Drop.012『 The EMPEROR:U〈Ⅲ〉』【1】
尋ねたい事がある旨を法雨が紡ぐと、雷は不思議そうにしながらも、笑顔で応じた。
「“お伺い”ですか。――なんでしょう?」
その雷の承諾を受け、法雨は、ひとつ間おくと、意を決したようにして言った。
― Drop.012『 The EMPEROR:U〈Ⅲ〉』―
「――その……、――雷さんがお店にいらっしゃらなかったのは、――アタシの事を案じてという事だけでなく、――“お仕事がお忙しかったから”、――いらっしゃ“れ”なかった、という事もあったりされますか……?」
城下町へ忍ぶための――偽りの姿。
庶民に扮した憲兵の王子様――否、――警視正ならば、王様やもしれぬ――。
法雨は、その大いなる真相が明るみになる瞬間を目前に、思わず息を呑む。
「“仕事”――ですか……?」
「え、えぇ……」
その中、当の王子――、あるいは、国王――雷は、相変わらず不思議そうな表情をしているが、――対する法雨は、早鐘の鼓動と共にさらに緊張を高め、雷の方へぴっしりと耳の内を向ける。
その中、国王は、紡ぎ出す。
「――仕事は……、そうですね……。――特に大きな依頼もなかったので、事務的な仕事は多かったものの、忙しいと云うほどではなかったで……――あぁ、でも……、そうか。――講壇に上がる仕事はあったので、その期間は、移動だけ忙しかったですね」
(――講……壇……)
法雨は、君主の言葉を、心の内で重々しく復唱した後、事務室で聞いた桔流の言葉を思い出す。
――オオカミ族の警視正も講壇に立ってたんですよ。
(――これは、もう、――間違いないわ……)
やはり――、やはり、この男――円月雷は、王子どころではなく、王――であったのだ。
その驚愕の真相に、法雨は己の鼓動がさらに騒がしくなるのを感じながらも、改めて問うた。
「あ、あの……、――雷さんの姓は、“円月”――で、間違いないですよね」
「え? ――あぁ、えぇ。――円盤の“円”に、満月の“月”と書いて、“エンゲツ”です」
「で、では……、あの時……、――アタシを助けに来てくださった時……、――“わざわざ警察になんて通報しなくても”、“雷さんなら”――彼らを、“現行犯逮捕”出来たんじゃないですか……?」
「え……?」
「た、単刀直入にお伺いしてしまいますけれど、――雷さん。――雷さんのお仕事って……、本当に、探偵なんですか?」
もしかしなくとも、自分はまた、この男に無礼を働いているのかもしれない――。
だが、もしもこの男が、本当に警視正などという階級に坐する王であるならば、――この庶民の身を救ってもらっておきながら、あれだけの無礼を働いた上で、ただ一言の礼、ただ一言の詫びだけで済ますというわけにはいかない――。
そんな思いから、重大な無礼を承知で問うた法雨に対し、王は、逆に問うた。
「――どうして……、そう思われるんです?」
法雨は、その偉大なる君主からの問いに、大変な緊張感の中、応じた。
「そ、その……、――実は……」




