43/44
短編 戻る場所
議会の後で、彼女ははっきりと俺を拒絶した。
その事実は、理解している。
理解は、しているのだ。
「……ルークは、兄上が信頼した方です」
そう言った彼女の声は、震えていた。
だが、逃げずに、正面から私をみて言った。
それが、何より許せなかった。
(……なぜだ)
なぜ、俺ではない。
なぜ、あの男なのだ。
だが同時に、胸の奥では別の声が囁いていた。
(戻る。必ず、戻ってくる)
彼女は、迷っているだけだ。
仮初の夫に、寄り添っているだけ。
拒絶は、拒絶ではない。
道を誤っているだけだ。
幼い頃、俺の腕に抱きついてきた彼女。
不安になると、必ず俺を探した彼女。
あれが、真実だ。
今の態度の方が、歪んでいる。
(俺が、正しい)
そうでなければ、ならない。
だから、奪うことで救ってやる。
引き離すことが愛だと証明してやる。
彼女は、俺のもとに戻る。
戻らなければならない。
それが、世界の在り方なのだから。




