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運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全31話  作者: 偲 醇壱
◆ The STAR:U ◆

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Drop.024『 The STAR:U〈Ⅲ〉』【1】

 

 

 

「――法雨(みのり)さん」

 ふと、(あずま)に呼ばれた法雨は、小首を傾げながら、変わらぬ笑顔で応じた。

 

 

― Drop.024『 The STAR:U〈Ⅲ〉』―

 

 

「はい」

 そんな法雨に、雷は、しばし考える様にしながら、慎重に続ける。

「その……、俺も、ひとつ、――法雨さんにお伺いしたい事があるのですが」

「アラ。――なんでしょうか?」

 雷は、穏やかに応じた法雨の――その透き通った金色(こんじき)の瞳を見据えると、言った。

「……先ほど、――事務所で、お伺いし損ねてしまった事なのですが……」

「――まぁ。――“事務所で”……?」

「はい……」

 雷の言葉を不思議そうに()る法雨に、ゆっくりと頷き、雷は続ける。

「事務所で、お話しさせて頂いていた時、――法雨さんは、俺に恋をされた人は嬉しく思うはず、と――、仰ってくださいましたよね」

 その雷が続けた言葉に、法雨は、ほろりとした酔いがはたと醒めるのを感じながら、ひとつ間を置いて応じる。

「――……はい」

 事務所では、難なく頷けていた問いに、今の法雨は、ぎこちなく応じる。

 再三の無礼を働き、強引に雷を引き留める様な真似をしてまでも、法雨が聞きたかった“続き”を、ようやっと聞ける時がきたと云うのに――。

 そんな法雨の胸元で打ち鳴らされる鼓動は、そのひとつひとつが酷く重く、その心も、すっかりと緊張感に満たされていた。

 ひとつ返事をするにも、息が詰まりそうになっている法雨に、雷は、ゆっくりと、問いを重ねる。

「では……、その、“恋をされた相手は嬉しく思う”――と、法雨さんが仰ってくださったのは……、――………………、――……恋を、されているのが、――“自分ではない”、と……、――お思いだから、でしょうか……」

 その“続き”にどのような言葉が続くのか、そんな事は分かりきっていたはずだった。

 だが、その先の言葉を聞いて、自分はどうするつもりだったのかは、正直、分からない――。

 だが、それでも、何故だか、その先を聞かなければならない気がした――。

 だから、それを聞くためだけに、あんなにも強引に雷を招き入れ、こんなにも雷に世話をかけたのだ――。

 そうであると云うのに――。

「………………」

「………………」

 いざ、目当ての“続き”をすべて聞き遂げられたと云うのに、法雨は、その誠実さで澄んだ海色の双眸に射られたまま、言葉を紡ぐどころか、彼と交わり続けている視線すら、動かせなくなっていた。

 数時間ほど前、駐車場で動揺を隠しきれず、幾度となく白旗を振った、あの大柄な愛らしいオオカミはどこに行ってしまったのか――。

 いつだって穏やかに笑いかけてくれた、あの優しげな声の漆黒のオオカミは、一体何処へ行ってしまったのか――。

 法雨が知っている“彼”の面影などどこにも視えない――眼前の彼の海色の双眸は、今、法雨をその場に捕えるためだけにある。

 その海色に射られ続け、法雨は、小さく眩暈を覚える。

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