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運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全31話  作者: 偲 醇壱
◆ JUSTICE:U ◆

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Drop.017『 JUSTICE:U〈Ⅱ〉』【1】

 

 

 

 (みさと)の追加報告によると、日頃から(あずま)は、“法雨(みのり)のアレソレの好み”を、己の助手に問うているらしい。

「――あ、因みに。――今日のこの和菓子も、こないだ俺が、“コレ、姐さんが好きなヤツなんですよ~”って言ったから買ったんだと思いますよ」

 法雨は、そのさらなる経緯報告を受け、困惑を深めながら問う。

「え? ――このお菓子って、――雷さんがどこかに行かれた時のお土産とかじゃないの?」

「へ? 違いますよ? ――コレは、――“しばらく店に行けてないから、せめて”って事で、預かってきたヤツですから」

「――………………」

 

 

― Drop.017『 JUSTICE:U〈Ⅱ〉』―

 

 

(一体、どういう事なの……?)

 京が雷について紡げば紡ぐほど、法雨の心内では疑問の糸が絡まり合ってゆく。

 どうやら雷は、ぱったりと店に顔を出さなくなった割に、京には随分と法雨の話をしている上、まさに執心と云えるほど、法雨の事を知ろうとしている様である。

(アタシはてっきり、雷さんに避けられているものだと思ってたけど……。――アタシの好みを知ろうとしてくださってるという事は、アタシを煙たく思ってらっしゃるわけではないという事よね……。――でも、なら……、――どうしてうちのお店を避けていらっしゃるのかしら……)

 法雨は、黙したまま首を傾げる。

 ――“特定の誰かの好みを知ろうとする”。

 それは、特に――“その特定の誰かを好きになってしまった時”には、必ずと云ってよいほど、恋する者のほとんどがとる行動であろう。

(でも……、もし、とんでもなく自意識過剰に考えて、初恋の相手がアタシだったとしても……、――やっぱり、おかしいのよね……。――だって、アタシは有名人でもないし、既に婚約者や恋人が居るわけでもないし、年齢だって、雷さんとは大して離れてもいないし……、――だから、アタシは、“恋をしてはいけない相手”にはならないわ……)

 さらに、法雨は、京の様な仕事仲間でもなければ、――一度は雷に救われた身ではあるが、一度だって“依頼人”になった事はない。

(それに、アタシは“あんな事”があっても、体の関わりに関しては一切のトラウマを抱えたりもしていないし、その事は、以前、雷さんにもちゃんとお伝えしてあるもの……。――だから、雷さんが、アタシに恋をしてはいけない理由なんて、見当もつかな……)

「――………………」

 法雨は、そうして延々と思考を巡らせる中、雷との事を様々と思い出しながら、これまでの日々の記憶をひたすらに手繰っていった。

 そして――、ついに、雷が紡いだ、とある言葉に辿り着くと、――法雨は、思わず、心内でも黙した。

 ――貴方は、“オオカミ”が、お嫌いなんですか……。

(――………………………………。――アタシは……)

「姐さん? ――さっきから黙ったままっすけど、――どうかしたんですか?」

 その京の声で我に返ると、法雨は咄嗟に笑む。

「え? ――あ、あぁ。――ちょっと、雷さんの初恋相手の謎について、改めて情報を整理してただけよ」

「あぁ、なるほど。――いや~、それにしても、――マジで誰なんすかねぇ……。――雷さんが、“恋をしちゃいけなかった”――初恋相手」

 ――えぇ……嫌いよ。

 朝陽のみがその場を照らしていた、薄暗い倉庫の中――、法雨は確かに、雷にそう言った。

 そんな法雨が、もしも、その――“大嫌いなオオカミ”に、恋をされたとすれば――。

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