Drop.029『 The SUN:U〈Ⅱ〉』【2】
そうして、それからゆったりと歩き出した法雨と雷は、二重奏の雪の音を楽しみながら、温かな住まいへと続く道標を残しては、帰路を辿った――。
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「――はぁ……。“サンタ業”を終えた後のお風呂は、やっぱり格別ね……」
その声に極楽を滲ませ、どしりと重い疲労感を融かす湯の温もりと香りに浸りながら、法雨は言った。
そんな法雨の背をその身で預かるようにしていた雷は、それと共に、自身の大きな手に預けられた繊細な手を労うように撫でては言う。
「本当にお疲れ様。――君のクリスマスは怒涛だね」
法雨は、その雷の手をそっと握り返すようにすると、長い尾を湯の中で上機嫌に揺らし泳がせては言う。
「ふふ。本当にそうね。――空飛ぶサンタに負けず、夜の街のサンタも大忙しだわ。――楽しいけど」
雷は、そんな法雨に笑うと、その細身にやんわりと腕を回しては、しばし抱きしめるようにした。
そして、しっとりと濡れた小ぶりな耳に口元を寄せながら言う。
「まさに天職だ」
法雨は、それにくすぐったげにすると、雷とじゃれるようにして耳をはたりと弾かせては、摺り寄せるようにして言う。
「ふふ。そうね。本当、その通り」
そして、言いながら雷の肩に頭を預ける様にした法雨は、自身の手をやんわりと握るその手と指を絡めては、そっと瞳を閉じると、五感を喜ばせているすべての感覚に浸る。
そんな法雨を優しく抱きながら、滑らかな肌を愛でる様にしていた雷は、しばらくすると――、ふと思い立ったようにしては、法雨の濡れ髪の感触を楽しみながら言った。
「そういえば……。――昨夜は桔流君もお店に居たけど……、常連さんのためだったのかい? ――彼、恋人が出来たばかりだったんだろう?」
すると、そんな雷の言葉に不満げな溜め息をついた法雨は、口を尖らせながら言った。
「そうなのよ~。まったく……。――初めてのクリスマスくらいはお休みにして、一日中二人でたっぷりイチャついて過ごしなさいって言ったのに、“いや出ます”――なんて言っちゃって、全然聞かなくて……」
雷は、それに――、あの桔流の場合、“その諭し方”では、より一層意固地になるだろうなと思いながら、苦笑して言う。
「ははは。彼らしいな」
そして、そこでふと、そんな雷からの先の問いを反芻した法雨は、その身に回された雷の腕をやんわりと抱くと、ひとつ零すようにして問うた。
「……ねぇ。雷さん。雷さんは……、“お休み”にしてほしい……?」
すると、その問いの意図を難なく解した雷は、愛おしげに微笑み、法雨をそっと抱きしめる様にすると、ぺたりと濡れたレモン色に口付けて言う。
「いいや。大丈夫だよ。――有難う」
しかし、その雷の言葉を受けた法雨は、安堵とは程遠い様子で身を返すと、雷に向き合う様にしてはその胸元に手を添え、問いを重ねた。




