Drop.024『 The STAR:U〈Ⅲ〉』【2】
その中、沈黙にも耐えられなくなった法雨は、雷が紡いだ問いを反芻する。
――“雷に恋をされた相手は、その事を嬉しく思う”。
――法雨が、そう言ったのは、“雷が恋をした相手が、自分ではないと思っているから”か。
そして、そう問うた雷へ――、法雨はようやっとの二音を紡ぐ。
「……いえ……」
「………………」
その法雨の二音に対し、雷はしばしの沈黙で応じると、さらに問う。
「という事は……、つまり……、――法雨さんも、“それを嬉しく思う”――と、解釈してもよろしいですか」
その問いは、法雨の鼓動を一際大きく打ち鳴らさせた。
(――いつから……だったの……。――いつから……、アタシは……)
いつからか、法雨は、雷の事となると、雷の事ばかりを考えて、自分の事などすっかりと考えられなくなる日々を送っていた――。
(だって……、雷さんの事を考えるので忙しかったんだもの……。――雷さんの悩みを、なんとしてでも解決したかったの……。――だから……、そんな中で……、――自分の事を考える暇なんてなかったんだから……、――“自分の気持ち”になんて、尚の事、気付けるはずないじゃない……。――なのに………………、――こんな急に“自覚させる”なんて、意地が悪過ぎるわよ……)
法雨は、頭が熱くなるのを感じながら、心の内で弱音を連ねるが――、目の前の現実は、容赦なく時を刻み続ける。
その現実を前にした今、“自覚”を経た法雨が選ぶべき選択肢は、ただひとつしかなかった。
(――でも、もう……、――もう、絶対に、この人への後悔だけは、したくない……)
――“雷に恋をされたら”、――“法雨も”、――“嬉しく思う”のか。
久方ぶりの激しい焦燥に、腑抜けそうになる己の心を鼓舞すると、その問いに、法雨は、返答を紡ぐ。
「はい……」
その返答に、雷はゆっくりと視線を反らすと、また思案の沈黙を置いたが、意を決したようにして再び法雨の視線を捕え直すと、言った。
「では、法雨さん。――今から俺がお伝えする事に、どうか、正直なお気持ちをお聞かせ頂きたいのですが……、――よろしいでしょうか」
「……は……、はい……」
その言葉に、法雨が頷くと、雷は、その低く落ち着いた声で、ゆっくりと紡いだ。
「法雨さん。――俺が恋をしたのは……、貴方です。――俺は……、貴方の事が好きです。――……法雨さん。――法雨さんは、この事を知っても、まだ、“嬉しく思う”と、――そう、仰ってくださいますか……」
法雨は、小さく深呼吸をすると、その雷の問いに、ゆっくりと答えを紡ぐ。
「――………………はい。――……もちろんです。――……アタシも、――嬉しいです……」
“好き”という言葉は――。
“恋をしてしまった”と告げられる事は――。
こんなにも胸を締め付け、こんなにも心を満たしてくれるものであっただろうか――。
(――もう、心臓が壊れそう……)
そんな――“初めて”とも思えるほどに激しい感覚に呑まれそうになっている法雨に、雷は、安堵したようにして言った。




