魔力出力を大きくする方法など聞いた事もないが何か方法はあるはずだ。


そういえば今日は外に出ようとアリアと約束したし仕方なく外出の準備をしよう。本当は外出などするつもりはなかったのだけど、アリアに最近は引きこもりすぎだと怒られてしまった。別に前に外出してからまだ10日くらいしか経っていないというのに、まったく本当にアリアは心配症である。


「りーーすーー、準備できた?そろそろ行くよー」


どうやら私のお迎えが来たらしい。


「うん、今行くから待ってて。」


そう私の部屋の前で待っているアリアに少し大きめの声で返事をして、自分の外出用の何もものが入っていない鞄を持った。何故何も入っていないかというとお金はいつもアリアが出してくれる。別に出したくないからとかではなく、私はそもそもとしてお金を持っていないからだ。別に食事など生活していくうえで必要なものは基本的に孤児院から提供されているし、今欲しいものもないのでお金には困っていない。だから働いていないしお金なんて持っていない。


それでアリアはと言うとよく鍛錬と言って魔獣を狩りに行ってその肉や皮を売って稼いでいるらしい。アリアは剣の腕だけで言えば強さは結構上澄みである、凶暴な魔獣も一人で切り伏せているし、アリアの太刀筋はとても綺麗らしい。状態がいいので皮も肉も高値で売れるのだとか。なのでアリアはとんでもない量のお金を持っていたりする。


だから一緒にお買い物に行ったときはアリアが全てお金を払ってくれている。だけど私の物欲の無さやお金を払ってもらう申し訳なさから買い物に行こうと誘うことはないし、ねだることもないのだけどアリアはあれやこれやと私に物を買ってくれている。


服や本、アクセサリーに化粧品などに至るまでアリアは私に色々と買い与えてくれている。少し申し訳なさもあるけれどせっかくのアリアからのプレゼントだからしっかりと受け取っている。


まぁ私はオシャレに興味がないので未開封の化粧品やアクセサリーが大量にあったりする。開封したとしても使い道が私にはよく分かっていないものも多いので仕方がない。なのでそろそろ私の机の引き出しがいっぱいになってしまう。使わないのも勿体ないし今度アリアに教えて貰おうかな。


そうして私は部屋から出てアリアに挨拶をした。


「おはよう、アリア。今日は何処に行くつもり?」


「今日は露店街見に行こうかなって。ほらあそこには何でも揃っているでしょ?美味しいものもあるし。」


「そうだね。」


私たちのいる都市は人類の最大の国家、マギア王国の中でも一番の商業都市マルシルである。マギア王国の王都から二つ山岳地帯を挟み南に位置する。何故そんな位置の都市が栄えているかというとマギア王国の南に位置する国、人類の国で2番目栄えている国であるサナーレ皇国との貿易の地としてこの地は栄えてきた。


貿易の内容としてはマギア王国からは山岳地帯から取れた鉱物資源と北側にある国からの衣類やお酒などの貿易品を輸出している。逆にサナーレ皇国からは果実や海産物、そしてさらに南に位置する獣人の国マニラスターブから良質な武具がこの都市に集まってきている。


そしてマギア王国の東には同盟国であるエルフの国が、西には危険な魔獣がたくさん生息していると言われている大森林地帯がある。エルフの国は同盟を結んではいるもののその内容がほぼ不可侵条約であり、人間の出入りは非常時以外禁じられている。なのでここマルシルは王国の南と北を繋ぐ唯一の道である。


だからこそここマルシルは商業都市として何年もの間栄えてきた。


「それでアリアは何を買いに行くの?わざわざ露店街に行くなんて珍しい。いつも武器なんかは同じところで買っているんでしょ。」


「えーっと、珍しいものもあるかなーって!それにそれにリースが気になるものもあるかもでしょ?」


「つまりは私を外に連れていくための口実ってことね。」


「仕方がないでしょ!こうでもしないとリースは外に出ないんだから。」


「それはそう。なら気になるものがあったら買ってもらおうかな。」


「任せてよ!こう見えて私はお金持ちなんだよ?何でも買ってあげるんだから!」


「ならドラゴンの卵とか?」


「えっと…私もっと頑張って働くね。20年後くらいには買ってあげるから待ってて。」


「アリア、冗談だから真に受けないで」


そんな話をしながら私達はシスターさんに外出届けを提出し、孤児院を出て露店街に向かった。アリアが本当にドラゴンの卵を買おうとしていることに驚きはしたが、冗談だということを頑張って伝えた。


露店街には食べ物の屋台や雑貨屋、本屋に何を売っているかよく分からない怪しい店など色々存在する。特に私の気を引くものはなく、アリアの買い物の付き添いになっている。


そのアリアはというと私の隣でお肉を頬張っている。いつもここに来てはお肉の串焼きなどを買って食べているのだろう。お店の人が名前を知っているようだったし、割引きもして貰えていた。


私はアリアがお肉を食べ終わったのを見計らって話しかける。


「ねぇ、アリア。アリアはさ、戦ってる時って何を考えているの?」


「戦っている時?うーん、私の場合は相手の行動に対してこうするーみたいな?でも身体に染み付いた動きで戦ってたりするから割と無意識かも?」


相手の行動を観察して対処を決める、確かに。相手の発現させた魔法に対して最適な魔法を選択できれば、戦いは上手くいく。


「じゃあ魔法戦闘の場合はどうなると思う?」


「基本的には火力でねじ伏せてる事が多いんじゃないかな、得意な魔法での撃ち合いーみたいな。だから自分の得意な魔法をどこで相手に当てるかってことじゃないかな。」


「じゃあ相手の行動に対して即座に魔法を選択できればどうなると思う?」


「そんなことができるとしたらめちゃくちゃ強い人だろうね。でもリース、それは不可能だよ。魔法が迫ってくる速度っていうのはものによっては尋常じゃなく速い、それも強い人になればなるほどに。だから人間の目じゃ到底不可能、私でもギリギリ避けれられるかくらいだから。やっぱり撃ち合いしかないんじゃないかな。」


「なるほど。」


でも私は相手の魔法が何を発現させるか理解する方法を知っている。相手の魔法の術式を見抜けばいい、それでも速度が落ちる訳じゃない。迎撃にはやはり魔法を早く発現させる必要がある。でも…


もし魔法を待機させておくことができれば、全ての魔法に対して最適解を選ぶ事ができるのではないだろうか?


私は思いつきで火属性第一階級魔法の術式を展開する。その術式がゆっくり完成に近づいていく。もう完成するというところで魔力の流れを止めてみた。そうするとその術式は残っていて消えない。この状態で私は水属性第一階級魔法の術式を展開する。


「ねぇ、アリアちょっと試したい事があるんだけど。魔法を撃てる場所とかない?」


「あるにはあるけど、何をするつもりなの?」


「いいから案内して」


これは使えるかもしれない。これができれば私だって魔法戦闘を行う事ができるかもしれない。そういう期待を抱きながら私はアリアの案内のもと魔法や剣を使った訓練ができるという、訓練場に向かった。


訓練場に着くと私達はその訓練場の一室を貸切状態にした。私はその部屋に入り術式に魔力を込め始める。


「ねぇアリア、私って術式の展開が人よりゆっくりでしょ。だからね私は発動前に術式の進行をストップすることができるの。それでねその状態で二つめの魔法を発現させようとするとね。」


そうして私は二つ目の魔法を発現させるために術式に魔力を込める。そうすると一つ目の術式を消すことなく、二つ目の術式がゆっくりと完成していく。そうして二つ目の術式を完成させる直前にまた術式の進行を止める。


「こうやって一つ目の魔法の術式を残したまま、二つ目の術式を展開させる事ができる。じゃあこれを何回も何回も重ねていったらさ、私でも魔法を連続で発現させることができると思わない?」


そうして私は長い時間をかけて百近くもの未完成の術式を周りに漂わせる。アリアはずっと驚いていた顔をしている。


「ねぇ、アリア。ちょっと私と戦って見てくれない?」


「リース、それは流石に…」


「分かってる勝てるとは思っていない。けれど試してみたいの本当に戦えるのか。」


「そういうことじゃなくて…」


「アリア、お願い。」


「分かった、でも私が終わりって言ったらすぐ終わるからね。」


「うん、アリアありがとう。」


そうしてアリアは部屋の隅に置いてある木刀を持ち私に向かい合う、私もアリアに手のひらを向け集中する。


「リース、いつでもいいよ。リースが一つ魔法を撃つのと同時に始めようか。」


「分かった。」


そうして私は、私の周りにある術式の一つに魔力を込め始める…

やっと戦闘シーンに入れる…

これでもう少し書くスピードが上がればいいのですが。

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