Drop.030『 The SUN:U〈Ⅲ〉』【2】
「いいんだよ。君はそのままで。――俺は、そんな君を愛しているし、――そんな君が、俺に我儘を言ってくれる事が、俺の幸せなんだから。――それに、せっかくのクリスマスだったんだ。――いつも以上に我儘を叶えさせてもらわないと、俺も“物足りない”よ。――とは云っても……、――日付としてはもう終わってしまっているけれど」
そして、そう紡ぎ終えた雷が、艶やかなレモン色にもそっと口付けると、その腕の中、法雨は嬉しそうに零した。
「ふふ。――大丈夫よ。雷さん。――アタシのクリスマスはね、眠るまで終わらないの。――まぁ……、だからってあまりに熱く甘やかされると、いつか本当に溶けちゃうかもしれないから、――甘やかし過ぎは厳禁だけど」
そんな法雨の髪を優しく撫でながら、雷は言う。
「おや。――そうなのかい?」
法雨はそれに、上目遣いに小首をかしげては言う。
「えぇ。そうよ」
すると雷は、
「そうか。そうか。――それは良い事を聞いたよ」
と言うなり、法雨を撫でる手を離しては、しばし身を起こした。
そして――、何やら半身を背後のサイドテーブルに向けると、引き出しを開けるなり、何かを取り出しながら言う。
「それじゃあ、君のクリスマスに間に合うよう、――今、渡しておこうかな」
「アラ、なぁに? 何かあるの?」
そんな雷に、心なしかわくわくとした様子の法雨が、その長い尾をシーツの上で泳がせて問うと――、隠すようにして自身の背の後ろに何かを置いた雷は、体勢を戻して言う。
「うん。――はじめは、昨晩渡せたらと思っていたんだけどね。――でも、“これ”は流石に、忙しなくしている時に贈るものでもないなと思ったから、――クリスマスは過ぎるが、遅れてでも、お互いに落ち着ける時に渡そうと思っていたんだ」
そんな――わくわくとした様子の法雨であったが、続いて紡がれた雷の言葉を受けると、しばし動揺して言った。
「えっ。な、何かしら……。――“落ち着ける時に”って……、――そんなにしっかりした贈り物なの? ――クリスマスプレゼントなら、昨日、あんな素敵なネックレスを贈ってくれたでしょう?」
もちろん、法雨は、先ほどの雷の言葉や様子から、何やら嬉しいサプライズがあるらしい事までは察していた――のだが、昨晩に“しっかりとした”贈り物を受け取っていただけに、それは、“可愛らしい”サプライズであろうと思っていたのだ。
しかし、雷が続けた言葉から再考すれば、どうやらそれは、“可愛らしい”贈り物ではないようである。
「何だと思う?」
雷は――、そうして、そのサプライズの予感だけでも十分に動揺している法雨に悪戯っぽく笑むと、焦らすように問う。
法雨はそれに、眉根を寄せては一生懸命に考えながら言う。
「ううん。何かしら……。たっぷり愛してもらった後だから、頭が回らないわ……」
雷は、その一生懸命な様子を愛おしげに眺めながら、
「頑張って」
と言っては、法雨の髪をやんわりと撫で、回答を待った。
そんな雷に見守られていた法雨は、しばらく悩み続けた結果――、諦めた様に脱力すると、言った。




