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運命に惑うケモミミBL長編♂愛情深ハイスペ狼×恋歴難美人オネェ猫『ロドンのキセキ◆翠玉のケエス◆輝石ノ箱ヨリ◆芽吹』連載中  作者: 偲 醇壱
◆ The DEVIL:U ◆

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CurtainDrop✦Drop.001『 The DEVIL:U 』

 

 

 

 彼は、運命の人との出逢いに憧れていた――。

 

 

― CurtainDrop ◇ Drop.001『 The DEVIL:U 』―

 

 

 美しい母と優しい父。

 美しい祖母たちと優しい祖父たち。

 そんな家族たちのもとに、彼は生まれた。

 姓は仙浪(せんなみ)、名は法雨(みのり)と云う。

 彼の両親は、――人々に救いの雨をもたらすような、ぬくもりと愛に溢れた人に成りますようにと、彼にその名を贈った。

 彼は、そんな贈り物をしてくれた温かな両親と祖父母たちを深く愛し、自慢に想っていた。

 特に、街を歩けば行き交う人々が振り返るほどの美しさを(まと)う母は、とびきりの自慢だった。

 そんな美しい母に、彼は、徐々に憧れをも抱くようになった。

 そして、その憧れが大きくなるにつれ、彼はいつからか、同性である父や祖父ではなく、美しさと愛に満ち溢れた母のような人になりたいと思うようになっていった。

 美しくて、誰もが慕ってくれるような、愛する母のような人に、自分もなりたい――。

 母と同じく、愛する父のような、優しく温かな男性と出逢い、愛し合いたい――。

 そして、その人とたくさんの愛を育み、両親や祖父母たちのように、ぬくもりと愛に溢れた夫婦として幸せになりたい――。

 彼は、そう強く思うようになっていったのだった。

 そんな中、彼は、十の(よわい)を過ぎた頃から母の真似をし始め、女性のような言葉遣いや振る舞いをするようになると、続いて化粧や女性らしい服装にも興味を持ち始めた。

 そして、その末――、男性として生まれた彼は、女性のような振る舞いをする少年として日々を過ごすようになっていった。

 その中、そのようなマイノリティな生き方を選択をした彼を、彼の家族は変わらず愛し、成長を見守り続けた。

 彼がそうありたいのならば、それで良い――。

 我々は何よりも、彼の幸せを願っているのだから、と――。

 それゆえに彼は、そんな家族一同からの愛のもと、その先も変わらず、女性のように振舞う少年として年を重ねていった。

 そして、その後も多くの人に愛され、ついには誰もが振り向くような美しい少年と成っていった彼は、次に、もう一つの憧れに手を伸ばす事にした。

 美しい母に憧れた純粋な少年の、もう一つの憧れ。

 それは――、運命の人との出逢い。

 美しい母は、優しい父という、素晴らしい人との運命の出逢いを経て幸せになった。

 彼は、そんな母の運命にも、強い憧れを抱いていたのだ。

 それゆえに彼は、齢十三の年に中学生となった日をきっかけに、一心に恋に勤しむようになった。

 無論、父のような優しい男性との出逢いに憧れていた彼は、少女たちとではなく、同校の少年たちとの恋を選んだ。

 幸いにも、同性同士の恋愛も珍しくはない現代では、美少年となった彼に惹かれる同校生たちが後を絶たなかったのだ。

 だが、不幸にも、同校生たちの中に、彼の運命の人は居なかった。

 ――とは云え、彼は諦めなかった。

 高校生になれば、また新しい出逢いがある――。

 もし高校でも出逢えなければ大学があるし、大学で出逢えなければその先にだって出逢いは溢れている――。

 だから、この三年程度の結果で運命の出逢いを諦める必要はない――。

 中学生活では夢を叶える事ができなかった彼だが、そうして、改めて己が意志を固めると、高校生になってからも大いに恋に(いそ)しみ、己を磨き続けた。

 だが、その中、そんな彼の純粋な心を徐々に別の色に染め上げてゆくものがあった。

 ――情欲である。

 彼は、自分の行いで誰かが喜ぶ姿を見るのが好きだった。

 彼は、どのような形でも――、自分を求められる事が好きだった。

 美しい彼。

 優しい彼。

 献身的で、奉仕的な彼。

 純粋で、運命の人との出逢いに憧れを抱き続けている彼。

 そんな彼は――、手軽に御馳走にありつきたい者たちにとって、偽りの愛を与えてやるだけで喰らえる、酷く酷く好都合な、世間知らずの姫君でしかなかった。

 だが、その事に、純粋すぎた彼は気付けなかった。

 それゆえに彼は、その愛無き者たちからの偽愛(ぎあい)をも、余すことなく受け入れてしまったのだ。

 そして、そんな彼を、愛無き者たちがついに己が欲望で(けが)し始めると、彼の世界もまた、徐々に輝きを失い始め、ゆっくり、ゆっくりと、暗黒に蝕まれていった。

 純粋な彼の運命は、そうして、愛無き者たちの情欲によって、大きく大きく狂わされてしまったのだった。

 

 これは、そんな彼の、運命の真意に(まつ)わる物語である――。

 

 

 

 

 

Next → Drop.002『 WHEEL of FORTUNE:U〈Ⅰ〉』

 

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