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運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全31話  作者: 偲 醇壱
◆ The EMPRESS:R ◆

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Drop.019『 The EMPRESS:R〈Ⅰ〉』【1】

 

 

 

 法雨(みのり)(みさと)が、かの探偵殿の初恋を案じて過ごした秋も、いよいよと次季に移り変わろうとしていた十一月の事。

 その日の日中――、ちょうど、ティータイムを過ごすのに最適な時刻に、都内は、突然の豪雨に見舞われていた。

「――はぁ……。最悪だわ……」

(こんな豪雨になる予報なんて、今朝はされてなかったのに……。――お天道さまは本当に気まぐれねぇ……。――丸一日のお休みなんて久々だったから、気合い入れてお買い物しちゃった後なのよ? もう……)

 その日の法雨は、午前から意気揚々と出かけては、化粧品を見て回り、洋服を見て回り、その充実感に浸りながら、お気に入りの喫茶店でランチにスイーツに紅茶まで楽しみ抜いていた――のだが、続いて食料品の買い出しに出陣すべく、気合いたっぷりで喫茶店を出たところで、天の気まぐれに見舞われた。

 さらに、そんな法雨に、水どころか(とど)めを刺すかのように、その気まぐれ豪雨は、法雨のなけなしの折り畳みの傘をも破壊した。

(この傘も、お気に入りだったのに……。――これじゃあ修理も難しそうだし……、――残念だけど、お別れするしかないわね……。――もう……、非道(ひど)いんだから……)

 法雨は、窮地で見つけた“準備中”のバルの軒先で雨宿りをする中、その――すっかりと元気をなくしてしまった傘を見やりながら思うと、次いで、ざんざんと豪粒を非情に降り注がせている天に向け、不満げに口を尖らせる。

 すると、そんな法雨に、ふと声がかけられた。

「法雨さん……?」

 その声の方をはたと見やると――、そこには、法雨が随分と久しく感じる男が立っていた。

 

 

― Drop.019『 The EMPRESS:R〈Ⅰ〉』―

 

 

 まさか、このような豪雨の中で“ウワサの探偵殿”との再会を果たすとは夢にも思わず、法雨は、驚きながら紡ぐ。

「あ、(あずま)さん!? ――ど、どうしてここに……」

 すると、豪雨にも関わらずコンビニにでも行っていたのか――、小ぶりなビニール袋と立派で頑丈そうな傘を手にした雷は、心配するような声色で言った。

「すっかり雨にやられてしまってますね……。法雨さんこそ、どうしてこんな所で……、――あぁ、――傘を駄目にされてしまいましたか……」

 そして、法雨の傘のあられもない様子から、その様々な事情を察したのか、雷はそう言うと、手早く続けた。

「実は、この上が、丁度うちの事務所なんです。――法雨さんさえよければ、雨が止むまで事務所にいらしては」

 その雷が指し示したのは、法雨が雨宿りをしていたバルが入った、背後のビル右手の階段口だったのだが――、そこには、ビルに入っている店名などが示された鉄製プレートが並んでいた。

 そして、それらを確認すれば、一階にはバルの店名が記されており、その上の二階には、法雨にとっても随分と馴染みのある――“雷探偵事務所”の名が、確かに記されていた。

「まぁ、本当! ――まさか、こちらの上が事務所だったなんて。――全然気付きませんでしたわ」

 その表記を見るなり、法雨が苦笑すると、雷は穏やかに笑み、言った。

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