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運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全31話  作者: 偲 醇壱
◆ JUSTICE:U ◆

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Drop.018『 JUSTICE:U〈Ⅲ〉』【4】

「あぁ、そういえばそうだったわねぇ。――その時、桔流君があまりにも乱暴に放るから、そのまま倒れちゃうかと思ったら、――案外平気そうにしてたわね。――でも、それがどうして悪かったの?」

「“それが”、癪に障ったんです。――派手に転がってくれてれば、まぁ気が済んだんですけど。生意気にも踏みとどまったんで、――やっぱ殴っとこうと思って」

「えっ……」

 京は、そのさらなる真相に動揺し、再度鳴いた。

 すると、桔流は悪びれもせず、変わらず胸を張ったまま言った。

「んだよ」

「い、いえ……。――なんでも……」

 京は、桔流が自身を殴ったのは、法雨への非道な行いに対する戒めが、その理由のすべてだと思っていたがゆえ、桔流の述べた真相にはいささか動揺せざるを得なかった。

 ――とはいえ、桔流がそう言っているだけで、実際は戒めのためであったのかもしれず――、京を動揺させた言い分は、桔流なりに、その場を和ませるために添えられたものかもしれないと、二人のやりとりを見守っていた法雨は解釈した。

 そして、その時の法雨は、その騒動を経た後の京と桔流の関係について、少しばかり案じていたのだが――、騒動が済んでからの桔流は、京とこれまで通りに接し始めた事もあり、その先も、二人の関係が変わる事はなかった。

 

 ✦

 

 そんなひと騒動も、今となっては懐かしい話となっているが――、法雨は、その騒動で戒められた京が、カウンターで穏やかに眠っている姿を見やると、桔流との関係が崩れなかった事に、改めて安堵の笑みを零した。

 その法雨に、桔流は溜め息交じりに言う。

「――それに、コイツ相手だったら、法雨さんは“食べる派”でしょ? ――それなのに、よく“頂かれて”やってましたね」

 それに、法雨は悪戯っぽく応じる。

「アラ。――流石、桔流君。――よく分かってるじゃないの。――これまでたっぷり食べられてただけあるわね」

 そんな法雨に、桔流は不服そうに言う。

「お、俺の話はいいんですよ。――それに、それは、“始まり”の状況が状況だったから、それがズルズルいっただけの話で……、――俺だって、法雨さんの事、頂ける側なんですからね」

「ふふ。――はいはい」

 桔流と法雨は、恋愛に発展する事はなかったが、とある理由から、過去しばらくの間、頻繁に体を重ねた時期があった。

 その時期こそが、桔流が法雨を“恩人”として慕っている理由となっているのだが、その間の事を知っているのは、法雨と桔流だけである。

 そして、その様な事もあり、桔流は法雨に“頂かれていた”経験が豊富にあるというわけなのだが――。

 法雨は、そんな桔流との“かつて”の日々もしばし振り返り、立派になったものだと親心に浸る中、立派になった桔流が京を起こしている様子を見やりながら、“あの日”の事を思い出した。

(今でも、“あのオオカミ”の事は嫌いだし、アイツのせいで、見ず知らずのオオカミには、警戒するクセがついてしまってるのも事実……。――だけど、京たちや雷さんには、警戒する方が難しいくらい、良くしてもらったし、今も、本当に良くしてもらってる……)

 ――だからこそ、と、法雨は思う。

(だからこそ、――アタシじゃ、どうにも出来ない恋かもしれないけど……、――少しでも役に立てるなら、――恩返しも兼ねて、雷さんが幸せになるためのお手伝いをさせて頂きたい。――だから、――どうしたらお役に立てるか、――改めて考えてみなくちゃね……)

 そうして、法雨は、再び雷の事を想うと――、カウンターから身を起こし、眠気眼を擦る京に、朝の挨拶を贈った。

 

 

 

 

 

Next → Drop.019『 The EMPRESS:R〈Ⅰ〉』

 

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