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運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ The HANGED MAN:U ◆

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Drop.013『 The HANGED MAN:U〈Ⅰ〉』【3】

「――なんか~……、――書類の処理してんのかな~と思ったら、ぼけ~っとしてるだけだったり~……、――コーヒー淹れ終わってんのに、そのまま突っ立ってたり~……、――ってな感じっすかねぇ……」

 法雨は、それにしばし考える様にしながらも、まずは率直な意見を返した。

「そう……。――まぁ……、――それは確かに、あの雷さんらしくはない感じはするけれど……、――でも、雷さんだって“ヒト”なんだから、――そんな時も、あるんじゃないの? ――後は、単純に疲れてるとか……」

「う~ん……、――そうなんすかねぇ……。――でも、ここしばらくは、忙しい感じも一切なかったんすよ……? ――むしろ、暇なくらいって感じでしたし……」

 そんな京に、法雨はまたひとつ添える。

「あぁ。――じゃあ、その暇にボケちゃってるんじゃない? ――ほら、常に忙しくないとダメな人も、意外と居るでしょ?」

「あぁ~、まぁ~……。――じゃあ、雷さんもそうなんすかねぇ……。――でもなぁ~……。――俺、――あんな雷さん見るの、初めてなんすよ……」

「あのねぇ……」

 法雨はそこで、京の言葉にひとつ溜め息をつく。

「――“初めて”ってアンタ、――雷さんとは、まだ数か月くらいしか一緒に居ないでしょ? ――その程度の付き合いじゃ、例え毎日顔合わせてても、知らない事の方が多いわよ」

「まぁ、それもそうなんすけどねぇ……。――でも~、――やっぱ、あまりにも変な感じで……」

 法雨の意見を聞いてもなお、納得のゆく答えに辿り着けなかったらしい京は、カクテルグラスを撫でながら、ひとつ鳴いては考え込む。

 そんな様子に見兼ねた法雨は、悩める助手に、またひとつ選択肢を与える事にした。

「もう。――そんなに悩むくらいなら、本人に直接尋いてみたらいいじゃない。――いずれにしても、雷さんって、自分から疲れてるって言わないどころか、自分が疲れてるとか、具合が悪いとかすらも、気付かないタイプな気がするわ。――だから、アナタから、身体の調子についてでもなんでも、とにかく思った事を尋いてみなさいな」

 すると、そんな法雨の言葉で踏ん切りがついたらしい京は、気持ちを切り替えるようにして短く息を吐くと、言った。

「はぁ。――やっぱ、そうっすよね。――っし、――俺、明日にでも尋いてみます!」

 法雨は、それに頷きながら微笑む。

「えぇ、――そうしてみなさい」

 そうして――、法雨に背を押された事で決心がつけられたらしい京は、法雨から次のカクテルを受け取ると、笑顔で礼を言った。

「ありがとうございますっ」

「いいえ」

 そして、受け取ったカクテルに京が口をつけたその時――、休憩からカウンター内に戻ってきた桔流(きりゅう)が、京の前を通過した。

 すると、京は、グラスに口を付けたまま――ンンと鳴くなり、口に含んだカクテルを一気に飲み干すと、意気揚々と桔流を呼ぶ。

「――あっ、――桔流、桔流!」

「あ~?」

 それに対し桔流は、あくまでも客である京に対し、接客と云うには程遠い応答をした。

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