【New】Drop.015『 The HANGED MAN:U〈Ⅲ〉』【1】
「――う~ん。――でも、――もし本当に、“恋をしてはいけない相手に恋をしてしまった”のだとしたら、――雷さんも大変ね……」
「“大変”? ――なんで、“大変”なんすか?」
京が不思議そうにすると、法雨は、案じる様な表情のまま答えた。
― Drop.015『 The HANGED MAN:U〈Ⅲ〉』―
「だって……、――恋って、一度してしまったら、それが初恋じゃなかったとしても、諦めるのも、忘れるのも大変じゃない? ――それなのに、それが、これまで経験した事がないほどの初恋なんだとしたら、――想像しただけで苦しくなるじゃない」
「な、なるほど。――それは、確かに……」
法雨の言葉に、京は思わず、神妙な面もちになる。
そんな京は、ふと、零す。
「――でも、あの雷さんが、あんな風になるまで生気抜かれるって事は、――雷さんが惚れちまった人って、めちゃくちゃ魅力的で魔性の人なんでしょうね……」
法雨はそれに、同じく考える様にしながらも悪戯っぽく言った。
「そうねぇ……。――まぁ、少なくとも、――アンタなんかはコロっと落とされる割に、その相手からはまったく見向きもしてもらえないくらいの人かもしれないわねぇ……」
「うぐ……。――なんか……、――言い返したいっすけど、多分その通りなんで、言い返せない自分が悔しいっす……」
法雨は、そんな京に笑いつつ、また考える。
(う~ん……。――どこの誰に恋をしてしまったのかは見当もつかないけれど……、――あの勇敢な狩人様は、自分の雇い主のお嬢様にでも惚れちゃったのかしらねぇ……)
あるいは――、その雇い主の婚約者の可能性もあるやもしれない――。
(――だとしたら……、あの誠実な雷さんには、尚のこと酷な恋ね……)
もし、そのような相手であれば、あの誠実な男が行動に出られるはずもなく――、ゆえに、それはまさに、――禁断の――叶わぬ恋だ。
(そして、――そんな恋であるなら……、――“恋をしていると分かって困る”のも、頷けるわね……)
「あぁ、ところで。――京は、その相手が“誰なのか”って事は、雷さんに尋かなかったの?」
様々と思考を巡らせた法雨が、ふと思い立ち問うと、京は答える。
「それが……、――一応、流れで尋きはしたんすけど……。――“言えない”って言われたんす……」
「アラ……。――と云う事は、すごく有名な方なのか……、それとも、その方と無関係の京にすらも、言えないほどの方なのかもしれないわね……」
「かも、しれないっすね……」
「ううん……。――もしかすると、想像以上に深刻な話になってるのかもしれないわね……。――それか……、――……いえ、――流石にこれはないわね」
引き続き憶測を巡らせる中、ふと法雨が自問自答すると、京は身を乗り出す。
「え!? な、なんすか!? なんか思いつく相手とか居たんすか!? 俺にも教えてください!! ――超気になるっす!!」
法雨は、何故かそんな京を遠目に見る様にしてから答えた。




