表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』全31話  作者: 偲 醇壱
◆ The WORLD:U ◆

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/108

【New】LastDrop ✦ Drop.031『 The WORLD:U 』【3】

「花厳さん……。さっきまで姫たちの所に居たじゃないですか……。どうしてそうタイミングが悪いんですか……」

 その桔流に、花厳は苦笑して言う。

「いやぁ……、ちょうど来た所だったもので……」

「本当に、いつもながら素晴らしいタイミングだね。花厳君」

 そうして、じとじととした桔流にぎゅうと正装の裾を握られる花厳に、雷が朗らかに称賛を贈ると、彼はまたぎこちなく笑った。

 すると、その空気に耐え切れなくなったらしい桔流は、花厳の手をわしりと掴んでは言う。

「だぁ~もう! ここに居るのなし! ――ほら、花厳さん! ここに長居すると二人の邪魔になりますから! 俺たち“木役”はあっちに行きますよ!」

「ははは。分かった、分かった」

 それに、美形“木役”の花厳が楽しげに笑うと、その愛豹の手をぐいぐいと引きながら、色白美人“木役”の桔流はずんずんと退場していった。

 そんな二人の背を見届けながら、法雨と雷がくつくつと笑っていると、不意に、その背後からのんびりとした声が聞こえた。

「う~ん。ドレスって云えば~、やっぱり“後ろ”のセクシーさも見逃せないよねぇ~」

 その声に法雨が振り返ると、そこには、彼の唯一無二の親友――夢廼(ゆめの)菖蒲(あやめ)が居た。

「まったく。アンタはそういうコトばっかね。――相変わらず」

 その法雨に、菖蒲はによによとして言う。

「“イイ本音”は、どんどん口に出していかないと損だからねぇ~」

 そんな菖蒲に、口元を綻ばせながら溜め息をついた法雨は、次いで、菖蒲のもとへと歩み寄ると――、その頬に両手を添えて言った。

「ほら、菖蒲。――アタシ、ちゃんと幸せになったわよ。――だから……、――次は、アナタの番」

 菖蒲は、その言葉に幾度か耳をはたりとさせては、大ぶりな尾をふわりと揺らすと、苦笑しながら言った。

「もう。法雨……。――今くらいは自分の幸せだけを見ててよ……」

 法雨は、そんな菖蒲の頬をぎゅうと両手で押すと、窘めるようにして言う。

「ダメよ。――もう逃がさない。――いいコト? 菖蒲。――アタシはね、アンタ“も”幸せにならないと、ちゃんと幸せになりきれないの。――だから、――ここからはちゃんと、“アナタの幸せのために”生きて」

 その法雨の想いに、菖蒲は愛おしげに苦笑しては、観念した様子で言う。

「はぁ……。しょうがないなぁ。法雨は。――……分かったよ。――じゃあ、“俺の望み通り”、先に法雨が幸せになってくれたから、――そんな法雨の“最高の幸せを完成させるため”にも、――ここからは自分の幸せのために生きるよ」

 その菖蒲に、法雨は酷く嬉しそうに笑む。

「えぇ。――そうしてちょうだい」

 菖蒲は、そんな法雨と楽しげに笑い合うと、次いで、くるりとその身を翻しては、法雨と雷に背を向けた。

 そして、陽光でふんわりと艶めく琥珀(こはく)色の尾を上機嫌に揺らしては、その両腕を燦々と輝く天に向けぐぐと伸ばして言った。

「さ~て、それじゃあ、俺も、法雨の幸せの総仕上げに向けて、“王子様狩り”、始めますかねぇ~」

 そんな菖蒲に思わず眉を顰めた法雨は、その背に反論を紡ぐ。

「え? ちょっと、アンタ。“俺も”って、何よ。――アタシは“王子様狩り”なんてしてないわよ?」

 すると、背中越しに振り返った菖蒲は、にやにやとして言う。

「え~? そうだったの~? ――戸惑う“王子様”を誘惑してお家に強引に連れ込んで~、“その夜のうちに食べちゃった”のに~?」

 そんな菖蒲に、法雨はさらに反論を紡ぐ。

「な……、――だ、だから、――それは、そういう話じゃないって言ってるで」

「さぁ~て~、俺に“食べさせてくれる”王子様は、ど~こっかな~」

 しかし、そんな法雨の声など聞き入れる気もないらしい菖蒲は、その反論を遮るようにして言うと、のんびりと歩みながら、来賓客たちの輪の中へと戻っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ