Drop.026『 The LOVERS:U〈Ⅰ〉』【2】
「あ、あの、改めてですけど、こんなスゴいお礼を頂いてしまって、本当にありがとうございます。――大切に使います。――……で、――後はもう、お手伝いする事はなさそうですか?」
その桔流の問いに、今一度笑んだ雷は、
「あぁ。そうだね。――大丈夫、――かな?」
と、言いながら法雨を見た。
すると、法雨もまた、笑んでは頷く。
「えぇ。もう大丈夫よ」
それを受けた雷は、応じる様にして法雨に頷くと、今一度桔流たちの方へと向き直り、
「――だ、そうだ。――改めて、みんな、今日は本当にありがとう」
と、彼らへの礼を贈った。
そんな雷たちへ、桔流と京は順に言う。
「いえ。――お役に立てて良かったです」
「――っす! ――おし。それじゃあ、俺らはこれで! ――こんなすげぇお礼まで貰っちゃいましたし、二人へ返す恩がまたたっぷり増えちまったんで、何かあったらまた呼んでくださいね! すぐに駆けつけますんで!」
そして、“黒塗り”がずらりと並ぶが如く大所帯でやってきた若衆たちは、法雨と雷に挨拶を告げながら、それぞれが並べた白塗りのバンへと乗り込んでゆく。
「今日は本当にありがとう! 気を付けて帰ってちょうだいね!」
そんな彼らへ手を振りながら、法雨が今一度声をかけると、それぞれが手を振り返しながら、彼らも挨拶を贈り返した。
そんな――純真な若衆たちを乗せたバンを見送った後――、法雨は、雷に肩を抱かれながら、彼の家へと足を踏み入れた。
そうして、雷が一人で住んでいた彼の家は、その日より――、雷と法雨が、共に帰る家となったのである――。
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法雨が、雷との幾つもの“初めて”を重ねて迎えた“始まりの朝”から、かれこれ一年ほどの交際を経た後――、彼らは、雷の家で同棲をする運びとなった。
その当初、同棲に伴い、まったくの新居へ引っ越すという案もあったのだが――、雷の住まいが、雷の探偵事務所や、法雨のバーからも、通うには丁度よい距離に位置していた事から、結果的には、雷の住まう一軒家へ、法雨が引っ越す――という結論に落ち着いたのである。
「さっき、京君たちも言っていたけれど、――本当に、想像していたより大分少ないね。――もしかして、引っ越しで無理に捨てさせてしまったりしたかな……」
先ほど、若衆たちが運び込んだ法雨の荷物をしばし見渡し、雷が問うと、その雷に寄り添う様にした法雨も、ずらと並んだ箱たちを見やりながら言った。
「ふふ。みんな、アタシがセレブのクローゼット級に大量の荷物を持ってこないと心配みたいね。――でも、大丈夫よ。前から言っての通り、アタシ、物は溜め込まない主義だから、アクセサリーやお洋服も、ちょくちょく売りに出したり、あげたりして、基本的にはこのくらいしか持ってなかったの。――だから、無理に捨てたりもしてないわ。安心して」
「そうか。――それなら良かった」
雷は、そんな法雨に笑んで言うと、その艶やかな髪を優しく撫でる。




