Drop.006『 The HIEROPHANT:U〈Ⅲ〉』【4】
「――理解できないし……、とっても不可解な感性だと思うわ……」
そして、なんとか言葉でも異議を唱えたかった法雨は、顔を背けたまま、それだけを不満げに言った。
そんな法雨の様子に、眉根を寄せ小さく笑うと、京は言った。
「――あの……、店長サン」
「――……何?」
その場に、心なしか穏やかな雰囲気が流れ始めた中、相変わらず顔を背けたままツンツンと拗ねた対応する法雨に、京が遠慮がちに続ける。
「――その……、俺らは……、――店長サンのバーに……、また、行っても……いいですか……」
「………………」
それに、微かに目を見開いた法雨は、しばし沈黙を挟んでから、ゆっくりと若いオオカミたちに顔を向けると、全員の心の内を伺うように目を細め、一人一人にじっくりと視線を巡らせていった。
「――も、もちろん、あんな事は二度と」
「――えぇ。いいわよ」
そんな法雨の視線に耐えきれず、京が弁明を紡ごうとすると、法雨はそれを遮り、満足げな表情を浮かべて続けた。
「――“店に来ていいか”、ですって? ――そんなの、尋くまでもないハナシね。――だって、アタシのお店は、お代を頂いてお客様をおもてなしするためにある場所なのよ? ――お客様じゃない犯罪者もどきはお断りだけど、――お客様として、って事なら、――“いい”に決まってるでしょ」
その法雨の言葉に、若いオオカミたちは顔を見合わせると、徐々に表情を緩ませてゆく。
そしてその中――、法雨に対し、京が改めて礼を告げると、それに続き、仲間たちも礼を告げ――、その後――、またひとつ、揃って頭を下げたのであった。
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