第9話:真実の囁き、誘惑する影と信念の対立
ハルトの必死の解析で、
ついに「オーダー」のヤバい計画が
完全にバレちゃったんだ。
都市機能とクレイロイドネットワークへの
大規模な「介入ハッキング」!
しかも、ただのハッキングじゃない。
「感情増幅ウイルス」をバラまいて、
都市をグチャグチャにするつもりだって。
ハルトはもう、顔真っ青にして
「リリィ、マジでヤバいよ!
時間がない、時間がないんだ!」って
焦りまくって叫んでた。
彼、協会公式アプリで市民に緊急警告出す準備、
急いで始めてたし、指がピコピコ
キーボードの上を駆け巡ってた。
その焦り具合が、事態の深刻さを
物語ってたんだ。
私、いてもたってもいられなかった。
危険を顧みず、単身でハルトが突き止めた
組織の隠れ家へ行くって決めたんだ。
セレン師匠やカグラには
「必ず戻るから!」ってだけ告げて、
二人の心配そうな顔を振り切って、
私はバタバタと飛び出した。
だって、敵の真意を知りたいし、
「感情の否定」なんて、絶対止めたいじゃん!
私の心の中は、もう、
メラメラと炎が燃え上がってた。
止まれない!って気持ちでいっぱいだった。
タクシーに飛び乗って、
隠れ家のあるエリアに向かう間も、
心臓がドクドクうるさくて、
汗がジワッとにじんだ。
隠れ家は、思ってたより普通のビルの中。
まさか、こんなところに潜んでたなんて。
でも、扉を開けたら、もう、空気がヒヤッとしてて。
全身がゾワッとするような、異様な空間だった。
そこにいたのは、
「オーダー」の首謀者、アーク。
彼は、真っ白で整然とした空間で、
たくさんのモニターに映る完璧な
感情管理システムを指差してた。
そのシステムは、人間の感情を数値化して、
すべてをコントロールできるって言うんだ。
アークはね、驚くようなことを話し始めたんだ。
彼の声は静かなのに、どこか熱を帯びてた。
かつて彼が信頼し、愛情を注いだクレイロイドの
感情が暴走して、大切な人を傷つけちゃったって。
(詳しい話はまだしてくれなかったけど、
彼の瞳の奥に、深い悲しみが揺れてるのが見えた。
なんか、胸がギュッてなったんだ)
その悲劇的な過去の断片を語りながら、
彼は静かに言ったんだ。
「感情がなければ、痛みも、悲しみもない。
完璧な秩序こそ、真の救済だ」って。
彼の言葉には、深い悲しみと、
それを乗り越えようとする歪んだ合理性が
ズーンと感じられた。
なんか、少しだけ、彼の気持ちが分かるような、
そんな気がしちゃって、心がグラグラ揺れた。
彼の目は、どこまでも真っ直ぐで、
自分の信念を疑ってないのがわかったから。
アークは、私の『ハイパーキャストオフ』の能力に
目を光らせてた。
その目が、ギランッと光って、
まるで私を品定めしてるみたい。
「あなたのその純粋な浄化の力があれば、
我々の理想は完璧になる。
感情の揺らぎに左右される脆い力じゃなくて、
もっと完璧に人々を救えるんだ」
って、甘い言葉で私を誘惑してきた。
その言葉が、私の心にスルスルと入り込んでくる。
私自身の「無力感」とか「完璧になりたい」っていう
心の奥底の願望をグイグイ刺激してくる。
一瞬、心がグラッて揺らぎそうになった。
彼の言うことって、一理あるのかな……?って。
確かに、感情のせいで悲しい思いをすることも、
怖い思いをすることも、たくさんあったから。
でもね、その時、
これまで私が救ってきた人々の
キラキラした笑顔が、パァッと脳裏に浮かんだんだ。
みんな、感情があったから、笑って、泣いて、
怒って、そして前に進んでた。
不完全だけど、それが人間なんだ。
「感情を奪うことは救済じゃない!
痛みも悲しみも、喜びも、全ては私たちの一部だ!
不完全だからこそ、美しいんだ!」
私、魂を込めて叫んだ。
私の声は、震えてたかもしれないけど、
心は、絶対に揺るがなかった。
アークの甘い誘惑を、バシッと断固として拒絶!
そう、これが私の信念なんだ!
クレイロイドの心も、人間の心も、
全部ひっくるめて、そのままを愛する。
それが、私にしかできないことだから。
アークは私の決意を見て、
フッと静かに笑った。
でも、その瞳は、冷たい敵意でギランッと光ってた。
「ならば、その不完全な感情ごと、
我々が管理してやろう」
って、ゾッとするような声で告げると、
通信機を操作して、都市全域への
大規模暴走の開始を宣言した。
ドクン、と心臓が大きく跳ねた。
もう、避けて通れない。
世界を守るための最終決戦が、
いよいよ始まるんだ。
震えるけど、もう、やるしかない!
私と、私の大切な仲間たちで、
この戦い、絶対に終わらせてやるんだから!




