Drop.030『 The SUN:U〈Ⅲ〉』【1】
「――いっつも不思議に思うのだけれど……。――雷さんの身体ってどうなってるの? アタシ、確かに細身とは言われるけれど、だからって、云うほど軽くはないはずなのに……、よく軽々と持ち上げられるわよね……」
雷に軽々と抱き上げられてはベッドに運ばれ、その身をシーツに降ろされてから、存分に互いの熱を貪り合って過ごした、その後――。
ようやっと眠気を覚えるほどの気怠さに身を浸しながら、法雨は問うた。
雷は――、そんな法雨のしっとりとした前髪を優しく避けるようにしてやると、ほんの寸分前まで味わっていた熱の余韻を楽しみながら、穏やかに紡いだ。
― Drop.030『 The SUN:U〈Ⅲ〉』―
「――そうだな……。仕事柄、人並みよりは鍛えてあるけれど……、身体自体は人並みのはずだよ。――だから、それでも、軽く感じるという事は、やっぱり、法雨さんが軽いんじゃないのかな?」
そんな雷に、法雨はやはり納得がいかない様子で言う。
「ううん。――でも、雷さん。――言っておくけど、“身体が人並み”の人は、――“あんな分厚い鉄扉”、蹴破れないと思うのよ。――ちゃんと鍵だってかかってたのに……」
その法雨に、非常時とは云え、大分と荒っぽい事をした――と自覚している過去の行いを思い起こした雷は、苦笑して言う。
「あぁ。ははは。そうだな……。――まぁ、“アレ”は俺も、火事場の馬鹿力だったと思っているよ……」
そんな雷に、法雨はさらに追及を続ける。
「そうは言っても、その“火事場の馬鹿力”も、――元々“剛腕”でない人は、その馬鹿力も出せないと思うわよ? ――まぁ、この立派な腕一本でも、“人並みじゃない”のは、分かるけれど」
そうして、何としても“人並み”と云い張る雷に反論を紡ぐと、法雨は眼前のその太い腕をつつとなぞる様にして続ける。
「まぁ、アタシは、そんな超人的で不思議いっぱいな雷さんが、とっても魅力的だとは思うから、――全然いいんだけれどね」
雷は、それに目を細めて笑むと――、腕をなぞる法雨の手を、その大きな手でやんわりと包む様にして言う。
「それなら良かったよ。――まぁ、経験豊富な法雨さんの事だし、そのくらい非凡の方が飽きなくていいんじゃないかい?」
法雨は、それに艶やかな笑みを浮かべて言う。
「ふふ。そうね……。――雷さんには一生、“飽きてあげられない”と思うわ」
雷は、そんな法雨に笑んでは、愛しげに口付けて言った。
「それは嬉しいな」
法雨は、それに応じる様にして啄み返すと、人差し指で雷の口元をそっと封じる様にして言った。
「はぁ……。それにしても……。結局また我儘しちゃったわ……。――アタシも、雷さんみたいにちゃんとした大人なら、きっと、“お風呂で楽しんだ分”だけでおしまいにできるのよね。――でも、今夜も“大人”にはなれなかったみたい。――そろそろ“大人”にならなきゃって思うのに……。――雷さんにはつい甘えちゃうわ……」
雷は、そんな法雨の愛らしさに微笑むと、口元を封じているその手と指を絡めるようにし、やんわりと封を解いては言う。




