第2話 魔法体系
まず魔法の研究するにあたって分かっていることをまとめておく。
魔法には4つの属性があり火、水、地、風の4つである。そしてそれぞれの属性の魔法には威力によって階級が定められていている。そしてその数字が大きくなればなるほど威力が増す。まぁその代わりに消費する魔力の量を大きくなるのだけど。
第一階級魔法ではそれぞれの属性のものを一定時間発現させるだけのものであまり戦闘の用途で用いられることは無い。これは生活に使われることがほとんどで、料理の時に火起こしたり飲料水を生み出すなどなど私たちの生活には欠かせないものとなっている。
第二階級魔法になると基本的には戦闘用となり小さな炎の球を打ち出したり、少し強い風を吹かせたりなどができる。小さな魔獣を狩るのによく用いられたり、人々の喧嘩によく使われているところを見た。
そしてそれぞれの属性には名前の通りのものを発現させるだけではなく、ちょっと変わった魔法も存在する。例えば水属性魔法の第四階級魔法では回復の魔法が存在している。ただこういった魔法は得意な属性の魔法でしか発現しなく、こういった属性のことを自身の適正と呼ぶ。適正は基本的には1人に1属性しか発現しないらしいが稀に2属性に適正がある人もいるとか何とか。まったく羨ましい限りである。
そして自身の適正の魔法では消費する魔力の量と発現までにかかる時間が違う。消費する魔力の量について正確な違いは分かっていないが、発現までにかかる時間は半分になっている。本来ならば魔法の発現は数秒なので普通の人にとってはあまり関係の無いことなのだが、私は魔法の発現が他の人よりも多くの時間がかかることによってこれを知った。
魔法を発現するまでの時間が適正の属性はそれ以外の属性の半分になる。私の場合は地属性の発現にかかる時間が短かった。短いといっても他の人よりも多くはかかるが他の属性よりは大分マシになる。
まぁどっちみち私が誰かと戦ったら魔法の発現の速度の差によって一瞬で決着が着いてしまうことだろう。まぁ膨大な時間を自身の肉体で凌ぎ切れさえすれば反撃できるのだが、私は鍛えてないし流石に無理そうかな。
そして魔法を語るにおいて忘れてはならないのが魔法使いならば誰もが知っている犯してはならない禁忌が存在するということ。
1 つ、知性ある生物を魔法により従えることを禁ずる。
2つ、死んだものを生き返らせることを禁ずる。
3つ、生命なきものに生命を与えることを禁ずる。
これは神が定めたもので、これらを犯してしまうとほかの魔法が一切使えなくなるのだとか。禁忌の魔法がどれだけ強力な魔法であっても流石に他の魔法が使えなくなるのは悲しい。
そしてこれらの禁忌を犯したものは魔導教会から禁忌の魔法使いとして指名手配される。でも禁忌の魔法使い達は基本的に強力な魔法を持っていることが多く魔導教会も手を焼いているのだとか。
現在指名手配されている禁忌の魔法使いで言えば、死者の蘇生を行ったとされているサナーレ皇国の元聖女。あとは身元が不明の絵本の魔女が有名である。
そして昔には一国の人々を魔法で支配して軍勢を作り上げたものや、魔獣を使役するものもいたのだとか。
やはり禁忌の魔法というのは代償が大きい分、規模が大きかったり強力なものが多いのだろう。
そして禁忌の魔法使いに相対する存在、魔導教会。魔導教会は人間の国で信仰されている魔導教の教えに乗っ取った教会である。孤児院の運営や、魔法の管理、教育機関の運営ひ図書館の運営。増えすぎた魔獣の退治や禁忌の魔法使いの討伐など、様々な分野で活動している。
あと魔導教会について語るにおいて外せないのが、魔導11世紀に術式の改変を神への冒涜として禁じたことだ。なので人間の国での魔法の開発というのは魔導11世紀以降行われていない。
これだけは本当によく理解ができない。せっかく与えられたものなのだから改良してよりよく皆が使えるようにした方が絶対にいいのに!そのせいで私オリジナルの術式が作れないし!
まぁ私怨もあるのだけど、問題はそれだけでは無い。魔導教会があるのは人間の国だけであり、他種族の国では普通に術式の改変というのは行われている。そしてそれを見かねた魔導教会は昔他種族国家に戦争を吹っかけたりしている。
今では一時停戦しているものの、いつ戦争が再開してもおかしくはないだろう。本当に馬鹿な組織であると思うと同時に身寄りのない私を拾ってくれた孤児院を運営しているということについてはとても感謝しているので複雑な気持ちである。
この孤児院は魔導教会が運営していることにより、孤児院といっても割と暮らしに困ることは無い。ご飯にも紙にも服にも特に困ることなく生活できている。本当に有り難い限りだ。
「とりあえずこれくらいかな。」
基礎的な魔法の知識をノートにまとめ終わると、私の部屋のドアをノックする音が聞こえる。
「リース、いますか?入りますよ。」
「こんにちはシスターさん、アリアが迷惑をかけてすみません。」
孤児院のシスターさんがお昼ご飯を持ってきた。きっとアリアに言われて来たのだろう。シスターさんは私の勉学の先生であり、小さい頃から私のことをお世話してくれた人である。
そして私のことを欠陥持ちとして扱わない数少ない優しい人の1人である。
「ふふっ、これくらい大丈夫よリースちゃん。それよりもきちんとご飯は食べないとだめですよ?アリアちゃんが怒っていましたよ?」
「アリアはちょっと厳しい。シスターさんからももう少し優しくするように言っておいて。」
「あらあら、アリアちゃんはリースちゃんの身体のことを心配しているのですよ?2ヶ月前も体調を崩して熱を出してしまったでしょう?」
うっ、それを言われてしまうと何も言い返せない。まぁアリアの言うことが正しいのは私自身も分かってはいるのだけど、それでも私は魔法をもっと…
「リースちゃん、貴方がなにをそんなに焦っているのか私にはあまり分からないのだけれどね熱中できるものがあるのは私もとても嬉しいの。でもね貴方が無茶をするようなら私は止めなきゃいけないの。だって私はリースちゃんの育ての親みたいなものだもの。」
「ごめんなさい…」
「そんなに悲しい顔をしないでちょうだい、分かってくれたのならそれで良いから、ね?冷めないうちにお昼ご飯を食べちゃいましょう。」
そうして私とシスターさんは私の部屋でお昼ご飯を食べた、シスターさんが作るご飯はいつも美味して暖かい気待ちになる。今日はバケットによく分からないけれど何かの貝とキャベツのスープ、そしてロックシープのお肉だ。
シスターさんによると教会からお肉の支給が大量にあったらしく、おそらく数日はあの岩の生えた羊のお肉料理なのだとか。
「アリアはお肉が好きだから喜んでるだろうね。」
アリアは大のお肉好きだ、お肉料理の日はいつもすぐに食べ終わっているしなんなら私のお皿を羨ましそうに見ている。いつもいるか聞いているのだけど「リースが食べなきゃだめ」と自分に言い聞かせていた。
別に私としては食べてくれてもいいのだけど、アリアは絶対に私がお腹いっぱいになるまで受け取ってはくれない。結局私が食べきれなくてアリアに食べてもらうのだから最初から食べても変わらない気がするのだけどきっとアリアなりの気遣いなのだろう。
「そうね!アリアちゃんはいつも目をキラキラさせてお肉を食べているものね。そうと決まれば腕によりをかけて作っちゃうんだから。リースちゃんも楽しみにしててね。」
そんな会話をしつつ、私達はお昼ご飯を食べ終えた。食器をお盆に戻して、私が魔法の研究を再開しようとした時だった。
「ねぇリースちゃん、魔法のお勉強もいいのだけれど。歴史の点数があまり良くなかったテストの再試験がまだ残っているの忘れていないわよね。後で受けるって聞いてからもう5日も経っているのだけれど、いつ受けるのかしら?」
これはまずい…
基本的に算術や語学のテストはいつも点数を取れているのだけど、歴史のテストだけはいつも点数が良くなくて今回は点数が悪すぎて再試験を言い渡されてしまったのだ。
でもわたしは魔法の勉強がしたかったのでずっと逃げ続けていたのだが、とうとう逃げられない状況になってしまった。
「し、シスターさん。やっぱり大事なのは過去よりも今、だから歴史のテストは見逃して欲しい。」
「あらあら、確かにそうかもしれないわね。」
やっぱりシスターさんは優しい、話せば分かってくれると信じていた。
「では明日はアリアちゃんと一緒に剣術指南をしましょう。過去は関係ないので今から鍛えましょう!リースちゃんならきっとできますよ。」
前言撤回。やっぱり鬼だった。顔が本気だしこれは本当のことを言っているのだろう。歴史の勉強か剣術指南かどっちも嫌だけどこうなってしまってはマシな方を選ぶしかない…
「やっぱり過去も大事な気がしてきた。だから明日は剣術指南をやめて再試験を受ける。」
「あらあら、そうですか。たまには外で運動するのも大切ですよ?では明日待っていますね。」
「うぅ、善処します…」
そう言ってシスターさんは私の部屋を後にした。
まずいことになった。流石に再々試験となると怒られるのは確実に目に見えているし歴史の勉強をやらなければならない。
私は自身の魔法の研究ノートを閉じて、歴史の教科書を開く。そして私は休憩を取りながら教科書と4時間くらい睨み合い、燃え尽きているとアリアが鍛錬から帰ってきた。
「リース…何があったの?」
「ありあぁ、助けてぇ!全然覚えられないのぉ!」
「リースどうしたの!?」
そうして私はアリアに泣きつき、事情を言って歴史の勉強を手伝って貰った。アリアは自業自得だと呆れていたし、私としては剣術指南を一緒にやってもいいと言っていたが。なんだかんだいって私のことを手伝ってくれた。やっぱり持つべきは優しい友だ。
そしてアリアの助けもあってか夜寝るまでになんとか、曖昧ではあるけれどテスト範囲を一通り覚え切ることができた。
「うぅ、疲れたぁ…」
「なんとかテスト範囲は一通り終わったね、本番何とかなるといいけど。合格点は何点なんだっけ。」
「6割…でもギリギリ取れるか取れないかくらい。明日の朝一通り目を通してからテストを受けに行く。勉強付き合ってくれてありがとうアリア。」
「大丈夫だよ!これくらいならいつでも頼ってね!明日の再試験頑張ってね。」
「うん、おやすみ。また明日。」
「うん!おやすみ!」
そう言ってアリアは自分の部屋に戻って行った。私も寝る準備をして、いつもより早くベット入り眠りについた。
次の日歴史のテストを受けた私はギリギリ合格点には届かなかったものの、シスターさんからオマケを貰って何とか合格にしてもらうのだった。




