Drop.026『 The LOVERS:U〈Ⅰ〉』【3】
そんな二人の恋が実り、一年という月日を経る中――、彼らの愛が日に日に深まってゆくにつれ、互いへ紡ぎ合う言葉の“形”も、すっかりとやわらかく解けたものへと変わった。
「さて、――それじゃあ、アタシの“引っ越し本番”は、ここからね」
そして――、既に十分すぎるほどに深まった雷との愛と絆をさらに深めてゆくべく、新たな住まいへとやってきた法雨が、そう言うなり腰に手を当てると、雷は言った。
「そうだね。――と、言っても、――別に急ぐ必要はないから、君のペースで進めていくといいよ。――幸い、倉庫代わりにできる部屋は幾つかあるからね。――あぁ、ところで、――その“本番”作業は、俺が協力しても大丈夫なモノかな?」
そんな雷の問いに、小ぶりな耳を弾くようにはたりとした法雨は、しばし悪戯めいた表情を浮かべると、傍らの雷を見上げて言った。
「ア~ラ。やぁねぇ。――それって、一体どういう意味かしら? ――アタシが、“雷さんに見られたらいけないモノ”でも、持ってると思って?」
雷は、その法雨に楽しげに笑うと、そのレモン色の髪を撫でては弁明する。
「ははは。――大丈夫。そういう意味じゃないよ。――ただ、一緒に住むとはいえ、最低限のプライバシーは守りたいと思ってね。――あぁ、あと、――“俺に見られるとマズいモノを使うコト”が、君の大切な“趣味”のひとつなら、それはそれで、大いに構わないから、その点も心配しなくていいよ」
「まぁ、そんなコト言っちゃっていいのかしら~? ――知らないわよ~? ――アタシが、実はとんでもなく“激しい趣味”を持ってて、それに雷さんが付き合わせられる事になっても」
「ははは。ううん。そうだな。内容にもよるけど、――対応出来そうなら、努力はするよ。――君のためだからね」
そうして冗談を言い合う中、その雷の言葉に、法雨は心配する様にして言う。
「もう……。ダメよ、雷さん。それは流石に、アタシを甘やかし過ぎだわ。――そうやって、どこまでも甘過ぎ優し過ぎなトコロは、アタシに毒ね。――これ以上、ワガママにさせないでちょうだい」
対する雷はそれに苦笑すると、法雨の頬を撫でては言う。
「ううん。残念だけど……。俺にとっては、“それ”を出来るようにする事の方が、法雨さんが秘めてきた“激しい趣味”に順応するよりも何倍も難しい事でね……」
そんな雷に、法雨は案じる様な溜め息をつく。
「はぁ……。――もう一年も経つっていうのに、アタシに微塵も飽きないどころか、どんどん甘やかしが悪化するなんて……、――雷さんも重症ねぇ……」
「ははは。――飽きるなんてとんでもないが、――そうだね、この“病”ばっかりは、来世にも持ち越しそうだよ」
そんな法雨に雷が言うと、それにわざとらしく驚いた素振りをしながら法雨は紡ぐ。




