Drop.028『 The SUN:U〈Ⅰ〉』【4】
「あぁ。――もしかして……、――桔流君のお相手というのは、――“あちら”の彼かな?」
その中、そうして問うた雷が、先ほど法雨にからかわれていた“クロヒョウ族の彼”を視線だけで示し、再び法雨に視線を戻すと――、法雨は、悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
「アラ、スゴい。――ご名答よ。――流石ね。刑事さん? ――あ。――今は、“名探偵さん”の方が良かったかしら?」
雷は、そんな法雨の言葉に笑いながら苦笑する。
「ははは。ご称讃を頂き光栄だが、――肩書きはどちらも遠慮しておくよ」
何と云う事はない――。
先ほど、ふと“彼”が視界に入った際――、ちょうどその向かいのカウンター内には桔流が居たのだが、“彼”と話す桔流のその横顔が、酷く幸せそうだったのだ。
彼らを特別な関係と判じた理由は、ただそれだけだ――が、それだけでも、十二分にその特別さを確信できるほどに、二人の表情には、互いへの愛が現れていた。
そして、その幸せそうな横顔をひとつ思い返すなり、その桔流へ、一足先の祝福を心の内で贈った雷は、次いで――、自身を慕う愛らしい若オオカミたちの事を想っては、苦しい日々を乗り越えた彼らにも、“かけがえのない人”と幸せになれる日が、一日でも早く訪れるよう祈った。
その中、その若オオカミたちに関し、ひとつ思い出した雷は、とある報せを法雨に紡ぐ。
「あぁ、そうだ。法雨さん。――京君たちも、しばらくしたら、こっちに来るそうだよ」
「まぁ、そうなのね」
そんな若オオカミたちのリーダー役をしていた京は、この二年と月日を経た現在も、変わらずと雷の助手を務めているのだが――、その京を慕うオオカミたちのリーダー役も未だ健在で――、元より彼らが繋ぎ合っていた深く強い絆もまた、褪せる事なく今も彼らを繋いでいるらしい。
その若きオオカミたちの事を雷がしばし想っていると、何やら難儀そうな顔をした法雨は、
「もちろん。後からでも、来てくれるのは嬉しいけれど……。――でも……、その時に全員分の席が空いてなかったら……、――テラス席だわねぇ」
と言いながら、店に設けてあるテラス席を見た。
そのようにして、絆が酷く強固な彼らだが、その“連帯感”が強固過ぎるゆえか、誰一人として未だ恋人との出逢いを迎えられていないらしく――、先ほどの“報せ”に因れば、そんな彼らは今、一軒目の馴染みの店で、悔しみの反省会をしているとの事であった。
だが、法雨曰く――、そんな京たちが二軒目として法雨の店にやってきた際、もしも人数分の空席がなければ、彼らが聖夜を過ごすのは、法雨の視線の先に設けられた、あの――こんもりとスノーコーティングされたテラス席となるらしい。
雷は、そのテラス席を法雨と共に見つめると、零すようにして言った。
「それは大変だ……」
そして、雷がそんな感想を零したのを機に、二人は、ひとつ楽しげに笑い合った。




