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運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ The EMPEROR:U ◆

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Drop.012『 The EMPEROR:U〈Ⅲ〉』【2】

 そして、法雨はそこで、王にそのような事を問うた理由として、桔流とした先ほどのやりとりを簡単に説明した。

 すると、その一通りの話をお聞きになられた崇高なる王は、納得されたように笑むと、乙女に仰られた――。

「あぁ。なるほど。――そういう事でしたか。ははは。――そうか、そうか。――俺と同じ時期に、“アイツ”にも講演の仕事があったんですね」

「え? ――“アイツ”……?」

 法雨は、君主の言葉を思わず復唱する。

 すると、王は、変わらぬ笑顔で続けられた。

「はい。――兄弟の中でも特に似た顔同士なので、昔からよく間違われてきたんですが……。――その、俺にそっくりな警視正とやらは、俺の、弟です」

「お、弟……?」

「えぇ。そう。――俺と顔のよく似た、弟、です」

「おとう、と………………」

 なんと、桔流がお見かけしたと云う、その王子様――否、王様には、大変そっくりな兄上がおられたらしい。

(――と云う事は、つまり、――雷さんは王様と兄弟ではあるけど、この人自身は王子様でも王様でもなかった、ってわけね……。――よ、良かったわ……)

「そう、だったんですね……」

「えぇ」

 その言葉に、法雨が心の内で安堵の溜め息をついていると、雷は笑顔で続けた。

「――俺が警察機関に居たのは、数年前までですから」

「あぁ、そ……、――えぇ!?」

 一度整ったはずの情報に、一部訂正がかけられると、法雨は思わず声をあげた。

 ――で、あれば、この雷はやはり、ただ王様の兄弟であるというだけではない――、この男も、確かに王であった過去をもつ、王族であったのだ。

(――そ、それってつまり、――この人の家が、お偉いサマの家系って事なんじゃ……)

「まぁ、でも、安心してください。――アイツは確かに警視正ですが、俺は、ただの探偵ですので。――階級的な事を心配されているかもしれませんが、うちが家系的に警察関係の家柄という事でもないですから、変に心配されなくても大丈夫ですよ。――俺も、また数日内に別の講演はありますが、――嘘偽りなく、“俺は”、ただの探偵です」

「な、なるほど……。――そう、なんですね……」

 その中、先の法雨の問いと緊張は、自身の無礼も相まっての事――と察してか、雷は、安心させるように笑むと、

「そんなに深刻にならなくても大丈夫ですから、どうぞご安心を」

 と、穏やかに言った。

 ✦

 法雨は、それからまたしばしの間、雷に緊張を解してもらいながら平常心を取り戻すと――、すっかりと長話に付き合わせてしまった事を丁寧に詫び、改めての礼を告げ、そのまま店のバックヤードへと戻った。

 すると、その入り口付近には、何やらそわついた様子の桔流が居た。

 そうして、まるで飼い主の帰りを待っていた忠犬の様な長身のユキヒョウは、法雨に期待の眼差しを向け、“結果報告”を求めた。

 そんな、大きな忠“豹”に、法雨は、脱力しながらご褒美をやる。

「残念だったわね。桔流君。――あの人は、正真正銘の“私立探偵サン”。――王子様でも王様でもないわ」

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