Drop.026『 The LOVERS:U〈Ⅰ〉』【4】
「まぁ、大変。――それじゃあ、アタシはこの先も、この身だけじゃなく、魂も尽くして、永らく雷さんのお傍で償っていかないといけないわね」
そして、嬉しそうに笑った法雨に微笑み返した雷は、自身に向けピンと立てられたその小ぶりな耳の淵をひとつ愛でては、次いで、さらりとしたレモン色を撫でて言う。
「それは助かるな。――ぜひ、そうしてくれると嬉しいよ」
そして、そう紡いだ雷が法雨の髪にひとつ口付けると、法雨は、“しばし意図をもって”そんな彼を見上げた。
すると、それに少しばかり眉を上げた雷であったが、すぐにその心を察すると、漆黒色の立派な尾をひとつ揺らしては、法雨の頬に手を添え、その彼の柔らかな桜色へも愛を贈った。
そうして、ただ静かに、愛を贈り合う中――、いよいよとその日のすべての予定を放り出しそうになっている己を察した法雨は、雷から少し身を離し、頼り甲斐のあるその腕の中でぐっと目を閉じると、あらゆる欲をこらえるようにして言った。
「いけない。――このままじゃ荷解きの前にアタシが解けちゃいそう」
雷は、そんな法雨が腕の中でワイシャツを握り皺を作る様子を笑うと、その背を撫でてやりながら言う。
「ははは。それは大変だ。――そうなったら俺も駄目になってしまうだろうから、――お互い駄目になる前に始めてしまおう」
「えぇ。――そうしましょ……っ」
その雷に頷いた法雨は、喝入れと煩悩祓いのためか、雷の胸元に勢いよく顔を埋めると、その逞しい身体に抱き着くようにしてはきつく抱きしめた。
雷は、そんな法雨にまた笑い、その華奢な身体をやんわりと抱き留めてやりながら、部屋に整列した大小様々な従者たちを見やると――、この先の日々を想っては、筆舌尽くし難いほどの幸福感で胸を満たした。
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